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2005年08月25日
伊藤監督が語る「vs産経大」と「これから」 [ サッカー ]
サン宮崎FCは先日の天皇杯宮崎予選・準々決勝で宮崎産業経営大学(九州大学リーグ1部)に1-4で敗れてしまった。
前半で1点リードしておきながら、なぜ後半に4点を取られたのか――自分のように試合を観れなかった人は試合内容や敗因が気になっていることだろう。試合を観た人にとっては、選手の口から聞きたいことがあると思う。
24日の夜、シーガイアイベントスクエアでのサン宮崎FCの練習に行ってきた。雨が降るなか(途中でやんだ)、10人の選手が参加していた。
練習後、プレイングマネージャーの伊藤監督に話を聞かせてもらった。
1点リードの前半
――まずは前半について。
立ち上がりは悪くなかったです。リーグ戦だと序盤に失点するケースがあったんですけど、そうならないようにケアしつつゲームに入ることができた。相手の攻撃にも上手く対応できていました。
ゴール前までにボールを持っていくチャンスを数少ないながらも作ることができて、流れのいいときにカウンターで先制(得点は伊藤選手)。点を取ってからも、選手は集中していました。
合格とまでは言えないですけど、前半はいい感じでしたね。
4失点の後半
――後半は?
最初の失点は後半が始まってから10分過ぎですね。後半の最初は上手く凌げていたんですけど、ちょっとしたマークのズレから1点を失ってしまった。
そこから守備が崩れて、立て続けに失点してしまった。点を取られたあとにまた失点してしまうという、リーグ戦での課題が出てしまいました。
流れが悪くなって、ウチの選手たちの足も止まってしまった。向こうはさすがに運動量がありましたね。
ゲームの敗因
――立て続けの失点が大きいことではあったんですけど、敗因を挙げるとすれば何でしょうか?
一番大きなことは、1点を取った後に(追加点を)取りきれなかったことですね。
相手は受けの状態だったんです。そこでモノにできればいいんですけど、押し切れなかった。良い時間の後には悪い時間が来ます。そこを相手は上手く突いてきた。
1点を守りきるよりも、1点を取りに行くほうがいいんです。今回は上手くスキを突かれた。狙ってたんでしょうね。
――リーグ戦での悪い点が出てしまった…。
天皇杯でも出てきてしまいましたね。気持ちを切り替えても出てきてしまった。同点にされたら、相手の流れですからね。
――フリーキックでの失点もありました。
フリーキックに対してどうこうよりも、フリーキックになる前のシーンを防がないと。1つ、2つ前のプレイが問題なんです。マークがずれて、そうなってしまった。大事なのは「その前のプレイ」なんです。
――選手たちの集中力というのはどうだったんですか?
1点を失ってから、ウチの選手たちは経験が少ないので集中力が切れてしまう。紙一重の差なんですけどね。
経験不足というのはしょうがないので、どれだけ点を取って楽にするか、なんです。リードされるとプレイの幅が狭くなってしまう。経験がないから、プレイが小さくなってしまう。
サッカーは90分で勝てばいいんです。時間は90分ある。
数少ない収穫
――課題が多いんですけど、良かった点は何でしょうか?
