地元で採れた無農薬・有機栽培の素材を使用。動物性食品は一切なし!
「アレルギー」「ベジタリアン」「マクロビオティック」など、
様々なキーワードの垣根を超えた究極の自家製酵母パンとスイーツ。
「九重町瀬の本高原」のリゾートエリアに佇むパン屋さん
今回のグルメレポートは、阿蘇・久住・九重といった『中央九州エリア』の「お出かけのルートの要」としてお馴染みの、「やまなみハイウェイ」と「久住高原ロードパーク」の交差地点近くという、 ドライブやツーリングに最適な場所に位置し、さらに近隣にはケーキショップやスパ、さまざまなジャンルのレストランやリゾート宿泊施設が密集した「九重町瀬の本高原」のリゾートエリア『ココヴィラージュ』という好立地にひっそりと佇む木造のモダンな雰囲気の店舗『自家製酵母パン ぶらうにい』をご紹介します。
店舗には『地産地消』を基本とし、「みんなが一つのパンを囲んで笑顔になれるもの」をコンセプトに、オーガニックレーズンや、季節のフルーツから一週間かけて種を起こした自家製酵母を使用し、牛乳やバターなどの動物性食品を一切使用せず、アレルギーの有無、ベジタリアン、マクロビオティック食などの「体質」や「生活スタイルの違い」などの垣根を払拭してくれるようなパンとスイーツが並んでいます。
さらに、オーガニック製品の市場価格よりも価格設定を低くしていることもあり、身体に安心・安全でおいしいパンを求めて、小さいお子様連れのご家族からご年配の方々まで幅広い年齢層の支持を得ています。
そこでこのレポートでは、人気の自家製酵母パンの数々はもとより、素材にこだわり、技術にこだわり、『パン』というカテゴリーの極限を求め続けるオーナーへのインタビューも掲載しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。
店舗紹介
駐車場から店舗入口へとつづく砂利の小道を歩くと、小気味良く響く足音が風にのって静かに広がっていくような、大自然に囲まれたモダンな木造の店舗がやさしく迎え入れてくれます。
▲店舗のガラス窓には、出来立てのパンがディスプレイされているように陳列されています。
▲カウンターにはたくさんの自家製酵母パンが!
▲大きな窓からの光とシンプルなデザインが店内をお洒落に演出しているのが印象的!
▲木造建築に詳しい建築デザイナーに設計してもらったという店舗は、木のぬくもりとコンクリートのコンビネーションが温かみと静けさを演出。シンプルな造りだからこそ、壁や床、そして家具が持つ質感がそのまま感じられます。
おすすめの自家製酵母パン
『地産地消』を基本とし、熊本県産小麦を中心に地元で採れた無農薬野菜やフルーツを使用している『ぶらうにい』では、主な素材の安全性だけでなく、イースト菌を使わずに、オーガニックレーズンや季節のフルーツから種を起こして一週間かけて育てる酵母を使用し、12時間以上発酵させて焼きあげます。
さらに、アレルギーを持つ人、ベジタリアンや健康志向の方でも安心して食べられるように、卵、牛乳、バターなどの「動物性食品」と「白砂糖」は使用せず、植物性のもの、多糖類である「てんさい糖・オーガニックメープルシロップ」を使用するというこだわりも大きな特徴です。
しかも、パンの風味・バリエーションにあった食感を表現するため、それぞれに違うオリジナルの生地を作っているのだとか!最初の作業から仕上がりまでの行程には約2週間もかかるという、あまりにも気の長い作業を経て、こちらのパンは生まれるのだそうです。
ちなみに、「天然酵母パンには少し酸味がある」という話をよく耳にしますが、自家製酵母は一般的な手法である「継ぎ足し」で酵母を起こしたままでいると、少なからず「酢酸菌」が出はじめ、微量ながらも酸味を感じるようになるのだそうです。しかし、『ぶらうにい』では、その「酸味」を感じてしまうと、せっかくの生地のうまみを100%味わうことができないという思いから、育てた自家製酵母は、継ぎ足さず新鮮なうちに必ず使い切るようにしているのだとか!
