***** 特別講演とシンポジウム *****
薬学部開設を記念して

03/06/24更新

03/06/21(土)
九州保健福祉大学体育館
主催:九州保健福祉大学
共催:延岡市、延岡市教育委員会、延岡市医師会、延岡市薬剤師会
延岡市社会福祉協議会、九州中央地域連携推進協議会
後援:宮崎県薬剤師会、宮崎県病院薬剤師会、大学おうえん協議会

プログラム
薬学部開設を記念して、特別講演とシンポジウムが6月21日に開催されました。当日は、学生から、一般の方まで参加出来るとあって会場である体育館は沢山の人で溢れました。左の写真は総合司会 九州保健福祉大学薬学部薬学課長 山本隆一さんです。
開会挨拶
主催者挨拶 九州保健福祉大学学長 田原直廣
共催者挨拶 延岡市市長 櫻井哲雄
特別講演
九州大学名誉教授 吉村 英敏氏の特別講演「カミネ油症事件が教えたもの」では事件の話を中心に、毒物の恐ろしさや医学に携わるものとしての心構えなどを語られました。座長を務めたのは九州保健福祉大学薬学部長 山本郁男さんです(写真右)
シンポジウム
「21世紀の薬剤師像-これからの薬剤師に求められるもの」
コーディネーター

鹿児島大学教授
医学部附属病院薬剤部長

山田 勝士 氏
コーディネーター

宮崎医科大学教授
医学部附属病院薬剤部長

有森 和彦 氏
病院薬剤師の立場から

千葉大学教授
医学部附属病院薬剤部長

北田 光一 氏
医療の高度化・多様化、杜会の高齢化の到来に伴って、医療を取巻く環境が大きく変化する中で、薬学・薬剤師の役割にも大きな変革が求められている。医薬分業が進展し、医師から法的に独立した立場の薬剤師が、薬の専門家・セイフティーマネジャーとして薬物療法、医薬品の適正使用に貢献することが期待されている。医薬品情報に基づく処方監査や服薬歴の管理、服薬指導等の質的向上が求められ、病院薬局(部)においては、調剤を中心とした業務から、薬剤管理指導業務を中心とした病棟業務の展開、薬物血中濃度モニタリングによる個々の患者に対する最適な処方設計への参画、高カロリー輸液や抗癌剤等の注射剤無菌調製、院内特殊製剤の調製、さらには、院内感染対策チームや医療安全対策チームの一員としての活動など薬物療法の向上と医薬品適正使用に関連する業務が展開している。また、治験における薬剤師の役割も、治験薬の管理に留まらず、実施計画書および治験の薬学的評価、調剤、CRCとしての活動など拡大し、創薬への貢献も重要になっている。これからの薬剤師の業務展開もこの延長線上にあると考えられ、調剤を基盤とした薬剤業務全般に習熟し、かつ専門性を持った薬剤師が求められる。チーム医療の一員として患者中心の医療へ貢献するためには、薬のジェネラリストであり、かつスペシャリストである薬剤師を目指す努力が必要であろう。
開局薬剤師の立場から

日本薬剤師会常務理事

木村 隆次 氏
少子超高齢時代をむかえて今、開局薬剤師の仕事がものすごく変化しています。それは、時代の要請であることをしっかりと認識すべきです。いま、日本の人口動態等を考えた杜会保障制度改革が始まっているのです。根拠を何点かあげます。1. 健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針について2.「医療提供体制の改革に関する検討チーム」まとめ、医療提供体制ビジョン案前者の基本方針に基づく医療保険制度体系に関する改革については平成20年度に向けて実現を目指すことが決まっております。この中に正に開局薬剤師がやるべきことで高脂血症、高血圧、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防から回復期リハビリテーション、在宅医療、終末期医療まで、かかりつけ薬剤師の機能が記されています。また、情報提供や患者の服薬管理の適正な推進等保険薬局の役割も記されております。3. 5月1日国民健康づくり運動「健康日本21」の法的裏付けとして健康増進法が施行されました。健康づくり政策の大切さを十分理解し保健・医療・介護・福祉に関わりを持って地域住民の「かかりつけ薬剤師」になりましょう。ただし、地域住民が「かかりつけ薬剤師」を決めるのです。地域住民から信頼され、「かかりつけ薬剤師」として指名されるように薬剤師である前に「魅力ある人間」となるように自己研鑽すること、バリアフリー・ユニバーサルデザイン的発想をもつことも重要でしょう。「できる薬剤師」から「できた薬剤師」になること、これが今後の薬剤師に求められることです。
医師の立場から

