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2005年08月14日
春の高校バレー、出発は夏の延岡合宿から! [ バレーボール ]
帰省ラッシュがピークを迎える8月10日(水)~15日(月)、延岡市民体育館では「女子高校バレーボール夏季延岡合宿」が開かれています。延岡学園高等学校主催のもので、今年で3回目を迎えます。この合宿には県内の女子バレーボール部だけでなく九州地区や大阪府、そして大学生のチームまでもが参加しています。
高校総体が終わった今、高校バレーの次の目標は来年3月の全国高等学校バレーボール選抜優勝大会です。「春高バレー」に向けてレベルアップを図るため、優秀な監督・コーチ陣が見守るなか、内容の濃い練習や試合が行われています。
10月にはおかやま国体があります。国体に向けて、延岡学園女子バレーボール部が中心となった国体宮崎県代表強化チームのトレーニングも行われています。
8月13日(土)、「春高バレーの出発点!」という位置づけで1年生と2年生による新チームのトーナメントがありました。今回は13日の模様をレポートします。
(レポート:松田秀人)
延岡学園父母会の皆さんがフル回転
主催は延岡学園高等学校女子バレーボール部。合宿場所は地元・延岡!――ということで、延岡学園父母会の皆さんが裏方を務めています。
内容は選手や関係者の食事の世話から、遠方からやって来る学校の見送りまでさまざま。至れり尽くせりのサービスで合宿参加者がバレーに集中できるように、一致団結して協力しているわけです。
じつはパワナビもお世話になりました。お昼ご飯や冷たい飲み物、スイカまでいただき、朝から夕方までの約8時間、夏場の体育館ではありましたが、ずいぶん快適に取材することができました。
父母会の皆さま、ありがとうございました。
吉田国昭さん(日立佐和女子バレーボール部監督)
まずは、左の画像の女性。平川さんといいまして、父母会の方です。今回の取材で、パワナビとの連絡役としていろんな面で協力していただきました。
右の画像には延岡ではおなじみ、延岡学園女子バレー部を高校総体に10回も導いた名監督・佐藤美智夫さんの姿があります。
そんな2人の横にいらっしゃる方……。バレー通のアナタ、どこかで見たことはありませんか? そう、アトランタオリンピック日本女子代表監督の吉田国昭さんです。日本リーグではユニチカ、デンソーの監督を務められ、今年の3月にはVリーグ・日立佐和リヴァーレの監督に就任しています。
吉田さんはフジテレビの春高バレーコーチングキャラバンの鹿児島テレビ担当ということで、今回の合宿に参加している鹿児島女子高と一緒に延岡入りしています。
佐藤美智雄さん(延岡学園女子バレーボール部監督)
佐藤さんは延岡学園でバレーボール部の顧問を担当して30年。その間、高校総体に10回出場(ベスト16が最高)。春の高校バレーには8回出場(ベスト8が最高)している名将です。
右下の画像は、先日の2005千葉きらめき総体でのひとコマ。佐藤監督が手にしているのは、今年で10回を数えた高校総体出場を称えられてのものです。
【佐藤監督のコメント】
夏季の延岡合宿は今年で3回目になりますが、本日の大会を含め、この合宿の位置づけとしては春の高校バレーの出発点!と思っています。
もちろん国体出場選手のレベルアップもありますが、メインはまだ経験の浅い新メンバーたちが県外の強豪チームと試合し、一緒に練習し、技術以外にも様々な面で交流をはかり、刺激し合い、総合的にレベルアップが図れればと思います。私たちが主体となって、この延岡で開催することにしています。
