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2005年08月18日

宮崎からJを目指す「サン宮崎FC」 <下> [ サッカー ]

 選手たちが練習に励んでいるとき、代表の山下さんに話をうかがった。
練習後のアップ

 
代表・山下さん「サッカーに集中できる環境を」

 山下裕記さんは20代後半と若い。日章学園ではキーパーをしていたそうだ。サン宮崎FCにはプロフェソール時代から関わっており、2月の再スタートから代表として奮闘している。

――サン宮崎FCでプレーする選手たちについて。

 選手たちは仕事をしながら、サッカーをしています。今日なんか人数が特にそろってないですけど、練習になかなか参加できない選手はチームから離れてしまうし、11人に選ばれないで去っていく選手もいます。
 サッカーと自分の生活、どっちを中心にしていくか。どっちを選ぶか、です。(サン宮崎FCとしての)1、2年目はサッカーだけの人間ばかりでしたけど、今年からはまずは生活をキッチリやろうと。サッカー以外の私生活をキッチリやろうと。そのうえで、サッカーに取り組んでいこうと。
 今いる選手たちは、技術では今までより落ちます。でも、ハートは強い! 子供たちと楽しくサッカーをしたり、人間味があります。

――Kyuリーグでは最下位と厳しい状況ですが。

 応援してくれる方々にいい報告ができないのは辛いです。Kyuリーグはレベルが高いですよ。

――チームを運営することについては。

 経営は苦しいけど、残り4つでなんとかいいサッカーをやりたい。
 僕たち(スタッフ)は選手がサッカーに集中できる環境を作っていくのが仕事。組織を強くしていかないといけません。経営のスペシャリストが入ってくれればいいんですが…。

――話変わって、サン宮崎FCはどういうサッカーするのでしょうか。

 サン宮崎FCで目指すのは、11人みんながボールに触るサッカーです。中盤を経由して、両サイドからの攻撃をスピーディーに行う。そういうサッカーです。
 ウチではこの選手にはこういう戦術を……という感じでやってます。Jリーグだったら、監督のために選手がいるようなものです。監督の戦術ありきで。上に行けば行くほど、それは強くなります。ウチはそうはいかないですから。

 話はここまで。
 選手たちにはサッカー以外の生活をまず大事に送ってもらっている。そのうえでサッカー、だ。そうしないと現状では選手の生活もチーム運営も成り立たない。
 ただ、スタッフとしては選手がサッカーに打ち込める環境を作っていきたい。厳しい現状でもベストを尽くしたい。チームとして強くなっていかないと、前進はないのだから。
 山下さんとの会話で印象的だったのは「子供が好きなんですよ~」と笑顔で語っていたこと。ほんと、子供が好きらしい。ジュニアチームの活動もだし、子供たちにサッカーを伝えていくことがほんと楽しそうだった。


2時間半の練習

 パスが終わると、4vs4のミニサッカーが始まった。それからは「1vs1でシュート」「センターから2人置いて、パスを受けながらゴールに向かってシュート」「攻撃2人、守備1人でのサイドからの攻め」「1vsキーパー」といった内容をこなしていた。
 自分はキーパー出身なので、キーパーの練習が気になってしまう。キーパーは別メニューでシュートキャッチなどの練習。このチームには今、キーパーは1人しかいない。
 選手たちは練習の合間にドリンクを飲んでいた。自分がプレーしていたのは「水は飲むな!」と言われた根性論の時代。夏場はこっそりトイレに行くふりして、水を飲んでいた。今は選手も審判も水分補給に努めるのが当たり前になっている。
 22時前、練習は終わった。汗だくのプレイングマネージャー、伊藤昭朗選手に話を聞かせてもらった。
キーパーの練習 シュート練習


選手&監督・伊藤さん「これから上にあがっていきたい」

――まずは、伊藤さんについて聞かせてください。

 僕はプロフェソールがJFLだった頃からの選手です。いったん他に移籍したんですけど、1年でカムバックしました。

――監督もやられてますよね。

 今年から新体制になって、監督としてやらないかと声をかけてもらいました。監督は初めてです。2足のわらじ、ですよね。
 話があったとき、「やる価値はあるかな」と思いました。人としても、選手としても成長できるだろうと。

