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2007年07月28日
Fried Pride DVD Release Tour 2007 in MIYAZAKI [ ライブハウス ]
◆ライブレポート&インタビュー
(データのトラブルにより更新が遅れた事をお詫び申し上げます)
6月28日「宮崎SR-BOX」にて、約一年ぶり(前回2006年8月30日)となる「Fried Pried」の宮崎ライブが行われました。昨年行なわれた宮崎ライブでは「6枚目にして初の日本語に挑戦!」というアルバム「Musicream」が発売された直後だった為、ステージでも日本語楽曲を多数披露とフラプラファンにはたまらない内容だったのが記憶に新しいところです。そして今回は2005年8月のニューヨーク『Blue note』でのライブと、2006年11月に東京で行なわれたライブの模様が収録されているDVD「Fried Pride Live In New York & Tokyo」(2007年3月発売)ツアーという事で、DVDに収録されているようなクオリティーの高いパフォーマンスがここ宮崎で観ることができました。人間の微妙な感情を音に変換し、圧倒的な表現力で肉感的に聞かせてくれるフラプラのステージはどんな人でも、ついつい引きこまれてしまうのです。それでは、当日のライブの模様と、ライブ後のインタビューを合わせてごらんください。
(ライブレポート:木原ケイ インタビュー:松田秀人)
日時:2007年06月28日(木)
会場:宮崎SR-BOX
取材協力:株式会社ホリプロ ガクオンユニティフェイス
■Fried Pride公式ホームページ↓
URL:http://www.friedpride.com/
■ビクターエンターテイメントFried Prideホームページ↓
URL:http://www.jvcmusic.co.jp/friedpride/
■Fried Prideブログ「フラリプラリ」↓
URL:http://yaplog.jp/friedpride/
■前回(2006年8月30日)の宮崎ライブレポート↓
URL:http://www.pawanavi.com/music2/archives/2006/09/fried_pride_liv.html
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◆Fried Pride プロフィール
類まれなる歌唱力と表現力を併せ持つハートフルヴォーカリストShihoと、超絶技巧のスーパーギタリスト横田明紀男の二人からなるジャズを超えたジャズユニット。2001年9月、日本人初の米国コンコード・レーベルからアルバム「Fried Pride」でデビュー。日本人離れした歌唱力とアルバムクオリティーの高さ、誰にも真似できないギタープレイで各方面から大きな注目を浴びる。その後、定期的にアルバムを発表。2004年8月にリリースした4thアルバム「That's my Way」ではグラミー賞アーティストでもある"マーカス・ミラー"、"ギル・ゴールドスタイン"、"マイク・マイニエリ"と共に作品を製作。この作品をきっかけに本格的に海外での活動をスタートさせた。現在までに米国ニューヨーク・ブルーノートをはじめ、数々の海外公演やイベントに出演する。2005年5月リリースの5thアルバム「two,too」でも更なる進化を魅せオリコンジャズチャート3位を記録。常に現在に満足せず、新たな可能性に二人で挑戦し続け、独自のサウンドやプレイスタイルはもちろん、ワールドワイドな活動を積極的に行い、多くの人々を魅了している。そして、いよいよ初の日本語に挑戦した6枚目のアルバム「Musicream」を2006年6月21日にリリースした。
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◆ライブ風景
