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2008年12月26日

赤江浜自然の権利訴訟・和解へ 【日向時間】

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『日向時間』創刊号で取材した赤江浜人工リーフ建設問題。サーファーを中心に結成された赤江浜を守る会などが反対してきた人工リーフ建設。その声は反映されることなく、県は当初の予定通り着工し建設しました。その後、2006年2月20日に反対派住民400余名が住民監査請求を行いましたが、棄却されたために同5月12日に宮崎県を被告として、公共支出の停止と支出済みの公金の返還を求める住民訴訟(原告95名)を宮崎地裁におこしました。
そして今月26日に、『赤江浜海岸づくりフォーラム』を設置することで和解が成立しました。写真は、宮崎県庁知事室で行なわれた調印式の様子です。

以下、赤江浜住民訴訟弁護団長、弁護士・後藤好成氏が原告、報道機関に配った報告書より和解の内容をみてみたいと思います。

“赤江浜海岸づくりフォーラム”を設置することで県との和解が成立

 2008年に入って、裁判は原告代表2名と我国の海洋工学の第一人者宇多高明氏(なぎさ総合研究室)の証人尋問が行なわれた。その際宇多氏から、今回の住民訴訟をおこすことで原告住民が赤江浜の自然環境問題について問題を提起したことはおおいに意味があり評価すべきことであるとした上で、できることなら県と原告住民が赤江浜のあり方について今後は前むきな形でよく話合って行くことが望ましいとの趣旨の証言がなされた。
 このような宇多氏の証言を受け、裁判所の方から、原告住民と県とが赤江浜について話合いの場をつくっていくという方向での解決はできないかという和解協議がなされた結果、本年12月16日に、「赤江浜海岸づくりフォーラム」という住民・県担当者等も参加した意見交換・協議の場を設置することで、裁判は取下げにより終了させるという和解が成立したのである。
 このフォーラムは「美しく、安全でいきいきした赤江浜」を次世代に継承していくことを赤江浜海岸づくりの基本理念とし、そのために意見交換を図ることを目的とすることとなった。そしてフォーラムは、学識経験者、地元住民、海岸利用者、行政機関(県)等を主な構成員として、赤江浜について、海岸の安全、自然環境の保全、海岸の利用等について忌憚のない意見を相互に出しあっていくこと、会合は原則として公開とすること等の原則を定めることとなった。
 行政による具体的工事計画がないような海岸のあり方に関して、このような住民・利用者・行政・学識経験者等からなる正式の協議機関が、しかも、住民訴訟の和解解決として設置されるのは全国的にもほとんど例がなく、その意味でもこの海岸づくりフォーラムは画期的なものと言っていいと思われる。
 今後は、住民の側にも、このようなフォーラムにおいて地元住民や利用者の意見を述べたりする海岸づくりフォーラムへの参加を通じ、又、赤江浜の自然を守る諸々の運動を通じて多くの県民の支持と共感を得る等して、人工リーフの設置によって損なわれつつあった赤江浜の美しい自然環境をよみがえらせていく地道でねばりづよい努力と活動が求められている。

(赤江浜住民訴訟弁護団長、弁護士・後藤好成氏の報告書より)

裁判後の別の若い弁護士の説明によると、和解は仲直りではないとのことでした。今回のフォーラムの設置は、市民と行政(県)が公の場で一緒に赤江浜を考えていくという状況をつくったにすぎず、これからの運動が大切であるとの趣旨の説明がありました。

確かに調印式のときに、知事は人工リーフが効果をあげているという趣旨の発言をしました。それに対して原告であったサーファーから、今年は宮崎に台風がきていないためであり、ましてや砂の流れはそんなに短絡的なものではないとの趣旨の発言を返しました。僕の印象からすると知事は自分の発言がどういう結果をもたらすかということを念頭に発言しているようで、県の姿勢はあくまで人工リーフ建設は当然、護岸工事は当然、だから護岸の公共工事は必要という姿勢には今のところ変わりがないように思います。工事の結果が砂浜にどのような影響をもたらすのかということは考えられていないでしょう。ただ、そのことをこれからは同じテーブルの上で、公の場で話し合われていくというのが今までと違うところ。会議が意味をもつようになるか、持たないものになるかは、市民の姿勢にかかっているのだと思います。
一件落着とまではいきませんが、一段落。発展的に次のステージへと移りました。

『日向時間』創刊号 宮崎の砂浜の行方。赤江浜人工リーフ問題。http://www.hyuugajikan.com/backnumber/2006_spr/akae.html

投稿者 hujiki : 2008年12月26日 19:27

コメント

テツローさん、お疲れ様でした。『日向時間』をみて、ニュースで赤江浜がでるたびに気になっていました。これからも大変でしょうが無理をなさらずに頑張ってください。応援しています!

投稿者 しまうま : 2008年12月28日 23:02

しまうまさん、ありがとうございます!
原告のみなさんは、気苦労もたえなかったことと思います。僕と同じ年代も多くいたのですが、法廷というなれない場所でも地道に主張されてきました。これからフォーラムの設置に向かうのですが、願わくば、しまうまさんもずっと感心を寄せていてください。その気持ちがパワーとなると思いますので。僕も、よろよろと頑張ります!

投稿者 テツロー : 2008年12月29日 09:11

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