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2005年08月18日
宮崎からJを目指す「サン宮崎FC」 <中> [ サッカー ]
12日の金曜日、サン宮崎FCにコンタクトを取ってスタッフに会い、夜はシーガイアで練習を見させてもらった。
広報・坂上さん「選手を大きいクラブに送るのが夢」
12日の昼、サン宮崎FCの企画・広報を担当されている坂上司さんにお会いした。
坂上さんがサン宮崎FCに加わったのはフロントが新体制になってからで、まだ半年。じつは、宮崎産業経営大学のサーフィン部監督でもある。この日の朝、MRTのテレビ収録に行っていたそうだ。昨日(17日)夕方のローカルニュースに、日本一のサーフィン部の監督として登場している。
坂上さんに会ったのは取材のためでも、ここに載せるためでもなかった。紹介はしたいけど自分が知らないことが多いので、とりあえず話を聞くためである。宮崎パワスポについての説明もしないといけない(なんせ、オープンしたばかりの無名メディアなので)。
まあ、雑談である。サン宮崎FC以外の話もした。サーフィンや競馬のことなどいろいろ。
自分が一番知りたかったのは「どんな選手がプレイしてるのか?」。坂上さんの答えは「みんな仕事をしながらプレイしてます」だった。全員、仕事をやりながらサッカーもしているアマチュアということ。ちなみに、Kyuリーグ1位のロッソ熊本は全員プロ契約である。サン宮崎FCの選手たちはブログをやってるので、ぜひチェックを。
サン宮崎FCは沖縄で試合をすることもある(Kyuリーグの10チーム中、3チームが沖縄)。遠征費はどうしてるのだろうか? 坂上さんの答えは「2割は選手が負担、残りはクラブが出してます」。これが資金豊富で、サッカーに専念できる環境のチームなら選手が負担することなどない。しかし、サン宮崎FCの選手たちはそうはいかないのだ。
坂上さんから選手たちの顔写真入り名簿をいただいた。20人の選手が載っている。そして言われた。「3人、もういませんから」と。辞めた選手のブログ記事を読むと切なくなってしまう…。
サン宮崎FCの話を聞けば聞くほど「大変だよな…」と思った。とにかく、厳しい。
しかし、坂上さんとの話は暗いものではなかった。とても前向きで明るい。「なんかいいアイデアないですか?」と苦笑しながら自分に聞いてくる。
厳しいといえば、Kyuリーグでの順位。客観的に見て最下位で終わる可能性が、Kyuリーグから降格する可能性が一番高いのはサン宮崎FCである。言いにくいことではあるけど、「降格したらどうするんですか…?」と聞いてみた。でも、坂上さんから答えが返ってくることはなかった。「あと4試合あるし、うち2つは下位との試合ですから」「次は9位の三菱重工長崎とのホーム戦だし、それをなんとか勝てば」と最下位脱出のことしか口にしなかった。強い気持ちを感じた。
サン宮崎FCについては知り合いのメディア関係者に「露出が少ないよね」と言われていた。この話を坂上さんにしたら「メディアが取りあげてくれないんですよ」と言われた。レイザーラモン風に言えばサン宮崎FCとしては「ばっち来ーーーい!」なのである。自分は宮崎のために、地元のチームや選手はどんどん取り上げたい。
チーム運営について、坂上さんが夢を語ってくれた。それは「サン宮崎FCの選手を大きいクラブに売れるようになりたい」。
「え!?」と思われた方もいるだろうけど、海外市場ではよくあることだ。小さいクラブが有能な選手を大きいクラブに移籍させることで、多くの金を手にすることができる。たとえば、野球の四国アイランドリーグ(四国IL)に所属する選手がプロ球団と契約したとき、契約金の何割かを四国ILが受け取ることになっている。それをリーグ運営にまわして、プロを目指す場として活性させていくのだ。これに近い。
サン宮崎FCがJリーグ所属になるのが最終到達点ではあるけど、それ以前に有能な選手が集まってサッカーに打ち込め、そしてより大きなステージに飛躍できる環境を宮崎に作ることが大事なのかもしれない。
坂上さんとの話で「宮崎パワスポでこれから紹介させてください」となった。夜にシーガイアの練習がありますよと誘われたので、見学させてもらうことにした。他のスタッフや選手たちにも会える。
練習用のグランドは最高! でも…
サン宮崎FCは月水金の夜、19時からの2時間半を練習に当てている。土日は試合や移動日で、何もなければ練習。
この日の練習場所はシーガイアイベントスクエア(多目的広場)だ。
19時頃、イベントスクエアに着いた。すぐ近くがサミットホールで、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートを見上げる位置にある。
ナイター用の照明が広々とした緑の芝生を照らしている。サッカーの練習グランドとしては素晴らしい。ここはJ1のサンフレッチェ広島がキャンプ時に使っている。
宮崎はこういう快適なグランドがたくさんある。しかも、雨さえ降らなければ一年中プレイできる。日本代表やJリーグ10チーム(鹿島、広島、C大阪、川崎、G大阪、大宮、福岡、仙台、札幌、草津)が宮崎でキャンプを行うのは、宮崎のこの環境があればこそ。サン宮崎FCは国富町や綾町のナイター設備があるグランドでも練習しているそうだ。
自分が中学、高校でサッカーをやってた頃は土のグランドばっかりだったので、この芝のグランドはかなりうらやましい。
(お昼の画像は日曜14日の練習のときのもの)
練習には選手の他に代表の山下さん、事務局長の藤元さんが来ていた。挨拶をかわす。
選手は9人。他に怪我で参加できない選手が2人。少ない。山下さん曰く「今日は特にそろっていない」とのこと。いつもは13人ほど。仕事でなかなか練習に参加できない選手もいるそうだ。
選手たちが輪になって柔軟運動を始めた。練習内容は監督を兼任している伊藤昭朗選手(FW、10番)が決めている。
柔軟が終わると、ボールを手に持ってバスケットボールのようなミニゲームを始めた。選手を見ていると、サッカーの動きに通じるものだとわかる。選手はみんな楽しみながらやっている。負けたら腕立て伏せだ。
練習をサポートしていたのが3人のマネージャー。坂上さん、田代さん、衣笠さん。彼女たちも選手同様、仕事をしながらサン宮崎FCに参加している。ドリンクを用意したり、ボールを拾ったり、裏方として動きまわっていた。
選手たちが2人ずつに分かれて、パスを始めた。どんどん離れていく。
ここで気づいたことがあった。それは、サッカーの練習にしては人数が少ないこと。人数が少ないと、練習のバリエーションが少なくなってしまう。
自分が中高の頃、部員は30人近くはいた。サボる奴、都合の悪い者がいなければ、放課後に部員はほとんど揃って、自前のグランドで練習できた。部員が多いから、練習内容もいろいろできた。攻撃と防御に多くの人数を使うもの、セットプレーの練習など実戦的なことも。しかも、2つに分かれてやれる。土曜は紅白戦、日曜は練習試合。不自由していたのは土のグランドでよく怪我をしていたこと、暗くなると何もできないことぐらい。
サン宮崎FCはきれいな芝のグランドで練習している。でも、毎日ではないし、人数も揃わない。じつは、グランド以外は中学や高校のサッカー部以下の環境と言ってもおかしくないものだった。
投稿者 pawaspo : 2005年08月18日 02:07