宮崎県立延岡病院長

小川 道雄 氏
薬剤師には疾病や外傷に対して、その薬剤がなぜ処方されたのかを理解し、有効かつ安全に治療が行われるように援助することが望まれている。何のために投薬されるのか、どのように使用するのか、どんな注意が必要か、有害あるいは予期しない反応(副作用)にはどのようなものがあるか、あるいは自己判断で中止すると重篤な障害の出る薬剤ではないか、などの幅広い知識が必要である。従って医療のプロフェッショナルとして、疾病と薬剤に関する正確で最新の知識を、常に更新していくことが不可欠である。医師の処方の間違いを指摘できるのは、まず薬剤師である。次に薬剤師はその専門的知識によって、医師・看護師と患者の中間に立ち、両者を仲介することが求められる。そのためには十分なコミュニケーション能力を身につけておく必要がある。これまで薬剤師はともすれば薬剤部、薬局という狭い空間に閉じこもりがちであった。しかし今後はとくに患者との接触の機会が、飛躍的に増加すると予測される。従ってこれからの薬剤師は医療人としての自覚以前に、ぜひ常識のあるひとりの人間としての豊かさ、広がりを求め、倫理観を高める努力を重ねてほしいと思う。それが薬剤師の役割と権限を、現在よりさらに大きなものにしていくであろう。
看護婦の立場から

吉備国際大学保健科学部講師

橋本 眞紀 氏
疾病構造の変化・人々の価値観の多様化に伴って健康観も大きく変化してきた。医療政策的には医療機関の機能分化・医薬分業が進展し、医療を提供する場も病院から療養施設・福祉施設・自宅など、それを受ける側が選択できる時代になってきた。しかし一方では、少子高齢化が経済の大きな課題となり、受益者負担の増加による問題も生じている。 医師から処方される薬は、それを必要とされる人に安全に確実に服用されて初めて効を奏するのは自明のことであるが、安全性・確実性の確保が困難だったり、提供体制が整わないが故に在宅医療を選択できなかった事例など様々な状況を地域医療の中で経験してきた。 このような状況をふまえ、医療機関の看護管理者・訪問看護・在宅介護のケアマネージャーなどを経験してきた看護師として薬剤師への期待を述べたいと思っている。
薬学部教授の立場から

北海道大学大学院薬学研究科

鎌滝 哲也 氏
医師も看護婦も薬剤師も等しく「患者」のためであるべきである.今までの薬学教育では患者のための薬学を教えてこなかったように思われる.そのため,病院や薬局の現場で働く薬剤師がどんな辛酸を舐めてきたか容易に想像される.この数年,「ゲノム創薬」,「個別化医療(またはテーラーメイド医療)」,などなどクスリや医療に関連した話題は枚挙にいとまがないほどである.これらの進歩を薬学教育にどのように生かしていくか,教育のための研究的背景をどのように取り込んでいくか,一歩進んで各薬学教育機関が将来の薬剤師像をどのように設定して,積極的に教育研究を進めていくかは大きな挑戦である.現在世界中で使用されているクスリは2万種類であるという.ゲノム創薬の進歩によって,将来はその10倍の20万種類になるであろうと推測されている.20万種類のクスリが世の中で使われる時代,そんな時代にはどのような薬剤師が求められるのであろうか.
個別化医療では患者の遺伝子情報に基づいてクスリが処方される.その時代の薬剤師に何が求められるであろうか.薬剤師は患者がどのような遺伝的背景を持っているかが理解できなければならないし,それぞれの遺伝的背景に合わせたクスリを知っていなければならない.
行政の立場から

厚生労働省保健局医療課
特別医療指導監査官

日高 慎二 氏
平成14年度診療報酬改定は、賃金、物価の動向や、最近の厳しい経済動向等を踏まえ、薬価を医療費ベースで1.4%引き下げる一方で、診療報酬本体も1.3%の引き下げとなった。また、基本診療料を含めた広範な項目についての合理化を行うとともに、医療の質の向上等の観点から重点的な評価が行われた。その具体的方針に、効率的な医療提供体制の確保、薬剤使用適正化と薬剤関連技術料の見直し等がある。当課では、社会保険医療に定められている「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」等をさらによく理解していただき、保険診療の質的向上及び適正化を図ることを目的に、健康保険法等の規定に基づいて指導等を行っている。今回、保険診療の観点から、平成14年度に実施した特定共同指導等における主な留意事項等について紹介し、これら留意事項等の内容及び診療報酬体系に関する最近の動向と合わせて、医療従事者としての病院及び薬局薬剤師に求められている根拠に基づく医療について考えてみたい。
総合討論
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