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2008年08月05日
エッセイ書いています。追加 【朝日新聞】
朝日新聞【ひむか日和】でエッセイを書き始めて今回で10作目。次回をもって執筆を終える予定です。
お陰さまで「楽しみに読ませてもらってます」と声をかけていただけるようになりました。けれども、そのたびに「滅相もない」と恐縮至極このうえなくなります。
仕事上、自分を必要以上に大きく見せることがあります。(身を守るためにえらを大きく膨らますトカゲなどと似たようなものです)そういうのが文章に表われることがあります。自分でもそれを自覚して、もっと自分の気持ちに率直に自分の言葉で書こうとは思うのですがこれが難しい。
基本的に自然に身を任せ、物事を深く考えていない地味なパーソナリティーなのです。早い話、怠け者なのです。
最近はもう少し積極的に生きていかなければと反省しています。
そうしたら、また違ったエッセイが書けるようになると思います。
その時には、こうやって書いてきたエッセイと見比べて自分の成長を楽しめるでしょう。
ああ、そうなっていてほしいな〜。日々の努力が必要なのですね。
『手のひらの皮』 畑を耕す話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120807120001
「畑を耕したいなあ」と言ったら、「じゃあ、うちの休耕田を使いない」と知人が土地を貸してくれた。
家庭菜園ほどの狭さだが、むじなが出るというので、防護ネット用の棒を数本立てる作業をした。
途中で手が痛み出した。軍手をめくると、手のひらの皮は便座のふたのような形にツルリとむけ、血がにじんでいる。
耳障りな羽音を鳴らしてブヨがまとわりつく。額がかゆいのでかくと、手についていた土が目に入る。痛みとかゆみと歯がゆさで泣きたくなった。
見かねて知人のお母さんが手伝ってくれた。73歳になるのに、こともなげに棒を立て終えると、ついでにと竹やぶの中から竹の子をとってきた。
お母さんの働きぶりにほれぼれした。それに比べて自分は何とひ弱なのだろう。
以前、南の島を旅したとき、山中をさまよったことがあった。照りつける太陽は容赦なく、のどはからからになった。
ヤシの木には実がなっている。現地の人ならスルスルと登って、のどを潤すところだが、何度挑戦してもできなかった。あげくの果てに、やはり手の皮を擦りむいた。
自分のひ弱さは、便利な生活のせいでもあるだろう。
スイッチ一つで明かりがつく。車に乗って歩かない。お金さえあれば体を動かさなくても、食べ物でも洋服でも手に入る。楽に手に入るからつい食べ過ぎる。太るのは当然で筋力がつくわけがない。
精神的にも自分は不健康だなあ、と感じたことがある。
福岡で一人暮らしをしていた頃、部屋の中にあるのは既製品ばかりなのが怖かった。どこで誰が作ったものなのか、原料は何なのか。食べ物さえ素性が分からない。そのうちに自分までもが素性のわからない「物」のように思えてきた。
南の島の人たちや知人のお母さんには、自分にはないたくましさを感じる。暮らしの中で体が覚えたものが生きている。
テレビで以前、諸塚村の道路が台風で崩れ、孤立したことを伝えていた。電気や水道なども寸断されたが、数日後にはおじいさんたちが山から水を引いて飲料水を確保したという。やはり、たくましいと思った。
ところがである。山のどこに水があり、どうやれば水を引けるのか。そんな知識も技術も若者にはほとんど伝わっていない。それで大丈夫なのだろうか。
原油高だ、食糧不足だと、先行きが心配になるニュースばかりが流れている。年配の方の経験と知恵が貴重に思えてくる。
ガスや灯油がなくても、薪を燃料にかまどで料理をし、お風呂を沸かしてきた。輸入食品がなくても、田畑を耕し山菜や川魚をとって生きてきたのだ。
そういうことを妻に話すと「やばい時代が来るのを知っちょっても、何もしないんだったら知らないのと一緒じゃん」と馬鹿にされる。
「お前も鍛えちょかにゃいかんとぞ」と言うと、「そん時になったら鍛えるわ」とはなから相手にされない。その時になってからでは遅いだろうに……。
だから私は畑を耕す。まだまだ初心者だが、秋にはとうもろこしが実るだろう。
少なくとも、擦りむけた手のひらの皮が厚くなった分だけ、たくましくなったと思う。
『100%の幸せ』 幸せについての話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120806070001