▲長時間発酵させて成長した「引き」が表面に大きく見られる(左)
▲育てている自家製酵母(レーズン・いちご)(右)※いちごは季節限定
手間と時間をかけて完成されるパンは、オーナーの加藤悦子さん(後記インタビュー有り)が「ゆっくりと命を吹き込んでいます」と語っていたように、パン個体がまるで「自分」という生きた「個性」を持っているような存在感と磨かれた美しさがあります。それでは、取材当日に焼きあがっていたパンをご紹介いたします。
いちご酵母のいちご食パン(プレーン)
1本900円/ハーフ450円
熊本県産小麦(南のめぐみ、西のかおり)使用
▲いちごの時期しかできない季節限定の「いちご酵母」で発酵させたパン。見た目も香りも普通の食パンのようですが、噛んだ瞬間に生地からあふれる、いちごの豊かな香りが口の中に広がるのが印象的!いちご香料などの添加物を使用せず、「自然」のサイクルで存在する素材だからこそ感じられる、とても深みのある風味が特徴です。
レーズン酵母の穀物コーヒー食パン
1本800円/ハーフ400円
熊本県産小麦(南のめぐみ、西のかおり)使用
▲ライ麦、大麦を焙煎したものを原料としたノンカフェインコーヒーの食パン。オーガニックレーズンでおこした酵母で発酵させた、嫌味のない香ばしい穀物とコーヒーの香りが特徴的です。
いちご酵母のいちご食パン(シナモンシュガー入り)
1本980円/ハーフ480円
熊本県産小麦(南のめぐみ、西のかおり)使用
▲こちらも季節限定のいちご酵母で発酵させたいちご食パン。練りこまれた「シナモンシュガー」は、希少なオーガニックシナモンとてんさい糖をブレンドした『ぶらうにい』のオリジナル!
いちご酵母のいちごのビスキュイ 300円
熊本県産小麦(南のめぐみ、西のかおり)使用
▲一般的に「メロンパン」と言われれるもので、動物性食品を使用せず仕上げた贅沢な逸品。お店でいただくと「サクッ」とした表面が楽しめるのですが、自宅に持ち帰る場合は、一度温めたオーブンやトースターに再度入れて「温め焼き」をすると焼きたての風味が蘇るのだそうです!
レーズン酵母の田舎パン 380円
熊本県産小麦(南のめぐみ、西のかおり)使用
▲フランスで親しまれている食事パンで、ハードな皮とふっくらした中身が特徴で、近年ではそれらを意識するがために添加物を使用して演出することも多い中、「オーガニックレーズン酵母」や「天然塩」を意識して、ダイレクトにパン本来の姿を楽しめるように仕上げたパンです。
レーズン酵母のよもぎベーグル
画像手前:小豆あん入り280円/画像奥:プレーン250円
▲季節限定のベーグル。この日は自生したよもぎをすり潰してペースト状にしたもの練りこんだ自然の恵みたっぷりのベーグルでした。自家製の「小豆あん」はマクロビオティックの知識が豊富なスタッフ・加藤さんが制作を担当。消化を促進させる技術が施されており、身体にやさしい仕上がりになっています。
レーズン酵母のフランスパン 330円
▲外はパリパリで中がふっくら!「粉」と「塩」がおいしさを決めるというイメージが強いフランスパンですが、もっとも重要なのは「酵母」の働き!酵母が元気よく働く環境が整ってからこそおいしさが表現できるため、スローペースな天然酵母では難しいとされますが、こちらでは時間と手間を惜しまずじっくりパンと向き合うからこそ究極の風味を導くことができるのです。
レーズン酵母のスコーン(プレーン)180円
▲「バターたっぷり」というスコーンの常識を覆す、卵・バター・牛乳を一切使用せず、植物性食品で仕上げた身体にやさしいオリジナルスコーン。バター無しでしっかりと「割れ」ができており、さらに目がぎっしり詰まって重量感が有り、小麦の香りがしっかり感じられるのが特徴。ぜひ何もつけずにそのまま味わってみてください!