延岡学園に関しては、新チームのなかに昨年からのレギュラーが4人残っているので、比較的にチーム作りは早いと予想できますが、チームカラーといった面は只今模索中です。そして国体宮崎県代表も延岡学園の選手が主となり、補強の意味で他校から3選手お借りし、チーム作りをしています。そういった意味では、今が一番忙しい時期ではありますね。
2005千葉きらめき総体(父母会撮影)
2005千葉きらめき総体に延岡学園女子バレボール部が宮崎代表として出場しました。
この大会は予選グループの勝者がそのまま決勝トーナメントに進出、敗者は敗者復活戦にまわるというものでした。
延岡学園は8月7日、東金アリーナで行われた予選グループで岡山の就実と対戦して16-25、13-25でストレートの敗戦。敗者復活戦にまわりました。そして、香川の丸亀城西と対戦して25-11、25-8で快勝。決勝トーナメント進出を決めました。
茂原市市民体育館で開催された決勝トーナメント初戦、相手は大分の東九州龍谷。1セット目を14-25、2セット目を18-25で落とし、高校総体を後にしました。
この画像は、父母会の方の撮影による、高校総体出場時のひとコマです。
国体に向けての強化トレーニング
延岡学園女子バレー部の国体宮崎県代表選手たちです。1・2年生の新メンバーによる本日のトーナメントに3年生は出場せず、国体に向けて九州女子大学、鹿児島第一幼児短期大学といった大学生選手たちと試合や練習をしています。
右の画像でピースをしているのが、国体メンバーキャプテン・齋藤泰子さん(3年)です。
【齋藤泰子キャプテンのコメント】
今年の国体宮崎県代表チームは延岡学園主体のメンバーのほか、都城商業から2人、泉ヶ丘高から1人の3人を補強メンバーとして構成されています。もちろん、全国制覇を目標にまずは精確なブロック、そして繋ぐといった基本を主に、気持ちは攻めて攻めて、攻めまくりたいと思っています。応援よろしくお願いします。
継ぎはぎだらけの応援旗
「真心」と書かれた真紅の応援旗は、佐藤監督が就任してから30年間、試合のたびに掲げられるそうです。
応援旗は修復に修復が重ねられています。裏側の継ぎはぎの凄まじさが、歴史を物語っています。
久光スプリングス
この合宿には久光製薬スプリングスの田中俊文部長、山本辰正副部長の顔もありました。久光スプリングスはVリーグやアジア女子クラブ選手権で優勝経験のあるチームです。
今日はほんと凄い顔ぶれで、パワナビは少しビックリしながら取材をしています。
新メンバー(1・2年生)トーナメント大会 出場チーム
佐賀北高選手に聞いてみた…
壁に向かってブロック練習をしている佐賀北高校の選手にあることを聞いてみた。
それは、ボールケースの中に入っているちょっと変わったボール。なんとなく違和感があったので、見せてもらった。なんと、手縫いでいろんなメッセージが縫いこまれている。
話によると、どうやら高校総体前に選手全員で作ったらしい。
さらに他の選手たちに聞いてみた…
延岡学園高校(左)と福岡九州女子高校(右)の選手。彼女たちが首から下げているネックレスは、みな同じデザインで色は様々。
何かの流行?…と思ったら、これはチタンネックレスといって、肩こりやスポーツ疲労に効くらしいことが判明した。
トーナメント1回戦~3回戦(準決勝)
25点先取のラリーポイント制、3セットマッチで行われたトーナメント戦。昨年の優勝校・延岡学園と、昨年の2位・熊本信愛女学院はそれぞれブロック違いのシードとなった。
変更事項として、1回戦を勝ち上がった大阪飛翔館高校がフェリーの時間がせまったため、3回戦進出を断念。敗者復活ということで、1回戦で敗れた福岡九州女子と鹿児島女子が対戦して鹿児島女子が勝利。大阪飛翔館の替わりに勝ち上がった。
【1回戦】
長崎聖和女学院 2-0 鹿児島女子高校
大阪飛翔館高校 2-1 九州女子高校
佐賀北高校 2-0 延岡商業高校
小林西高校 2-1 福岡誠修高校
【2回戦】
