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2005年08月01日
聖心ウルスラ学園レポート④~汗まみれ砂まみれの練習 [ 野球 ]
短大のなかにあるグランド。ブルペンもある野球用のグランドだ。だた、本塁ベースの裏はすぐネットだし、広くはない。
グランドでは紅白戦をしていた。監督にまずは挨拶したかったけど、邪魔するわけにもいかないので後ですることに。ベンチ周辺にはテレビカメラや記者たちがいる。
歩いてると、こちらに気づいた野球部員が必ず挨拶してくれる。こっちを真っ直ぐに向いて、帽子を取って「こんにちは!」と頭をきちんと下げてくれる。練習中でも手を止めてくれるから、恐縮してこちらも何度も頭を下げた。
松田さんとずっと話していたけど、この日は校門をくぐってから感心することばかりだ…。
グランド周辺は住宅街。道路を挟んだ向こうは公園だったり、住宅だったりする。1塁側のマンションには、「祝 甲子園出場 祈 必勝」と手書きの幕が張られている。マンション住民のものだろうか。
甲子園出場がなければ、自分の目の前の練習風景はあるひとつの野球部の、この街の日常のままだったと思う。でも、今は取材陣が多く訪れている。2台のテレビカメラ、アナウンサーの女性、脚立をかかえたカメラマン、ペンを持った記者たちがネタを拾おうとしている。
平日の昼ながら、見学の人もいる。どんな人たちなのだろうか。話を聞けばよかった。ネット裏にはいかにも“近所のオヤジ”って感じのラフなオジサン2人が陣取っている。
紅白戦を見守る(写真撮り忘れた…)。選手みんな声をよく出す。大きい声で「ちゃんと捕れー!」とか。声が途切れない。
紅白に参加してない選手も何かしら動いている。ブルペンでの練習、打撃練習、サポートなどなど…。サボっている選手などいない。暑い中をキビキビ動いている。しかも、声をよく出して。自分のような者がいれば、挨拶してくれる。
ちなみに、自分がカメラを向けるとやはり意識するらしく、照れてる選手が何人かいた(苦笑)
ホームベースの裏に行ってみる。オヤジたちの話をこっそり聞く。「いい球投げちょっが」とか2人で話してる。テレビのスタッフがインタビューに来ると、かしこまって「全力を出して頑張ってほしいですね」とか言ってた。オヤジたち、ビールを片手にテレビで応援するんだろうなぁ。
グランドにある道具を見てみる。
籠に入った、トスバッティング用のボール。なぜか赤いものが多い。じつはこれ、赤や白のビニールテープで覆ってるのだ。ビニールを付けてないボールは縫い目がほつれてボロボロになっている。さらに酷くなったものをビニールで被せて、大事に使っているのだ。
木を組んだ枠にタイヤを付けたもの。これは打撃練習用。バットで叩くのだ。松田さんがバットで叩いてる選手を見て、「青春って感じでいいよね~」と言ってた。自分は好きだった野球漫画『キャプテン』(今は高校編の『プレイボール』を深夜に放送中)をなぜか思い出してしまった。
何に使うかわからないけど、錆びたハードルがある。グランド整備用のトンボは、サッカー部時代に練習が終わってから、トンボを引いて走りまわったのを思い出してしまった。木の椅子とか、ピッチングマシーンとか。どれも使い込まれた感じだ。
ベンチはトタン屋根で、これまたボロい(ゴメンなさい)。誰がどうやって造ったのか、聞いてみればよかった。
紅白戦が終わると、部員たちがトンボを持ってグランドをならす。選手が守備につき、石田監督がバットを持ってノックが始まった。
監督の後ろの部員がサッとボールを渡して、監督が打つ。選手たちが懸命に追う。太陽は出てないけど、蒸し暑くてジッとしてるだけで汗がダラダラ出てくる。
「なにやってんだーーーーーー!」
もし、気を抜こうものなら監督の怒声が響く。そのときはグランドはシーンとなる。選手は棒立ちになって、監督の声を「ハイ!」と言いながら聞く。そして、監督の容赦のない「走れ」指令が出る。
「おまえ、走って来ーーい!」
言われた選手は帽子を取って「ハイ!」と頭を下げて、ダッと駆けていく。まわりはノック練習に戻る。監督の怒声が響かない間は、選手たちが声を出している。
なるほど、谷川さんの言われていたように監督は「野球に妥協がない」。だからこそ今回、甲子園という結果を出せた。今思うと、監督の厳しさのおかげで、選手たちは取材がいる中でも練習に集中できたのではないだろうか。
目の前の選手たちは、まさに汗まみれ砂まみれだった――。
投稿者 pawaspo : 2005年08月01日 18:04