薄暗い照明の中、Shihoさんのエネルギッシュな歌声がライブ会場に響き渡る。はっきりと姿を確認できない状態で、その歌声だけに耳を傾けると、体の大きなアレサ・フランクリンのような女性がヴォーカルを務めてるのでは?と思わず連想してしまう・・・。もちろんShihoさんはアレサとは180度違うプロポーションの持ち主だが、その歌声が耳に届けば、誰でも巨大なオーラを感じ、それがそのままイメージの塊となってこちらに押し寄せるまでに、さほど時間はかからない。さらに何処からともなく、ブギーのようなリズムを奏でるギターの音が重なると、あっという間にFried Prideの空気感が出来上がる。
前半から、かなり飛ばし気味に横田さんの圧倒的な超絶ギターテクニックが披露される。「やっぱり南国だから指が暖まるのも早いのかな〜」なんて事を思いつつ「叩く・はじく・掻きむしる?」という、おおよそギターを奏でる行為とは言えない(笑)、それでいてとても繊細なプレイを、至近距離でまざまざと見せ付けてくれた。なんといっても、通常のギターサウンドの隙間にベースやドラム的な表現の音が入り込むことで、さらに躍動感、臨場感がアップする「肉感的」な一人バンドサウンド状態は横田さんならではのプレイ!まるで音が汗をかき、臭いを発しているかのようである。MCでは「ようこそ宮崎へ!って書いてある知事の看板と肩を組んで記念撮影しちゃいました」と、ちょっと恥ずかしげな告白をされた横田さん。つい先日、48回目の誕生日を迎えられたそうだが、精神的に弱いのは変わらないそうで、「にんべんに弱と書いて『よこた』と呼ぶんです(笑)」とShihoさんに解説される始末・・・。そんな楽しいMCを挟みながらライブが進む。
そんな控えめな横田さんからは想像できない情熱的なギタープレイ同様、スレンダーな体つきからは想像できない圧倒的な声量と声域を持つShihoさんも、曲によってはスキャットにボイパを織り交ぜるという高度なテクニックや、アドリブでギターとの絶妙な掛け合いなども披露していた。スリリングな掛け合いは聞いていてとても気分がよくなる。それは、お互いがしっかりと自己主張しつつも、ちゃんと相手をリスペクトしているのがこちらにも伝わってくるからだ。自由な中に存在する、二人だけの暗黙のルールなきルールは誰がなんといっても気持ちいいのだ。
途中、昨年発売された「Musicream」の中から、井上陽水の名曲「リバーサイドホテル」のカバー曲や、オリジナル曲「Words With Wings」なども披露。本編のラストとなったカーペンターズの名曲「Close to you」では観客達がコーラスの一員となり、男女でパートを分け全員で歌い上げた。そして、大きな拍手に迎えられてのアンコール1曲目では、名曲の「君の瞳に恋してる(CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU)」を熱唱!原曲はかなりポップでキュートな仕上がりのこの曲だが、フラプラの二人にかかると全く印象が変わり、ジャジーな匂いの詰まった渋い大人な曲となった。そしてこの日のライブの最後を飾ったのはジョンレノンの「imagine」。表現力豊かで儚くも優しさに満ち溢れたshihoさんのヴォーカルと、切なさの奥底にあるほんの一握りの力強さを感じさせる横田さんのギター。二人から発せられる「imagine」という名の物語は、一人ひとりの人間それぞれが色んな夢を「想像」することの大事さを伝えてくれる。不意に涙がこぼれてしまったが恥ずかしさなんて感じない・・・。「imagine,there is no heaven」という有名なフレーズから始まるこの曲はこれまでも沢山のアーティストがカバーしている名曲で、当然私もいろんなアレンジでの「imagine」を聞いてきたが、フラプラのアレンジはこれまで聞いたどのアレンジよりも心に響くものだった・・・。曲が終わると会場内は割れんばかりの大拍手!「また絶対宮崎に来ます!」という嬉しい一言を残し、本日のライブは終了した。
