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2005年10月06日
高知競馬場でデビューする2人の女性騎手 [ 競馬 ]
地方競馬の騎手免許試験の結果が9月20日(火)に発表され、82期騎手候補生8名が合格した(他に再取得が1人)。騎手免許は9月29日付で交付されている。
8名のうち3名が女性騎手だ。1人は名古屋競馬所属の山本茜(22歳)。名古屋競馬といえば、女性最多勝利記録で話題となった宮下瞳騎手がいる。
そして、2名が高知競馬所属の別府真衣(17歳)と森井美香(21歳)。両騎手は10月9日(日)の開催でデビューを迎える。同じ競馬場で女性騎手2名が同時にデビューというのは珍しい。
2人が所属する高知競馬、日本全国の女性騎手、そして2人について紹介してみよう。
(左が森井美香騎手、右が別府真衣騎手。高知競馬HPの馬場管氏にお願いして、今日撮影してもらった)
高知けいば
四国唯一の競馬場「高知けいば」。2年前、ハルウララという連敗馬の登場で有名になった競馬場だ。
ハルウララに関する報道で触れられていたけど、高知けいばはJRAのような華やいだ競馬場とは正反対に位置している。入場者数も売上も小さく、1着賞金は平場(一般レース)で10万円。ちなみにJRAなら未勝利戦でも500万円ほど、地方競馬ではもっとも賞金の高い南関東でも最低100万円だから随分違う。馬も多くはなくて、高齢の馬が目立つ。騎手も今回デビューする2名を除けば17名。高知けいばは日本の最下層にあると言える。
しかし、小さい競馬場にはそれなりの魅力がある。JR高知駅からボロいバスに揺られて20分ほど、緑のなかにある小さな競馬場はのんびりとした雰囲気に包まれている。100円の鯨カツをかじり、高知名物のアイスクリンを食べながら馬をながめるのが楽しい。年金暮らしの爺ちゃん婆ちゃんも多いけど、子供を連れた家族も多い。パドックで子供たちが誘導馬と触れ合ってる姿というのは、この高知けいばでしか見たことがない。出走表には「ああ、こいつはここにいるのか!」と思う懐かしい名前が載っている。個人的には父と母の名前を見るのが楽しみだ(意外と「血統博物館」だったりする)。
自分は数ある競馬場のなかでも特に好きなのが「川崎」「上山(廃止)」、そして「高知」だ。金欠で1年ほど行ってないけど、金と機会があれば高知市、そして高知競馬場へ足を運んだ。高知けいばの魅力を語るうえで「人」を忘れてはならない。高知競馬の実況を担当されている橋口浩二さん(延岡市出身)、獣医でHPの運営も担当されている長山さん、そして他の高知けいばで働く人たちは、厳しい状況でありながらとても前向きだ。自分はいつも(飲みに連れて行ってもらったりして)元気にしてもらっていた気がする。そういった人たちが関わっている。ハルウララがあれだけ盛り上がったのは、ハルウララのまわりに彼らのような高知競馬で働く人たちがいたからこそとも言える。
ちなみに、自分は高知競馬のデジカメレポートに何度か画像を提供している。もう1年ほどご無沙汰だけど…。
(画像は昨年8月3日のもの。ハルウララ姉妹の対決、スパイダーマン特別などで盛り上がった。ファンの前で表彰式を行うのも地方競馬ならでは)
女性ジョッキー
10月デビューの3人以外に、女性騎手は全国に12人いる。
牧原由貴子(JRA美浦)
西原玲奈(JRA栗東)
佐藤希世子(ばんえい)
竹ケ原茉耶(ばんえい)
笹木美典(北海道)
千田和江(岩手)
皆川真由美(岩手)
牛房由美子(浦和)
平山真希(浦和)
宮下瞳(名古屋)
池本徳子(福山、旧姓:佐藤)
岩永千明(荒尾)
昨年度(04年4月~05年3月)にデビューしたのは竹ケ原茉耶、皆川真由美、岩永千明の3人。そして、2名が引退した。北海道の佐々木明美は結婚、高崎の赤見千尋は競馬場の廃止によるものだった。