――この半年を振り返ってどうですか。

 選手のコミュニケーションが足りない。選手たちがどういうプレイヤーなのかわからないまま、リーグがスタートしてしまった。そういう点では他のチームよりも遅れてしまいましたね。
 時間がたって、いい部分も増えてきています。グランドの内外に理解者がいるというのは大切なことです。

――ということは、チームがこれから良くなっていく余地は十分あるということですね。Kyuリーグは残り4試合あります。

 次節(9月4日、vs三菱重工長崎)については勝ち点差を縮めるためにも、やるだけのことはやりたい。ホームゲームだけに、地の利も活かしたい。

――リーグ戦最後のホームゲームですし、ファンがいっぱい応援に来るといいですよね。

 お客さんが多いとテンションが上がります。いい雰囲気のなかでやりたい。
 ウチの選手たちは、まだ見られることに慣れていない。見られることで、選手として向上していきます。
 自分もだし、他の選手もそうですけど、サッカー人生はまだまだこれから。ここで終わるとは限らない。サッカー人生の今後を見据えて、これから上にあがっていきたい。

――今月は天皇杯の宮崎予選も行われています。予選を勝ち抜けば、そして宮崎代表として全国大会に出場すれば、注目度も上がります。そういう意味で、天皇杯も大事ですよね。

 (次で戦う)産経大は力を付けています。チームとしての勢いもあります。ウチとしては、チャレンジャー精神をもってのぞみたい。
 順調なら次は鵬翔高校、そしてホンダロック。勝って宮崎代表になります。

――ところで、練習について聞かせてください。

 (みんな)仕事をしながら、都合をつけてやってます。人数がそろわなかったり、厳しいことは確かにいろいろあります。でも、その中でもやるべきことはやる。スキルを上げて、チーム力を上げるのは、人数が少なくてもできることですから。

――最後に、記事を読んでる人たちへ。

 サン宮崎FCのことを1人でも多くの人に知ってもらって、興味を持ってもらって、会場に足を運んでもらいたい。サッカーを間近に観れば、絶対はまると思います。

 伊藤選手には落ち着いた口調で、丁寧に受け答えしてもらった。
 厳しい質問を投げかけたけど、スタッフと同様に返ってくる答えは前向きなものばかりだった。冷静にチームを見つめ、この状況を受け入れて、なんとかしようとしている。
 印象的だったのは、チームとしてだけでなく、自分個人の向上心を強く持っていること。監督を受けたこともだし、「サッカー人生はまだまだこれから」といった言葉などの端々で感じた。
 静かなチームリーダー。でも、ハートは燃えている――そういう人だった。
伊藤昭朗選手兼監督


まずは天皇杯予選、そしてKyuリーグ

 サン宮崎FCの次の試合は21日(日)の天皇杯宮崎県予選準々決勝、宮崎産業経営大学との試合だ(小林市総合運動公園陸上競技場、14:00~)。
 勝てば27日(土)の準決勝でディナモ都城と鵬翔高校の勝者と、28日(日)の決勝でホンダロックFCか宮崎日大か日章学園のいずれかと戦うことになる。
 この大会を勝つチームが宮崎最強であり、そのチームが「宮崎」を背負って全国大会で戦うことができる。サン宮崎FCにとっては絶好の場だろう。

 そして、Kyuリーグが残り4試合ある。9月4日(日)は運動公園ラグビー場で、9位の三菱重工長崎と戦う。最下位脱出には勝つしかないし、ホームでは最後の試合だ。
 多くの人に足を運んでもらって、応援してほしい。それは、サッカーの楽しさに触れるいい機会にもなるだろう。

 Jリーグへの道は、はっきり言って厳しい。ただ、サン宮崎FCは宮崎のサッカーをより良く、面白くできるチームになれると思う。
 サン宮崎FCについては、これからも紹介していきたい(21日の試合は現地に行けないかも…)。
サン宮崎FCの選手とスタッフ

投稿者 pawaspo : 2005年08月18日 15:15

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