はなれ古舎(コヤ)

古い木造の郵便局舎を雑貨ショップとして再生。
レトロな風合いの建物にマッチした
独創的なオリジナル家具や雑貨が並ぶ。

report index

プロローグ 旧木造郵便局舎の雑貨屋さん

緑が彩る山々に囲まれたのどかな田園風景が広がる豊後大野市犬飼町の黒松地区。その里山に佇む古い木造郵便局舎が40年以上の時を超えて息を吹き返したのは、全身の郵便局ではなく、雑貨ショップ「はなれ古舎(こや)」でした。

故郷に帰郷したオーナーの高野知則さんが、自らリノベーションして再生させた店内には、建物が纏う歴史感と、そのレトロな風合いのオルジナル家具、雑貨、作家さんの絵画や陶器、アクセサリーなどが並び、古き良きものたちがどこか新鮮さを醸し出しています。


今回のレポートでは、穏やかで優しい時間が流れる店内より、おすすめの雑貨や家具をピックアップしご紹介いたします。高野知則オーナーのインタビューもお見逃しなく。

 

ショップ紹介 外観・内観

藍鼠に染まった木造の外観が歴史を耐え抜いた風格を漂わせ、開店を知らせるランプがなんとも可愛らしく、古き良き時代の雰囲気を醸し出しています。

中に入ると、かつて郵便局の待合室だったであろうスペースに、ガラス食器やオリジナルのコンクリート花器など溢れんばかりの雑貨が並んでいます。その隙間から、郵便局時代のカウンターの壁が見え隠れして、当時の面影をしっかりと残しています。

店内には、高野オーナーが手がけるオリジナルの雑貨を中心に、公私共に親しくされている地元の作家や画家の作品がそろっています。また、奥の部屋には、閉店した店舗から引き取った昔懐かしい昭和レトロ雑貨、知人アーティストによるアンティーク風アクセサリーや、古い家屋で使用されていた扉などの家具パーツなどがあります。

▲高野オーナーが親しくする画家『北村直登』氏の作品。ドラマ『昼顔』で一躍時の人と成る。

▲同じく大分県佐伯市で活躍する薬師寺カズヲさん(エラン工房)の陶器

 

▲旧郵便局長の自宅だった場所。畳を踏みしめるたびにきしむ音が、長い年月を感じさせる。

 

リノベーション・オリジナル家具づくり オーダーメイド

ちなみに、日中はショップ運営をされている高野オーナーですが、基本は「オリジナル家具製作」を主体に活動しているとの事で、店舗は高野オーナーの「表現の場」として制作した雑貨などを展示販売されていのだそうです。店舗のスペースの兼ね合いもあり、大物家具などの作品はショップに並ぶこと無く依頼人へ納品されるのだそうですが、『はなれ古舎』のリノベーション力やディスプレイ棚などの制作物を目の当たりにした方が、店頭に陳列された家具パーツなどを用いて、オリジナルの家具製作のオーダーをされることも多いのだとか。家具をオーダー希望の方には、過去の作品を画像におさめたファイルなどを用いて、イメージを理想の形に構築していくのだそうです。

▲これまで受注したオーダー家具のファイル

▲朽ちてなくなった壁をリノベーション。

▲木製のコーヒースタンド

▲壁掛けのブックシェルフ。部屋の広さによってサイズ別を受注可能。

 

ピックアップ オリジナル・おすすめ商品

高野オーナーが手がけたオリジナルの雑貨をご紹介します。

▲タイルヘアピン 2個 280円 ブローチ 950円

▲リメイク椅子 6,800円

▲卓上キーラック 小900円 大1,080円

▲メモスタンド 780円

▲流木花器 2,800円

▲コンクリート花器 200円〜700円

 

インタビュー オーナー高野知則さん

故郷ののんびりとした風土と、古き良きモノが織りなす『はなれ古舎』独特の空気感をたくさんの人に伝えたい。

Q オープンしたのはいつですか。

A 「2010年5月です」

Q オープンしようと思ったきっかけは?