延岡学園高校 2-1 小林西高校
熊本信愛女学院 2-0 長崎聖和女学院
【3回戦】
熊本信愛女学院 2-0 鹿児島女子高校
延岡学園高校 2-0 佐賀北高校
お昼休み
決勝戦第1セット
決勝戦は昨年と同じ、延岡学園vs熊本信愛女学院になった。
コイントスで信愛がサービスを取る。ホイッスルから延学が2ポイント連取。アタックが良く、粘り強い守りからチャンスをうかがっている。
対する信愛は序盤からミスが多い。なかなか自分たちのリズムをつかめない。1-8となったところで、信愛が1回目のタイムを取った。しかし、延学のダイナミックなアタックが決まって、1-10と点差が広がってしまう。ここでたまらず、2回目のタイムアウト。監督は「リズム」という言葉を選手に連呼している。
これがいいキッカケになったか、信愛のサービスが鋭く決まりはじめ、チームにリズムが出てきた。このサービスをキカッケに、一気に盛り返す。最大で9ポイントあった点差が14-19までになった。
ここで一息入れようと、延学がタイム。しかし、信愛の勢いは止まらない。19-21と2ポイント差まで詰め寄る。さらに信愛が得点、ついに1ポイント差となったところで延学・佐藤監督から「思い切り行くところは自信をもってしっかりいけ!」と檄が飛ぶ。
すると、やや萎縮したようなモーションで破壊力のなかった延学のアタックが強烈になった。何かが吹っ切れたような、気持ちのいいアタックだった。
これを機に持ち直した延学が25-21で第1セットを先取した。信愛は序盤のミスが痛かったか。
決勝戦第2セット
コートをチェンジしての第2セット。「リズム! リズム!」と信愛ベンチから檄が飛ぶ。
1セットと変わって、今度は信愛がスタートから2ポイント連取。信愛4-3延学で迎えた序盤に長い攻防があった。最後は信愛のアタックミスで終わり、ここからまた延学のアタックに勢いが出始めた。
しかし、信愛のサービスも厳しいところを突いて、効果的にポイントを上げている。1セット目とは打って変わって、第2セットはシーソーゲームだ。
10-10の同点となったところで、奥のコートで練習していた延学の3年生たちが応援に駆けつけた。そして、大声援を送る。
13-13。それにしても、お互いよくボールを拾う。信愛のサービスは相変わらず鋭く、延学のアタックは強烈だ。
15-15。信愛のアタックが決定打になると思われたが、延学が執念で拾った。延学がこのとき、強引に流れを引き寄せた。なんと、信愛のサービスにミスが出始める。
17-16で延学がリード。ここで信愛がトスミス、2点差に広がる。信愛は気持ちを切らさないように自らを奮い立たせ、延学に食らい付いていく。差が広がらない。
19-18で延学が1点リード。ここで、たっぷりとタメの効いたアタックが延学から飛び出す。信愛は触ることができなかった。さらにもう1本、ノータッチアタック。気分を良くしたか、延学のブロックも決まりだす。
延学が22-18と一気に4点リード。ここで信愛はタイム。
しかし、反撃もここまで。最後は延学の豪快なアタックが決まり、25-21で2セット目も延学がゲット。3年連続の優勝を決めた。
この夏季合宿は何をどのくらい吸収し、感じたかによって来年の春が決まってくるとも言われるほどに大切な数日間です。
子供たちはもとより、県内外の学校がこのような形でたくさん集まり、一緒に練習し、刺激し合えるような環境を作っている関係者皆さんの努力にも頭が下がりました。
高校野球の取材でもそうでしたが、1つの勝利の重さはTVで試合を観ているだけではわからないとつくづく感じさせられました。
合宿に参加した選手たちは、まずは国体に向けて頑張ってほしいと思います。今日は本当にお世話になりました。
(取材&撮影:パワナビ、編集:てるKUN)
投稿者 pawaspo : 2005年08月14日 03:51