申し訳ないけど、彼女たちの存在感というのは薄い。リーディングは下から数えたほうが早い。今年未勝利の騎手もいれば、騎乗機会が稀な騎手もいる。男性よりも体力面でハンデがあるし(特に直線の追い比べで出てくる)、関係者から信頼をなかなか得ていないように感じる。あとは、本人の資質の問題だろうか。騎乗数も勝ち数も抜きんで多い名古屋の宮下瞳騎手は女性騎手のなかでは特別な存在だ。他ではばんえいの佐藤希世子騎手、荒尾の岩永千明騎手が成績では頑張っているように見える(岩永は2年目の壁に当たってるようだけど)。
女性騎手は話題になりやすい。宮下瞳騎手のことはNHKの番組でも紹介された。昨年の10月20日には荒尾競馬場で全日本レディース招待競走という各地の女性騎手を集めたイベントレースが開催されている。
自分自身、宮下騎手みたいな騎手がもっと登場すれば、競馬が一般メディアで紹介される機会は増えるだろうし、多くの人の目を向けさせるものになるだろうと思っている。GIを勝てる騎手が出ればどうなるやら…。そういや、競艇で寺田がSGの決勝に出たときは、応援の舟券をしこたま勝って失敗したなぁ(苦笑)
(全日本レディース招待は台風接近で大変な状況となってしまった。参加したのは11名。優勝したのは地元の岩永騎手だった。コーエー時代にゲームで名前を使わせてもらった元騎手の杉村雪さん(旧姓:小田部)に挨拶できたのがうれしかった)
2人同時のデビュー
では、2人について紹介してみよう。
まずは、別府真衣騎手。昭和62年12月8日の17歳で、所属は別府厩舎。父は別府真司調教師だ。「馬に囲まれた環境で育ち、馬に乗っている人たちを見て憧れた」のが騎手を目指したキッカケだそうだ。騎手学校入学前には厩務員を半年間経験している。目標は地元の1400勝ジョッキーである中西達也騎手。
馬場管氏によると、別府騎手はゲート練習(能力検査時に行われる)に騎乗して堂々の1着だったらしい。騎乗姿勢はなかなかいいとのこと。
森井美香騎手は昭和59年9月19日生まれの21歳。所属は別府騎手と同じ別府厩舎。目標は兄弟子にあたる明神繁正騎手(橋口アナ曰く「土佐の暴れん坊」だったか)。出身は『二十四の瞳』で有名な香川県の小豆島だ。
騎手になったキッカケは「馬が好きだった」「テレビを見て憧れた」。高校時代はソフトボール部のピッチャーだったとか。身長は別府騎手より高い。彼女も入学前に3ヶ月ほど厩舎生活を送っている。
2人は10月9日(日)に初騎乗となる。当日は紹介セレモニーも行うとのこと。
2人に期待すること
じつは騎手候補生を調べたら高知所属の女性が2人もいたので、「どんな子なんですか?」とメールで聞いたことがある。彼女たちは騎手学校時代から話題になっていた。今日もRKC高知放送が取材に来ていたそうだ。
高知けいばの騎手が増えるのはいいことだ。高知けいばがメディアで取りあげられる機会も増えるだろう。
あとは、騎手としてどれだけ成長できるか? 多くの女性騎手がそうであるように「勝てない、乗れない騎手」にはなってほしくない。お互いに切磋琢磨し、ときには助け合って成長してもらいたいし、まわりには育ててほしい。
高知は交流競走が乏しいので、高知の騎手がJRAや全国的な舞台でアピールするという機会はなかなかない。アラブしかいない福山、競走馬のレベルが低い荒尾もそうだ。時代は変わり、坂本敏美(名古屋)や福田三郎(足利)のような超一流の天才がその名を全国の競馬ファンに知られることなく騎手人生を終えることはなくなったかもしれない(地方の騎手でも中央のGIを勝つ時代になった)。しかし、実力に見合った報酬や栄誉、名声を得る時代になったとはまだ言えない。競馬場がなくなれば、2000勝以上の騎手でも鞭を置くという不幸な状況も起きている。本題からは外れてしまったけど、なんとかならんのかと常に思っていることである。
投稿者 pawaspo : 2005年10月06日 21:57