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2005年08月14日
宮崎からJを目指す「サン宮崎FC」 <上> [ サッカー ]
今、日本には「Jリーグ」を目指すチームが40ある。そのなかのひとつが宮崎のサン宮崎FCだ。まずはサンFCが戦うKyuリーグ、その位置づけ、Jリーグへの道筋について触れてみよう。
J1、J2、JFL、地域リーグ、都道府県リーグ
サッカーリーグといえば、多くの人が真っ先にJリーグを頭に浮かべるだろう。Jリーグは93年に発足した日本初のプロサッカーリーグで、現在は30チームが所属している。
Jリーグは99年、二部制に移行した。30チームはディビジョン1(J1)とディビジョン2(J2)に分かれている。J1は大分トリニータなど18チーム。J2はアビスパ福岡、サガン鳥栖など12チーム。J1、J2ともリーグ戦をメインにしており、J1は優勝(=日本のクラブチームの頂点)、J2はJ1への昇格を目標にして戦っている。
J2の下にあるのがJFL。Jリーグ発足以前、つまり日本にプロのサッカーチームがない時代はJFLが頂点だった。今は「アマチュアリーグの最高峰」に位置づけられている。
JFLに所属するのは日本各地の16チーム。Honda FCのような企業チームもあれば、流通経済大学のような大学チームもあり、そしてFCホリコシのようにJリーグを目指すクラブチームもいる。
今年からは宮崎県佐土原町に本拠を置く企業チームホンダロックFCが加わっている。
JFLの下にあるのが地域リーグだ。北海道、東北、関東、東海、北信越、関西、中国、四国、九州の9地域にある。
さらにその下にあるのが47の都道府県リーグ。たとえば、宮崎なら「宮崎リーグ」。宮崎は1部リーグ、2部リーグ、3部リーグの三部制で行われている。
このように、日本のサッカーリーグはピラミッド式になっている。この図を見てもらうとわかりやすい。
Jリーグを目指すには?
Jリーグを目指すチームが40あると書いたけど、JFLのチームもいれば都道府県リーグのチームもいる。そう、最下層の都道府県リーグからでもJリーグを目指すことができるのだ。
Jリーグを目指す道筋は、まずは「JFLに昇格すること」だ。都道府県リーグから地域リーグに昇格し、地域リーグで優勝する(もしくは2位以内に入る)ことで地域リーグ全国決勝大会に進出することができる。ここで2位以内に入り、JFL下位チームとの入れ替え戦に勝てばJFLに昇格する。
ちなみに、昨年のホンダロックFCは特殊なケースでの昇格だった。JFLからJ2に2チーム昇格したので入れ替え戦がなくなり、国士舘大学が不祥事でJFLを脱退したため、全国決勝大会3位だったホンダロックFCが昇格することができた。
JFLに加入すれば、次は「2位以内」を目指す。J2への昇格は年間順位が原則2位以内とされている。
他にも条件はある。「ホームタウン制の確立」「クラブの法人化」「スタジアム」「ユースチーム」などなど。
こういった条件を満たして昨年、徳島ヴォルティスとザスパ草津がJ2に昇格した。
最下層からもJリーグを目指せるけど、サッカーの強さ以外に運営面の強さ、地域との結びつきも必要だ。一筋縄ではいかない。しかも、競争相手が多い。
Kyuリーグとは?
九州の地域リーグがKyuリーグ。10チームが参加しており、4月から10月まで総当りのリーグを戦っている。
現在1位にいるのがロッソ熊本。Jリーグを目指すチームで、地元のバックアップやスポンサーの支援が強く、資金も多い。選手は全員プロ契約。14戦全勝ですでに2位以内を確定、地域リーグ全国決勝大会進出を決めている。聞いた話によると、ロッソ熊本の試合は「地域リーグらしくない」そうだ。会場はJリーグのようにスポンサーの看板がズラリと並び、チームカラーの赤に染まっている――と。JFL昇格の可能性は高いだろう。
2位が沖縄のFC琉球。監督は読売クラブで活躍した与那城ジョージ氏。選手には元Jリーガーや外国人がいる。今週発売の『サッカーダイジェスト』に特集記事があるので、読んでみることを勧める。
3位はV・ファーレン長崎。国見高校の総監督・小嶺忠敏氏を推進委員会の会長として、Jリーグを目指している。
他にJリーグを目標にしているのは5位のニューウェーブ北九州、6位のヴォルカ鹿児島、8位の沖縄かりゆしFC、そして10位のサン宮崎FC。
4位の新日鐵大分、7位の海邦銀行SC(沖縄)、9位の三菱重工長崎は企業チームだ。
Kyuリーグは地域リーグの中でもレベルが高いと言われている。
サン宮崎FCとは?