収穫は数少ないチャンスをモノにできたことですね。
自分はフォワードなんですけど、なかなか前に参加することができない。前に出ればゴールはできる。(0-1と健闘した)ロッソ熊本との試合では最終ラインに入ってました。
やりたいポジションをできない選手がいるなかで、自分は後ろからチームを動かしてます。まずは点を取られないことが大事ですから。
vs三菱重工長崎
――次は最終ホームのリーグ戦、三菱重工長崎との試合です。残留のためには勝たないといけない試合と思いますが。
勝ち点を取りにいくと、勝ち点は取れないんじゃないかと考えてます。
たとえば、自分が前に行くのが「勝ち点を取るやり方」。でも、それをすると守りが薄くなる。
勝つためにはいかに失点を減らすか、です。攻撃チャンスは少ないし、強い相手との力関係というのはしょうがない。それをいかにするか、なんです。
次は勝ち点を取りたい。そのためには、失点をしないことです。失点をしないで、89分に点を入れればいいんです。
他にもいろいろ
メモを取っていたのはこれまで。メモを止めてからも、伊藤さんとの話は続いた。伊藤さんというのはサッカーが好きで、そしてサッカーの話をするのが好きなので、話はこちらが止めない限り続く。
先週聞いたこともまじえて、思い出したことを紹介してみよう。
【Kyuリーグ】
九州リーグの特徴として伊藤さんが挙げていたのは「ハイスコアが多い」こと。
九州リーグは春から秋にかけて行われる。九州での暑い時期だ。だから、選手の足が止まることが多いらしい。そして、得点シーン(もしくは失点シーン)が連続してしまう、と。
9月は台風がやって来る。雨の中での試合となる可能性が大きくなる。
【V・ファーレン長崎とニューウェーブ北九州】
残り4試合のうち2つがV長崎とNW北九州との試合だ。この2チームは九州社会人で試合を観たので、話に出た。
V長崎についてはサン宮崎FCは前節、4-6で負けている。前半は0-3、後半はなんと4-3。3点を先制されて(さらに3点を奪われながら)4点を取り返している。伊藤さん曰く「後半はノーガードの殴り合い」だったそうだ。次はいけると自信を見せていた。
九州社会人については、Kyuリーグのチームのモチベーションが低いのはしょうがないだろう、と。大事なのはリーグ戦だから。リーグ戦で地位が決まる。自分は「大相撲でいえば本場所ですね!」と言った。
【ロッソ熊本】
ロッソ熊本は全勝で全国決勝大会進出を決めている。JFL昇格は有力だと言われている。伊藤さん曰く「力はJFLの下位チームよりは上でしょう」。
このロッソ熊本とサン宮崎FCは0-1の接戦をした。この試合については「金星を得るチャンス、得点のチャンスは何度かあった。でも、決めさせずに、こちらから1点を取る力が向こうにはあった」そうだ。
ロッソの試合は一度は観ておきたい。じつは、2月のJキャンプのとき、宮崎に練習試合で何度か来てたんだけど…。
【選手に合った戦術】
代表の山下さんが語っていた「ボールをつなげるサッカー」というのは、伊藤さんが最初から打ち出したものでなく、今いる選手で最前のものとして辿りついたものだ。
【個人の力】
伊藤さんはチームの力よりも、個人のスキルアップを重視している。
チーム力というのは確かに重要。ただし、ここぞという場面では個人の力がモノを言うときがある。九州社会人でも「ここで個人技があれば」というシーンはあった。
個人の力があれば、必ずしもチームのかみ合いは必要ない――そういう考えだ。そして、個人のスキルアップは参加人数の少ない練習だからこそ力を入れれる。チームの一員としてだけでなく、一選手として存在感を示してほしい、と。
【さらに上へ】
今、チームの状況は良くない。雑音が入ることもあるらしい。でも、伊藤さんは「気にしてないです」とキッパリ。熱心に応援してくれる人もいれば、悪く言う人もいる。悪く言われるのは「気にしてもらってるわけだから」と。前向きに受け止めていた。
そして、この一年はチームのこれから、選手個人個人のこれからにとって良い経験になる、と。選手のサッカー人生はまだあるし、スキルがアップすればより上のチームで活躍してほしい、と。
残り4戦あるから、残留の可能性はまだまだある。サン宮崎FCの人たちは常に前向きで、あきらめることはしない。
他はジュニアの選手たちが大分遠征に行ってること、宮崎のこと、伊藤さんの夢、自分(てるKUN)の話など。
とにかく、次のホーム戦だ。
投稿者 pawaspo : 2005年08月25日 14:18