ライブ終了後、観客達にサインをしたり、気さくに会話を交わしたりする二人。ライブの感想などにもしっかりと耳を傾け、丁寧に自分達の意見を述べる姿を見ていると、二人の音楽に対する誠実さがひしひしと伝わってくる。特にほめられると、少し照れながら本当に嬉しそうな表情をするShihoさんが実にキュート。それをやさしい笑顔で見守る横田さんの表情も印象的だった。
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◆インタビュー
パワナビ松田:1年ぶりということで、本当にご無沙汰です。昨年はライブ後にいろいろとお話を聞かせていただきありがとうございました。今年もまた、こうしてお時間を割いていただきありがとうございます。
Shihoさん:いえいえこちらこそ!そういえば昨年のライブレポの中で「リーダー(横田さん)がギターソロを演奏している時でも、その風景の中にShihoがいることが重要」という内容を書いてくださって、私としてはそれが印象的で嬉しかったです。
パワナビ松田:こちらこそありがとうございます。今回のライブでも”その”部分はさらにグレードアップされていて、昨年以上にステージから、物凄いエネルギーが伝わってきたように感じられました。もともと高い技術をもっているお二人なので、技術云々ということではなく、なんというか、体から発する音そのものが技術を乗り越えてやってくるみたいな印象をうけました。
横田さん:獣のおたけびみたな感じ?(笑)
パワナビ松田:ギタープレイもさることながら、リーダーである横田さんご自信のメンタル面、そしてフライドプライド自体も、いい意味で物凄く若返っていないですか?言い方が悪いかもしれませんが、二人がわがままになればなるほど、見ている、聞いている側は気持ちよくなれるような気がします。はじめて野外で見た5年前は、もっとお洒落&クールみたいなイメージがあったのですが、昨年はまっくそういった印象はなく、今年はさらにキッズ化しているというか?演奏している姿を見ていてもとても楽しそうです。
横田さん:いや〜、そう感じてくれたなら嬉しいですね!精神年齢15歳みたいな(笑)以前はいろいろと試行錯誤をしていた部分もあるから、なんか抜け切れてなかったかもしれないけど、最近はステージ上でも変な制約にとらわれることなく、突き抜ける事が出来てきたかな?と感じていますね!
Shihoさん:確かに5年ぐらい前ってそんなイメージだったかも・・・・・。きっと、その頃って「こういう事はしちゃいけない」みたいな、暗黙のルールがあったような気がします。まだ活動を始めて間もなかったし、個人的にも「こういう声は出しちゃいけない」って意識していたりもしましたから・・・。当然、その当時はそこまでなかったかもしれませんが、今ふり帰れば、かなり自分で制約を作り、可能性に蓋をしていたような気がします。
パワナビ松田:だから、CDなどの音源を聞くのもいいんだけど、ギターキッズ達にはぜひライブで、横田さんの呼吸や表情、指が弦に当たって弾ける感触やタイミングを体感してもらい、そしてShihoさんに関しても、歌はもちろん、それだけでなく、むしろ歌っていないときの体温だとか、音楽に対するアプローチを盗むように凝視してもらいたいですね!きっとジャンルに関係なく、重要な何かを感じ取れると思うのですが。
横田さん:そうだといいよね!演奏する側としても、今回の「宮崎SR-BOX」ぐらいの距離感は好きですね。もっと近くてもいいぐらい!
パワナビ松田:先ほども少しふれたのですが、お二人に関してはライブを見ていて「歌がいい・・・」とか「あそこのテクニックが・・・」なんてもうどうでもよくって「鳥がさえずっている」とか「トラが吼えている」みたいな、自然の中にある音にメロディーやリズムがついて、実体になっているようなイメージがあるから、単に音だけではなく、全部ひっくるめた大きなエネルギーの塊がぶつかってくるのが気持ちいいんです。そういう意味では、個人的にCDなどの音源とライブはまったく別ものなのですが、ライブ演奏だから特別意識しているという部分はありますか?