『落ち穂拾い』 戦い方の話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120805100001
『桃源郷』 リラックスの話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120804190001
『春が来た』 高齢化の話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120803220001
『ソウルフード』 郷土食の話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120803260004
『明日への種』 挑戦する女性の話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120803060001
『よりどころ』 心のあり方の話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120712080001
『サトミキサクヤ姫』 町づくりの話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120711050001
『生か、死か』 高千穂線の話
http://mytown.asahi.com/miyazaki/news.php?k_id=46000120711020002
土曜リレーエッセイ 『ひむか日和』 他の作者がご覧いただけます。写真はテツロー撮影です。
http://mytown.asahi.com/miyazaki/newslist.php?d_id=4600012
投稿者 hujiki : 2008年08月05日 11:35
コメント
こんなにエッセイをUPしていたとは・・。
読ませてもらいます〜。
ずっとエンジン全開だとオーバーヒートしますから
思考回路も良い波をつけながら活かしていきたいものですね。^^
PS.日吉にいたとは・・少しだけ横浜市民だったんですね。笑
投稿者 watton : 2008年08月06日 10:34
wattonさん、ありがとうございます♪
昨年の10月から書いています。エッセイをあまり読んだことが無かったので書くのが難かしかったです。
日吉には友人宅へ居候で三ヶ月いました。日雇い派遣の仕事で東京、神奈川とあちこちしました。従兄弟は相模原にいます♪
投稿者 テツロー : 2008年08月06日 11:26
え〜、もう終わっちゃうんですか?
楽しみだったので残念です。
投稿者 ミツセ : 2008年08月06日 12:57
「次回」ということは9月まで、ということでしょうか?1年間エッセイを書き続けるのは、やはり大変なことなのでしょうね。
私も、哲朗さんのように、肩の力を抜いて自然体で書こうと思うのですが、なかなか思うようには筆が進まず、いつも担当の方を煩わせてばかりです。まだまだ修行中です。
新聞エッセイの、写真のほうは、まだ続けていただけるのですか?
投稿者 まつもとまさこ : 2008年08月06日 19:42
ミツセさん、ありがとうございます♪
これからも色んなことをポジティブに発信していくのでお楽しみに〜!
まつもとまさこさん、「次回」はたしか今週の土曜日だったと思います。いえいえ僕のほうがまつもとさんに教えていただきたいくらいです。
写真の方は継続して続けさせていただきます♪
投稿者 テツロー : 2008年08月07日 09:26
あさってのエッセイですね。
私は明日から全国高校総合文化祭のため、生徒を連れて群馬に行きます。読むのは来週宮崎に戻ってからになりますが、楽しみにしていますね(少し寂しいですが)。
今日あたりが、校了でしょうか。お疲れ様でした。
写真のほうでまたお世話になります。よろしくお願いします。
投稿者 まつもとまさこ : 2008年08月07日 13:56
まつもとまさこさん、生徒さんたちとの青春楽しんできてください!
エッセイ10作目書き終えました。これだけエッセイがかけたのもMさんのお陰です。
これからも写真の方でお世話になります。ありがとうございます♪
投稿者 テツロー : 2008年08月07日 18:44
いつもテツローさんの写真や文章を楽しみにしてます。
ボクは延岡育ちのせいかどうしても山側の風景でホッとしてしまいます。
投稿者 はらくにこうた : 2008年08月28日 16:20
はらくにこうたさん、ありがとうございます♪
僕も山の風景をみるホッとします。海を見るとハッとします。延岡はどちらもあっていいですね♪
投稿者 テツロー : 2008年08月30日 16:09