自らの手で古民家を改装したぬくもり溢れる空間で、
無農薬・無化学肥料で育った米を原料にした
「米粉」が主役のメニューを楽しめるカフェ「Tink Tink」。
カフェの魅力
デザイン性・機能性の高さはもとより、食の安心・安全を意識したレストランやカフェが多く見られるようになりましたね。そうした配慮は、特に女性達にとっては店舗選びのキーポイントになります。
そこで、今回のレポートでは、無農薬・無化学肥料で育った米を原料とした「米粉」が主役のメニューが並ぶカフェ「Tink Tink」をご紹介します。
以前は延岡市駅前の商業ビル内で営業されていましたが、「自由な発想で手づくりできるお気に入りの空間でお客様にゆったりとカフェタイムを過ごしてもらいたい」との思いから、平成27年6月に現在の場所に移転オープン。創業より「米粉」を使用したパスタをはじめ、米粉パンや玄米リゾットなどの体に優しいメニューが人気を集めています。
▲手づくりのキッチンカウンター
店長(上画像)ご夫妻とご友人が手作業で改装したという、あたたかな空間が印象的な店内。また、これまで長年かけて集めたという雑貨がディスプレイされているのにも注目です。ちなみに、上画像の場所はもともと和室だったところをフローリングにし、そこに手づくりでカウンターを備えたのだそう。
レポートでは、店内の雰囲気をはじめ、米粉が主役のおすすめメニュー紹介とともに、店長が主役にした「米粉」へのこだわりを伺いましたので、ぜひご覧ください。
店舗紹介 外観
▲玄関入り口の様子。昔ながらの引き戸の枠がアイボリーに塗られ、レトロでおしゃれに変身し、手づくりの看板がマッチしています。
▲広々としたガーデンは散策できるようにご友人が手入れされたのだそう。春夏秋冬の木々がバランスよく移植され、シーズンごとに美しい表情を見せてくれそうです。
インテリア
▲白を基調とした内装で、植物や雑貨がいっそう際立っていました。
▲玄関からすぐのテーブル席。見た目は欧風のナチュラル系デザインですが、日本風家屋の壁に、1枚1枚にペンキを塗り、レトロ調に仕上げた板を貼り付けて、薄暗かった色調をガラリと変えたのだそう。
▲テーブル席からすぐの扉から出た場所にあるテラス席。以前の店舗ではカウンター横に貼りだされていた、常連さんには馴染みの深い超特大ポスター(左)がここに!
▲カウンターに座ると、目線の先にいろいろな雑貨やがディスプレイされており、眺めているだけで時間があっという間に過ぎてしまいます。
▲テーブル席の横から奥に伸びている廊下を進むと、広々とした座敷があり小さなお子様連れでもゆっくりと安心してカフェを楽しむことが出来ます。縁側のテーブルセットでガーデンを眺めながら過ごすのもおすすめですよ!
▲店舗主催の雑貨・フードイベント等で出品された商品が、終了後にそのまま展示販売されることもあるそうです。その度にディスプレイの種類やコンセプトが代わるので、また違った雰囲気が体感できますね!
おすすめメニュー
▲冒頭でお伝えしたとおり、「Tink Tink」の主役は「米粉」ですが、その主原料となる米を育て、製粉しているのは店長のお父様なのだそう!「九州最後の秘境」と称される「大崩山」のふもとに広がる地域「祝子」で、にがりや唐辛子、にんにく、ペパーミントなどを使用してできた自然な薬で害虫を跳ね除け、他の誰にも真似できないような農法を独自にあみ出して育てているのだそうです。その無農薬・無化学肥料で育てた米を独自に製粉し、水だけで練り上げたオリジナルの「米粉」は、グルテンが抑えられほんのりとした甘さが感じられます。その風味を活かすために試行錯誤してうまれたメニューは、老若男女問わず人気を集めています。
ペスカトーレロッソ 850円(込)サラダ・スープ・米粉パン付き
※デザート・コーヒー +200円
魚介類のうま味をトマトの酸味を合わせて食べやすく仕上げた、パスタ料理でもメジャーなメニュー。地どれの野菜、米粉のパン、スープがセットに成り、かなり食べごたえがあります。
一般的に使用される小麦粉主原料のパスタと違い、米粉パスタの場合はソースの特徴的なうま味を麺が素早く吸収するため、全体的にまんべんなくその料理の特色を味わえるのが大きな特徴です。
▲さらに、噛めば噛むほど米本来の甘みが口の中に広がるので、小麦粉麺のパスタとは違う優しいまろやかな風味に落ち着きます。小さなお子さまやお年の方にもおすすめです。
有機玄米のバジルクリームリゾット 800円(込)サラダ・スープ・米粉パン付き
※デザート・コーヒーセット +200円
▲新鮮なバジルとチーズをたっぷり使用した濃厚なリゾット。見た目のボリューム感以上にかなりの満足感があります。
▲まったりとしたチーズクリームの中で玄米のぷちぷちと弾ける食感とバジルの爽やかさがちょうどよいリズム感となり、ゆっくり堪能したい心とは裏腹に、スプーンを進めるペースが思わず早くなってしまいそうです。
バゲットランチ 650円(込)サラダ・スープ付き
※デザート・コーヒーセット +200円
▲Tink Tinkイチオシの米粉パンが3種盛り合わせになったセット。この日はバゲット、ゴマパン、ドライフルーツのパンでした。
▲米粉独特のもっちり感を最大限に引き出すためにじっくりと発酵した店長自慢の米粉パン。目がギッシリ詰まっており、一口ほおばると米の香りがふんわりと口の中に広がります。軽めのランチにもおすすめです。
水出しアイスコーヒー 400円(込)
▲米粉以外にもうひとつこだわったという、「Tink Tink」の代名詞ともなった「水出しアイスコーヒー」。15時間かけて抽出するので、とてもまろやかな甘みがにじみ出ており、その中にしっかりと香りが閉じ込められています。夏季は注文が殺到し、あまりにも早く完売してしまうため、移転オープンを機に一度で25名分もの量を抽出できる超特大水出しアイスコーヒー専門メーカーを導入したのだそう!ちなみに、この水出しアイスコーヒーを温めると、閉じ込められた香りがパッと開放されるので、とても豊かに香るのだそうです。
玄気丸 15枚入り270円
▲延岡産(祝子農園)の無農薬玄米に皇帝塩を使用した、お子様でも安心のお菓子。そのまま食べてもOKですが、アイスに添えたりスープに入れたりするのもいいかもしれません!