A 「もともと、大分市で『セロファン』という雑貨店をしていました。木工所で働いた経験もあって当時からオリジナルの家具を製作販売しており、ここ「はなれ古舎」は2007年頃から家具製作の工房として使用していました」

Q どうして移転して工房を店舗に?

A 「この犬飼町は祖母宅があり、小さい頃から慣れ親しんだ場所だったので、この地に足をつけて出来ることをしたかったという思いもありました。工房として使える場所を探していた時に、私が物心ついた時には閉局してずっと空き家だったこの建物を使いたいと思いました。レトロな空間は私も大好きでしたし、展示する広さもありましたので、当時の店舗『セロファン』で扱っていた雑貨と一緒に知人の作家を呼んでイベントを行ったりもしていたんですよ。そのような活動を進めていくうちに、自然な流れで工房でも雑貨を扱って販売するようになり、思い切って移転しました」

Q 『はなれ古舎』の意味は?

A 「店舗(セロファン)からはなれた、古い郵便局舎の工房」という意味なんです」

Q 閉局して長い古い木造建築を実店舗にするには大変だったでしょうね。

A 「40年ほど手付かずに置かれた建物でしたから、障子は破れているし、窓も朽ちて無い状況だったので、工房としては使用できても、お客様をお迎えできる状態ではありませんでした。壁はほとんど自分で作りましたが、好みの雰囲気に改装できたのでとても居心地いいですね。面白いもので、生き返ったように新しい時を刻み始めました。一番の悩みは、古い建物ならではの『隙間風』です。夏は冷房が効かず、冬は冷たい空気が流れ込んできます……」

Q ご自身で作る家具のこだわりは?

A 「雑貨のような家具」と「ちょっぴり雑な家具」という意味を込めて「雑家具」と呼んでいます。主に店に並ぶのは、日々の暮らしで使える小物が中心です。注文をいただいて本棚やダイニングテーブル等の家具も作っています。どの雑家具も、使う人を思い描きながら製作します」

Q 「はなれ古舎」の、今後の展望をお聞かせください。

A 「古いものや手作りのものが好きで、雑貨を通してたくさんの作家さんと知り合い、コラボレーションできるようになりました。いつの間にか、自分のオリジナル家具と一緒に店頭に並び、新しい空気感を創り出してくれています。自分自身が、この土地、店舗(空間)がとても居心地よくて気に入っていますので、作品を作り続けていく事はもちろんですが、今より多くの方に来ていただいてこの土地、古いもの、手作りのものの魅力を感じていただきたいです」

お忙しい中、ありがとうございました。

 

エピローグ 取材を終えて

『はなれ古舎』という自分が最も居心地の良い空間を作り出すことで、何事にも縛られないライフワークを楽しんでいられるのが伝わってきました。

インタビュー時は、高野オーナーの事務作業室にて、温かいコーヒーを頂きながら伺いました。また、取材終了後も「近くに飲食店がないからお腹がすいたでしょうね」と、自家製米でつくったおにぎり、卵焼き、山菜の天ぷらなどの手料理をご馳走になり、友人宅に招かれたようなほっこりした気分で過ごさせて頂きました。お心遣い、本当にありがとうございました。

 

アクセス

県道519号線を千歳インターに向かい国道57号(肥後街道)を右折。県道632号線との交差点を左折し、トンネルを抜ける。そのまま道なりに5分ほど進むと、左手に看板が見えます。

住所:大分県豊後大野市犬飼町黒松1222-1 旧長谷郵便局
電話:090-7928-6008
営業時間:11:00〜17:00
定休日:火曜日・奇数週水曜
はなれ古舎ブログ:http://zakkagu.junglekouen.com/

MAP

 

取材・編集スタッフ

モデル・レポート:Yuka Kikkawa
撮影・制作:ヴォーク有限会社

コメントは受け付けていません。