いちご酵母のスコーン 230円
▲季節限定のいちご酵母でおこし、自家製のジャムを練り込んだスコーン。プレーンと同様に卵・バター・牛乳不使用で、しっかりとした「割れ」と「重量感」が特徴的。いちごの香りとやさしい甘みがあるので、コーヒーや紅茶にも相性が良くカフェタイムにぴったりです。
穀物コーヒーパン(シナモンシュガー) 250円
▲ノンカフェインコーヒーを基本にした香ばしい風味のパン。自家製のオーガニックシナモンシュガーの甘さで、お腹も心もしっかり満足できるので、体重管理が厳しい妊婦さんや健康志向の方、子どものおやつにもおすすめです。
おすすめカフェメニュー
▲店内にはイートインスペースがあるので、焼きたてのパンをすぐに楽しむことができます。ドリンクメニューもそろっているので、自然の景色を眺めながらゆっくり過ごす人も多いのだそうです。
おまかせパンセット ドリンク付き 600円
こちらは、「少しずつたくさんの種類を食べてみたい!」という方にぴったりのうれしいプレート!ドリンク付きのかなりお得な人気のセット。
軽くトーストされてふかふか感やもっちり感、香りや味が一番いい状態になっているので、ひと口ひと口噛み締めて味わう内に、あっという間にペロッと食べられます。
レーズン酵母のガトーショコラ 1ピース 350円
こちらは、オーガニックレーズン酵母を使用した『ぶらうにい』ならではのガトーショコラ!しかし、ガトーショコラといえば、バターや生クリーム、チョコレートたっぷりで贅沢なケーキをイメージしますが、こちらは動物性食品を一切使わず、しかもチョコレートも使用していないというから驚きです!代わりに「カカオマス」というチョコレートの原料の1つを使用しており、表面はサクッと、中はしっとりとした仕上がりで、食べた後口がとても軽やかです。
その他のドリンクメニュー
・オーガニックコーヒー(アイス、ホット、アメリカン) 400円
・ノンカフェインコーヒー 450円
・カフェラテ 450円
・ソイラテ 450円
・紅茶 400円
・みかんジュース 400円
インタビュー オーナー 加藤悦子さん
アレルギーや食のスタイルに関わらず、安心して選ぶことができて、安心して食べられる。「ぶらうにい」のパンがあるから食卓を笑顔で囲むことができる。そんな「誰もが笑顔になれるパン」を作りたい。
▲画像右端お二人:オーナーご夫妻
Q:オープンしたのはいつですか。
「2010年の3月なので、4年目になります」
Q:今までもパン屋さんのお仕事を?
「いえ、学生時代から私も宮本(職人)も東京に住んでおり、2人とも企業に勤めていました」
Q:では、パン屋さんを始めようと思ったきかっけは?
「趣味でパン作りを始めたのですが、パンづくりを知れば知るほどその難しさとおもしろさにのめり込んでしまい、パンの技術者として有名な方に師事しながら勉強をしました。いつしか自分が納得して作るパンを提供できるお店を持ちたいと思うようになりました」
Q:なぜこの場所だったのですか?
「パンのおいしさの決め手となる水は清らかな大自然そのものを使いたいと思いました。そして、元々九州出身ということもあり、九州の中でも水が清らかで、豊かな自然が育んだ食材が豊富に集まるこの場所に決めました」
Q:「ぶらうにい」という名前の由来は?
「『ぶらうにい(Brownie)』とはヨーロッパのケルト地方の伝説で語られる、人のお手伝いが大好きな妖精の名前で、パンを焼く事が得意といわれています。伝説では、パン作りの修行を終えた『ぶらうにい(Brownie)』は、サンタクロースになり、人々に幸せと笑顔を運ぶと伝えられています。このお店『ぶらうにい』もパン作りに妥協すること無く修行して、誰もが食べられるパンを作り世界中の人々へ届けることによって、そのパンを食べた人が笑顔と幸せを提供できるようになりたい……そんな思いで付けました」
Q:パンづくりのコンセプトを教えて下さい。
「ぶらうにいでは、『地産地消』を基本にして『安心・安全・健康・環境に良いもの』しか作りません。パンをつくるためには、小麦・塩・水・砂糖・発酵させる菌、さらにバリエーションを増やせば増やすほどさまざまな原料が必要です。その素材選びから細心の注意を払っています。一例を上げるとすると、
・小麦は九州産のニシノカオリ・ミナミノカオリを使用
・イースト菌ではなくオーガニックレーズンや上質な果物からおこした、継ぎ足し無しの『自家製酵母』
・白砂糖を使わず『てんさい糖』や『オーガニックメープルシロップ』
・塩は世界自然遺産に登録されているオーストラリア・シャークベイ海水で作られるの天日塩を原料とした『赤穂の甘塩』
・卵、バター、牛乳などの動物性食品は使わない
など、一つひとつの原料に気を使っています。だからこそ、原料成分でアレルギー反応を起こしてしまう方、健康に気を使っている方でも安心して食べていただくことができます。
Q:お店を始めて困ったことは?