玄気丸チョコ 10枚入り400円
▲こちらはオーガニックチョコを使用した「玄気丸チョコ」。チョコの甘味とうす塩味が相まった、ちょっと贅沢な特性ライスチョコ!クセになる味です。
インタビュー オーナーシェフ片寄良彦(かたよせよしひこ)さん
料理の味わい・演出、空間づくりも含めて、「食べる前のワクワク感」がずっと心に残ることが一番大切。席に座った瞬間に、何度もそのワクワクを思い起こしてもらえるように、思い描くスタイルをひとつひとつ丁寧に続けていきたい。
Q:オープンはいつですか?
「私と妻である片寄瑞紀(かたよせみずき)店長とともに、前店舗で平成25年2月にスタートしました。新店舗は、平成27年6月29日にオープンしました」
Q:なぜ2年で移転することに?
「前の店舗は席数が10名程度の小さなスペースでした。最初はのんびり自分たちのペースで運営すればいいと思ってそこに決めたのですが、テナント使用ということで内装も自由にできず、キッチンも狭いので思ったように自分たちが思い描くメニュー構成や演出、表現ができないことが日を重ねるごとに自分たちへの疑問となりました。”本当にこれでお客様が満足するのか?自分たちはこのままでいいのか?”と自問自答すると、やはり表現したいこととは違うと思い、もっと自由な発想で、そして自分たちがもっと愛着を持てる空間づくりができる店舗に移転を決めました」
Q:新店舗はご自身で改装されたとの事ですが、大変ではありませんでしたか?
「それはそれで大変なんですが、実はそれが楽しいんですよ!ひとつずつ積み上げていく作業が進む度に達成感があるんです。そして、カフェ仲間が進捗を見に来たついでに手伝ってくれたり、毎日のように来てくれる友人もいたり、たくさんの仲間達が手を差し伸べてくれました。自分一人ではここまではできなかったと思います。でも、まだまだ途中なんですよ……。”ああしたい、こうしたい”という思いが次々と生まれて……。でも、すべてを達成してからでは、いつまでたってもお店がオープンできないし(笑)。だから、この辺でひとまずオープンして、あとは徐々にでいいだろうって!でも、それが結果として良かったのではないかと思います。来るたびにちょっとずつインテリアや内装が変わる様子を楽しみにしてくれるお客様もいますし。そしてその反応を見て、”お店は生き物なんだな”と、改めて実感しました」
Q:Tink Tinkのコンセプトは?
「無農薬・無化学肥料の米粉を主役にしたパスタ、一分搗き玄米のリゾットや、米粉パンなど中心に、安心・安全でオーガニックであることです」
Q:米粉へのこだわりの理由は?
「妻の父が延岡市内の祝子という地域で農園を営んでおり、そこでは米・野菜が無農薬・無化学肥料で独自に開発した農法で育てられています。その作物は本来の美味しさが引き出され、大地のエネルギーをいっぱいに詰め込んだかのような力強さがあります。その父が育てた米を、グルテンを抑えた独自製法により、水のみで練り上げて米粉麺を完成させ、宮崎市の一部の店舗に卸売だけしていたのです。その素晴らしさをたくさんの人に伝えたいと、かねてから考えていたので、自分たちがお店をオープンするときには、その米粉が主役となる、安心・安全でオーガニックなカフェにしようと決めていました」
「カフェメニューだけでなく、父がつくる米粉麺やオーガニック食材を販売し、このカフェがそうした商品の広告塔になれるように展開していきたいですね。さらに、展示できるスペースもあるので、雑貨も取り扱っていきたいと思います。現在ではオーガニックを意識した店舗は増えてきましたが、まだまだ根付いていません。オーガニック関連のイベントに出店して交流した方や、延岡の食材の魅力に惹かれて市外から移住した方は、その意識を高く持っている方が多いので、そんな方々の意識がこのお店を介して料理として伝えられたり、生産者と直接交流する場を設けたりすることで、オーガニックの文化を地元に広められる活動もしたいと思います」
お忙しい中、ありがとうございました。
アクセス
住所:宮崎県延岡市本小路205-6
電話:0982-29-3966
営業時間: 11:00〜17:00
定休日:日曜
駐車場: 店舗前にあり
Facebook URL:https://www.facebook.com/cafe.tinktink
▲場所は市立図書館の近くになります。図書館そばの信号機を曲がり、すぐの小道に入ります。
▲約10メートルほど進んだ右側の民家にメニュー板が出ています。車でお越しの方は見過ごしてしまいそうなので、ゆっくりと注意して見てみてくださいね。
MAP
取材・編集スタッフ
モデル・レポート:中本望美
撮影・制作:ヴォーク有限会社