スタートは宮崎県教員団のサッカー部。このサッカー部が強化の過程で、Jリーグを目指すクラブチーム「プロフェソール宮崎」になった。プロフェソールとはスペイン語で「教員」のことである。
99年は宮崎県2部リーグで優勝。2000年は宮崎県1部リーグで優勝、九州サッカーリーグに昇格した。翌年には九州リーグで優勝、全国地域リーグで2位となり、JFL昇格を決めた。宮崎のチームがJFLに参加するのは初めてだった。
しかし、順調だったのはここまで。02年はJFLで最下位となり、たった1年で九州リーグに降格してしまった。
これについては、沖縄かりゆしFCの監督だった加藤久氏が琉球新報の記事でこう語っていた。
2002年に宮崎から「プロフェソール宮崎」というチームがJFLに昇格しました。しかし、わずか1年で地域リーグに逆戻りしました。チーム運営のまずさが原因だったと言われています。資金の獲得だけでなく、行政を動かす人的なネットワークと大義をつくること、県内のサッカー関係者やサポーターの後押しを得ることなど、チーム運営に携わる人間には、日々の地道な努力が要求されるのです。
(2004年10月5日琉球新報)
03年、チームは名称を「サン宮崎FC」に改めて再出発。九州リーグで7位。翌年は8位だった。
そして、05年。選手はたった2名しか残っておらず、解散も考えたそうだ。なんとか選手を集め、新しい体制でスタート。Kyuリーグに臨んだ。
現在の成績は最下位。14戦を終えて1勝13敗。1勝はPK勝ちなので、勝ち点は2。残り試合は4戦で、9位の三菱重工長崎とは勝ち点で5つ差がある。このまま最下位で終われば、Kyuリーグから降格となる。
サン宮崎FCは正直言って「弱い」。グランド上でも、そして運営についても。大きなスポンサーもいない。
ただ、恵まれない環境で頑張っている。選手は仕事をしながら、サン宮崎FCで活動している。スタッフは少ない人数で四苦八苦しながらやっている。たとえば、同じリーグで首位のロッソ熊本とは随分と差がある。
そんな彼らが、じつはロッソ熊本相手に4月こそ0-6で完敗だったけど、7月には0-1と健闘しているのだから面白く感じる。
サン宮崎の活動はピッチ上のものだけではない。12歳以下のジュニアチームがあるし、無料のサッカースクールを毎月1回開いている。
宮崎のサッカーの裾野を広げるために、子供たちにサッカーの楽しさを知ってもらうために活動している。
他にも献血に参加したり、仕事と練習と試合の合間に、地域に貢献するために動いている。
じつは、サン宮崎FCのような存在は宮崎では貴重なものだと思う。
宮崎は「スポーツランドみやざき」を掲げてはいるものの、グランドや会場を作ったり、宮崎県以外からチームを呼んだりすることがメインのように見える。それも大事なことではあるけど、せっかくの環境を宮崎県民が十分活かしていると言えるのだろうか。
そして、宮崎には自前のチームというのがあまりない。たとえば、野球は都市対抗の九州予選に出場するようなアマチュアチームがいない。「宮崎」を背負って、宮崎県のファンの声援を受けて、宮崎県の外で戦うチームがいない。そういうチームがあれば、スポーツをライブで楽しむ機会も増えるのに。スポーツに励む子供の目標が宮崎にはなかなかない。
サン宮崎FCは、大きすぎる目標だろうけどJリーグ参入を掲げている。日本のサッカーリーグの頂点にいつかたどり着くことを。
ただ、今現在の状況ではどうにも説得力がない。Jリーグ参入はどんどん勝ち上がらないとできないのだから。負けていては進めない。しかも、全国にライバルはたくさんいる。
そして、サン宮崎FCの知名度は高くない。メディアで取りあげられることも少ない。どういうチームで、どういう選手がいて、どういう活動をしてるのかよくわからない人が多いだろう。
じつは、この記事を書く数日前の自分が知らなかった。チームの名前とKyuリーグで最下位というのは知っていたけど。
どんなチームか知りたくて、そしてパワスポを通じて伝えたくて、サン宮崎FCに関わってる人たちにコンタクトを取ってみた。
【参考】
日本プロサッカーリーグ(Wikipedia)
kyuリーグ(日刊スポーツ九州)
夢へ挑戦! 沖縄にJリーグチームを(琉球新報)
投稿者 pawaspo : 2005年08月14日 02:02
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ちょっと体調悪くて寝ようかとも思ったのだけれど
どうしても紹介したいものをハッケンしたので・・・
パワスポっていう、
宮崎のパワナビという情報サイトの... [続きを読む]
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