「この近辺では野菜やフルーツなどの自然の食品は豊富にあるのですが、素材を厳選しているので希望する原料の調達が難しい事でしょうか……」
Q:これだけの希少な素材や手間と時間をかけているのに、価格帯が低いように感じますが。
「価格が高ければ食べたくても気軽に買い物することはできません。 そうなると、せっかくここまで身体や健康・環境にこだわったパンなのに、日常的に多くの方に食べていただくことができない、しかも残ってしまうというような、私達が願ったことと逆方向の結果に進んでしまいますから……」
Q:店舗の他にパン作りに関わる活動はされていますか。
「月に1回、阿蘇でマルシェを開催しています。小麦や果物などの生産農家さんやさまざまな職種の方が集まって、いろいろな情報交換をしています。また、今でもパン作りの新しい技術を取得するため、東京で行われる教室に通っています」
Q:今後、どのような展開を計画されていますか。
「ネットや流通経路が整備され、欲しい物や情報が手に入る昨今では、自宅で天然酵母パンを作ったり、健康やダイエットに関してスタッフより消費者の方が知識が豊富だったりします。ここでは、どのような方がお客さまとして買い物に来られた時でも、私達スタッフがよりいっそう知識や技術を取り入れ、お客様と対話しながらパンを買っていただくことで、満足して頂けたり、また話を聞いてみたいと思って下さったり、憧れを抱いてもらえるようになると思っています。そんな『あこがれ』を抱けるようなパンでなければ、食べたいと思ったり、技術を学びたいと思って頂けないと考えてます。『ぶらうにい』がいつまでも多くの人から求められる存在であり続けると同時に、私たちが培った『パン作りの技術』を多くの人に伝えながら、ゆくゆくは世界へもこの技術を持っていけるように、日々の勉強や努力を大切にしたいと思っています」
Q:お忙しい中、ありがとうございました。
アクセス
自家製酵母パン ぶらうにい
住所:大分県玖珠郡九重町湯坪瀬の本628-23ココヴィラージュ内
電話&FAX:0967-44-0771
営業時間:10:00~17:00(なくなり次第終了)
定休日:不定休・土日営業
(休日は季節によって変更します。詳しくは下記ホームページを御覧ください。)
URL:http://brownie.sunnyday.jp/
ぶらうにい57(阿蘇一の宮店)
住所:熊本県阿蘇市一の宮町宮地1859
電話:090-9969-2227
参考サイト:瀬の本高原「ココヴィラージュ」
URL:http://www.cocovillage.jp/
道案内
〜やまなみハイウェイと久住高原ロードパークの交差点近く!〜
(画像は阿蘇方面より「やまなみハイウェイ」(県道11号線)を九重方面へ進んだ場合)
・阿蘇市方面からは「やまなみハイウェイ」(県道11号線)を湯布院、別府方面へ進み、県道40号線へ左折。
・久住方面からは「久住高原ロードパーク(有料)」をおりて右折(九重方面)し、すぐの交差点を県道40号線へ左折。
・湯布院、別府方面からは「やまなみハイウェイ」(県道11号線)を阿蘇方面へ進み、県道40号線を右折。
▲画像をクリックすると拡大します。
▲湯布院・別府方面側から見た交差点の風景。
▲画像をクリックすると拡大します。
▲「OPEN」看板前に駐車場があります。
MAP
取材・編集スタッフ
モデル・レポート:中本望美
撮影・制作:ヴォーク有限会社