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2009年03月20日

『カシミールの風』 岩永友宏 写真集

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日向時間夏号(平和)で特集をお願いしました、カメラマン岩永友宏氏の『カシミールの風』が、一冊の写真集となりました。
一月下旬には、光栄なことに岩永氏より献本していただきましたので、どこかのタイミングでおしらせしたいとは思っていたのですが、落ち着く間もなく気がつけば今日、3月20日となりました。3月20日といえば、アメリカ合衆国がイラクへ軍事侵攻し、イラク人を無差別に殺戮し始めた日です。六年の月日が流れておりますが、いまだその殺戮はやみません。アメリカによるアフガニスタンへの空爆、中国によるチベットへの弾圧、グルジア紛争、イスラエルのガザ空爆など、世界では常に不条理な思惑が渦巻き、罪のない人々がその犠牲となっています。

作家、村上春樹は、エルサレム賞受賞式でのスピーチで、"Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg."「高くそびえ立つ堅牢な壁とその壁にぶつかり割れる卵があるとすれば,私は必ず,卵の側に立つ」と語ったそうです。僕もそうでありたいし、岩永氏の写真集『カシミールの風』に写っているものは、まさしく卵(独立した尊厳を持つ個人)であり、卵の側に立つ岩永氏そのものです。

写真家は、その場所に立ち、遭遇したものしか撮影することができません。けれども僕は、岩永氏の写真集をとおして、岩永氏とともにカシミールに立つことができます。牛を飼う農夫や薪を集める少女に挨拶をし、雪解けの水が音をたてて流れる川にかかるつり橋に立ち、山から吹き降ろす風を頬に受けます。それぞれの神に祈る人たち、それぞれの戦いを続ける人たちと語りあうことができます。

決して堅牢な壁の側に立つのではなく、卵の側に立つこと。平和はシステムがもたらすものではなく、一人ひとりの心のうちから生みだされるもの。岩永氏のカシミールへの願いもまた、この地の平和への一滴となるのです。

その願いのこもった写真集を、どうぞお手にとってご覧になって下さい。きっと、潔いカシミールの風が心にふきこむことだろうと思います。

岩永友宏ウェブサイト
http://homepage2.nifty.com/tck/second.html

カシミールの風―岩永友宏写真集(Amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862491359/hanmotocom-22

著:岩永 友宏
発行:東方出版
B5横変 83ページ 並製
定価:2,400円+税 
ISBN978-4-86249-135-0 C0072

フォトメッセージ日向時間 夏号【平和】
http://www.hyuugajikan.com/backnumber/2006_sum/index.html

投稿者 hujiki : 2009年03月20日 00:40

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