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2006年01月18日
宮崎ゴールデンゴールズ・片岡監督に聞く <2> [ 野球 ]
昨年暮れに行った、宮崎ゴールデンゴールズの片岡監督のインタビュー特集。第2回は宮崎ゴールデンゴールズの目的、目標などについて。
(レポート:照屋盛義)
指導者や審判の養成、そして人間形成
セレクションを通った選手のなかにはバカもいるよ。県民の支えとかがあって野球ができることをわかっていない。
――選手の負担というのはどれぐらいなんですか?
会費が月2000円。
――格安ですよね。それで野球ができるんだから…。
そういうことをわかってほしいよ。
あと、(チームから)いい指導者を出していかないと。選手は年齢が30、40にいくとそうなる。自分がプロ野球を辞めたのは、辞めたくて辞めたんじゃない。ユニフォームを脱がされたんだよ。そうして、新しい選手が入ってくる。ほとんどがユニフォームを脱がされたり、自由契約になったりする。そこで辞めた人間がどうするか、なんだよね。
指導者になるとして、ちゃんとした説明ができる指導者にならないといけない。ボールの基本的な持ち方を教えれるのは、指導者が10人いたとしたら半分。持ち方の理由まで教えれるのは1人だけだよ。
――そうなんですか…。
チームの練習では1時間の奉仕活動をやるようにしてる。使ったグランドを、使う前よりもきれいにするために。窓ガラスを拭いたりとかしてね。たとえば、延岡で練習して、近くから要請があれば1時間でも掃除しに行きますよ!
選手にはポケットに手帳とペンを入れさせる。バットやボールの持ち方などを説明してから練習に入る。説明したことは全員に書かせる。そして、家でノートにまとめてもらう。2、3年たったらそれが教科書になるんだよ。指導者の教科書に。そういうふうに作っていってる。
――へぇ~。
次に審判の養成。審判が少なくて、高校野球でも困ってるんだよ。宮崎ゴールデンゴールズが5、60人になって選手としてやっていくのは無理な人間が出てきたとき、審判の養成もしていれば派遣することができる。地域のお手伝いのためにね。
宮崎GGのスタッフ
ここで宮崎GGのスタッフについて教えてもらった。主なメンバーは以下の通り。応援として県内テレビ3局のアナウンサーもついている。詳しくはチームの組織図を。
≪団長≫萩本欽一(総監督でもある)
≪チームアドバイザー≫古葉竹識(元広島東洋カープ監督)
≪監督≫片岡光宏(元広島東洋カープ)
≪監督代行・野手コーチ≫本村信吾(中日→広島→ダイエー)
≪統括コーチ≫椿義人(東海大出身、保険会社の社長)
≪ヘッドコーチ≫池田親興(高鍋高校→阪神→ダイエー→ヤクルト)
≪投手コーチ≫若林隆信(日南在住、中日や広島など)
≪プロデューサー≫千代反田功、日高博之(日向市議)、菊永憲一、毛利伸二郎
≪事務局≫片岡順子(片岡監督の奥さん)
≪マネージャー≫有馬宗隆(元日南学園野球部部長)、小田満和、福田みづほ、渡部由希
≪チームドクター≫戸田理一郎(選手として受けに来た48歳、外科医)
≪チームトレーナー≫河野哲史(おすず治療室)
≪チーム弁護士≫近藤日出男(片岡監督のブレーン)
アマチュアチームとしてはかなり立派な陣容だ(ビックリした)。ボランティアのスタッフなど、片岡さんに賛同した人たちが集まっている。野球については片岡さんを含めて4人が指導するとのこと。
県内各地をまわって地域に貢献
――選手については?
12月が最初の会費の納期で、同意書を送ってきてるのが45人。最初は50人かな。もっと多くするよ。セレクションのとき、「基本的に全員採ってください」と言ったから。
――どんな選手がいるんですか?
高鍋農業の先生、医者、中学生が3人、女の子が2人。最高齢が38歳。選手に求めるのは、礼節があって野球ができる人。野球バカは作らないから(笑)
――練習は?
練習は現状、来て15人だね。球場使用料は月10万ほどいっちゃう。
――12月の練習スケジュールを見ると日向、日南、小林、宮崎といろんなところで練習してるんですね。
本拠地は選手がいる宮崎市になるだろうけど、県内各地をまわって地域に貢献していきたい。
長い目で見てほしい
――目標は? 大会を挙げれば都市対抗、クラブ選手権、全日本選手権だと思うんですが。
勝ち続けるのが目標だよ。ただ、現状を言うと、企業チームは年間に何億もかけてやっている。選手はプロに行けなかった奴ばかり。彼らと同じ土俵に上がらないといけない。「都市対抗に行く」とか言ったら、彼らに失礼だよ。
2、3年は待ってほしい。「今はそんな質問しないで」というのはあるよ。長い目で見てほしい。
――予定は?
連盟主導の3大大会の日程が2月上旬に決まるから、それに沿ってだね。日程のないところでは芸能人がらみで有料試合をするとかね。2月に茨城ゴールデンゴールズと試合をするかもしれないし、山本譲二さんのチーム(山口きららマウントG)とできるかもしれない。未定だけどね。
――硬式野球連盟も作らないといけないんですよね。
野球連盟の設立はこれから。3チーム(宮崎GG、梅田学園ベースボールクラブ、宮崎シティー硬式野球倶楽部)が相談しながら進めている。連盟だけでもいろいろお金がかかる。宮崎から審判を派遣するときとかね。
他のチームとは合同練習をしようと言ってるし、助け合っていくよ。
あとがき
片岡さんの苦労というのは相当なものだ。ただ監督をやるだけではない。チームをゼロから作らないといけなかった。選手を集めたり、練習場所を確保したり、スタッフを集めたり、お金を集めたり、その他もろもろ…。さらに、硬式野球連盟も作らないといけなかった。こちらもかなりの苦労がかかる。これを片岡さんは本業をこなしながらやっているのだ。
そして、片岡さんはどんどん形にしていってる。話をすればわかるけど、とってもエネルギッシュな人だ。大きなやりがいと目的を持ちながらやっている。野球のため、宮崎のため、選手のために。片岡さんと話をして「へぇ~」となることばかりだった。
宮崎GG設立の話があったとき、自分は素直にうれしかった。そのメリットの大きさは片岡さんが語っている通り(一番は「スポーツを通しての活性化」)。野球に限らず、宮崎のチーム、しかも宮崎の外で戦うチームというのは重要なのだ。先日のサッカー九州各県リーグ決勝大会で延岡市SCが負けたけど、Kyuリーグという宮崎の外と戦えるステージに立つチャンスを逃したことが自分はとっても悔しかった。
安心したことがある。それは宮崎の3チームが協力して、助け合おうとしてること。たとえば地方競馬だと協力すべきところで争い、競争すべきところで馴れ合っていたりする。自分がよくガッカリすることだ。宮崎の3チームには上手く協力し、そして競争していってほしい。
2006年は宮崎の社会人硬式野球のスタートとなる。楽しみにしつつ、長い目で見守っていきたい。
≪おわり≫
投稿者 pawaspo : 2006年01月18日 19:31