横田さん:別に意識してそういう演奏を心がけているわけではないのだけど、音楽に対するイメージだとか、音楽を人に伝える時のイメージって、まさにそこなんですよ!おっしゃる通り、むかし僕らは「お洒落ユニット」みたいに受け止められていた事があって、まあ、きっと文字として表現する上でやりやすかったからだと思うんだけど、僕らとしては「小奇麗にまとめて・・・」っていうのはまったく違うんです。だから知らない人は、どこかで聞いたそういう先入観をもって見てしまうので、もっと、フライドプライドの本質を押し出していかないとダメかな〜っていうのはありましたね。
Shihoさん:決してお洒落ではないです・・・。いわいる、クールだとか、都会派だとかとはまったく無縁なんです。
横田さん:ちょっと意味不明かもしれないけど、言うなれば、人間のそのまま・・・今まで自分たちが歩んできた人生を丸ごとむき出しにして、さらにでんぐり返した状態で、ここに何があるの?というのが一番伝えたい、そして表現したいことなんです。それで「みんな分かれよ!」とかいうのではなくて「僕はこう感じて生きています」「これは絶対にゆずれない」という、人それぞれがもつ一番大事な事を、ギターという手段を通じて、また二人で造る音楽を通じて感じ取ってもらえることが重要なんです。だから、お洒落とかクールとはまったく逆なわけです。そんなことから、個人的には、それらが肉感、肉圧として相手に伝っているのだとしたら、表現者として、それほど嬉しいことはないですよね!
パワナビ松田:デビューからではなく、ここ1年の間だけでもちょっと変わったような気がするのですが・・・。
Shihoさん:最近2人だけでやる機会が多くなったので、進化の速度が加速したかな?っていうのはありますね。自分では中々わからないんだけど、久しぶりにライブに足を運んでくれた人はわかるみたいですね!きっと、自分は毎日鏡をみているから、髪の毛が伸びたのが分からないけど、たまに見た人が「あっ髪伸びたね!」といったな感じではないでしょうか?それも「伸びるのメチャメチャ早くない?」みたいな(笑)。
パワナビ松田:横田さんはどうですか?
横田さん:うん。自分に関して言えば、この年になってやっと、あるがままの自分を受け入れられるようになったからかな?最近のステージではかなり突き抜けるようになってはきたけど、中々自信が沸いてこないたちなんですよ(苦笑)。いつも心配だからつい練習しちゃう・・・みたいな部分があって・・・。でも、それはそれで、技術的には悪いことではないんだけど、自分を信用できないネガティブな考え方は、自分という人間を表現する上ではよくない事だよね・・・。それが、ここに来てようやく「これでいいんだ」って納得できるようになったんですよ!確かにメンタル面での微妙な変化かもしれないけど、それがステージとなれば断然ちがってきますよ!なにより、変わったのは二人とも音楽を造ることに貪欲になってきていますね。それは自分だけでなく、お互いの信頼感がより深くなったというのも大きいかもしれません。たとえば空中ブランコで1,000回飛んでも必ずキャッチするような・・・それって相手を信頼できなければなりたたないじゃないですか?音楽も同じじゃないかな〜と思います。
パワナビ松田:それではそろそろお時間もなくなってきましたので、フライドプライドの今後の活動についてお聞かせ願えますか?
横田さん:まだ内容ははっきり決まっていませんが、来年はフライドプライドとしてのアルバム製作の予定があるのと、お互いにソロでも活動する場面がありそうです。特に、アルバムに関しての課題は、毎回却下される、僕のオリジナル日本語曲をどうやって入れるかということです(笑)。
Shihoさん:だって、物凄くロマンチックな曲をもってくるから、恥ずかしくて歌えないんです(笑) でも日本語の歌詞という事に関しては、やっぱり日本人だし、もっと幅を増やしていきたいと思っています。確かに英語のほうが歌いやすいのですが、多くの日本人の方にとって言語が変わったせいで、歌詞の魅力がつたわらない、Shihoの歌う日本語曲は魅力がないと思われるのは、シンガーとしての私自信が許せないし、どんなツールを使っても、人の心に届くような歌い方をしていきたいと考えているので、日本語曲にはもっと挑戦したいです。さらに、ソロ活動で、もっと多くの経験をつみ、フライドプライドの肥やしにできればと思っています。
パワナビ松田:また、さらに突き抜けたお二人のライブが、宮崎の地で見れる日を心待ちにしています。今日はお忙しい中ありがとうございました。
投稿者 blogpawanavi : 2007年07月28日 23:39
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