Tür aus Holz von neben Strand
国や文化を超えて、人と人のつながり・人とモノとの出会い・日常でのアートのあり方を提案する「Tür aus Holz von neben Strand」(トゥアーアウスホルツ フォンネーベンシュトランド)
開業20周年を迎える横浜ランドマークタワーをはじめクイーンズスクエア横浜や赤レンガ倉庫、横浜ワールドポーターズなど大型の商業施設のほか、オフィスビルや美術館、ホテル、公園まで様々な施設が集結するみなとみらい地区は、新たに大型ショッピングモール「mark is みなとみらい」が誕生するなど、再開発や近未来化が著しく発展しています。今回のショップレポートでは、そんなみなとみらい地区のそばに位置し、今なお文明開化時代の香りが残る「馬車道 エリア」の古風な建物内にある、古道具と雑貨のセレクトショップ「Tür aus Holz von neben Strand」 (トゥアーアウスホルツ フォンネーベンシュトランド)をご紹介します。
「日常の生活にアーティストの作品をミックスすることで、”アート”を身近に感じてほしい」との思いから、この店舗でしか見られない珍しい古道具や日本の現代アーティスト達の作品などを、オーナーである内藤正雄さん自身のルーツである九州をはじめ欧米などから仕入れ、それらの厳選された商品を独自のセンスでディスプレイされているのが特徴です。
また、オーナーの内藤正雄さんは、人と人のつながり、モノと人の出会いなど、色々な”つながり”をつくりたいということから、店舗運営だけではなく、情報を”点”と捉えてそれらを結びけるフリーペーパー「MADO berlin」(マド ベルリン)の発行を行うなど、多岐に渡り精力的に活動を展開しています。
ちなみに、店名はドイツ語で『浜の横にある(横浜にある)木の扉』という意味だそうです。
今回のレポートではお店の雰囲気だけではなく、内藤正雄オーナーの様々な活動にもスポットを当て取材を行いましたので、是非ともご覧ください!
(レポート:井手悠哉)
「Tür aus Holz von neben Strand」
住所:神奈川県横浜市中区北仲通 4-49萬国貿易ビル 3F #303/306
電話番号:
営業時間:火曜日〜土曜日 12:00 – 17:00
定休日:月曜日、日曜日、祝日
ホームページ:http://tur-aus-holz.com/
Facebook:https://www.facebook.com/MadoYokohama.TurausHolz
みなとみらい線、馬車道駅を出てすぐ目の前!
「Tür aus Holz von neben Strand」 (トゥアーアウスホルツ フォンネーベンシュトランド)は、みなとみらい線、馬車道駅6番出口を出てすぐの萬国貿易ビルにあります。
▲萬国貿易ビル外観
▲「Tür aus Holz von neben Strand」は3階に。
店舗周辺マップ
独特な世界観に引き込まれる店内
萬国貿易ビルのレトロな階段を上った3階にある木の扉。「Tür aus Holz von neben Strand」=”浜の横にある木の扉”という店名の由来(後記インタビュー参照)にもなっているこの扉を開けると、思わず感嘆の声を漏らしてしまうほどの独特の世界観が広がっており、そこにいるだけで「何か未知なるものに出会えるのではないか?」との期待感に胸を膨らませ、自然に心が高まります。
▲「Tür aus Holz von neben Strand」には2つの部屋があり、そのどちらも個性的な魅力にあふれています。
店内には、これまで見たこともないような、不思議なフォルムの古道具や作家達の作品が所狭しとディスプレイされています。一つ一つの商品をただ展示販売するのではなく、そのモノ自体の物語や存在性をしっかり捉えながら組み合わせ、ストーリーや世界観を持たせて配置され、独創的な空間を演出しているのが店舗の特徴です。
古道具などは、ドイツをはじめ欧州や内藤さんの出身地でもある九州を中心に、世界各国から取り寄せているのだとか。
▲淡い水色が目を引くレタースケール(写真左) 曜日ごとのピルケース(写真右)
▲かわいい妖精のようなオブジェ(写真左) イギリスから仕入れた質感が素敵なポット(写真右)
▲おそらく100年くらいたっているという貴重な映写機(写真左)
▲石油ストーブなどの上に置くようにデザインされたヤカン(写真右)
意外にもこちらは日本で制作された物。とてもユニークな形をしています。
▲ポケットに忍ばせていたら”何気ないおしゃれ”を演出できそうな携帯チェスボード(写真左) ベルリンから届いたシューキーパー(写真右)
▲ヨーロッパから取り寄せた明治時代の和モダンな雰囲気を感じる雑貨(写真左) タイプライター型ブックエンド(写真右)
▲シュッとした細長いフォルムが目を引くティーポット。深い色合いが魅力的です!
▲小人のような人形たちに荷物を乗せて積み上げるボードゲーム。カラフルな可愛らしさの中に、ちょっとしたシュールさを感じてしまいます……。
▲鍋ごとそのまま湯煎ができる珍しいセット。
▲一見、ヨーロッパの兵隊さんのように見える銅板で保温するティーポット。
▲ガラス玉の中にたんぽぽの綿毛が詰められたペンダント。たんぽぽが世界に飛び出し旅をしているようなロマンチックさを感じます。
アーティスト達の作品をピックアップしてご紹介☆
九州の古道具、ヨーロッパなど世界各国の古道具だけでなく、オーナーの内藤正雄さんが少しずつ”つながり”をつくった、日本の現代アーティスト達の独創的な作品をピックアップしてご紹介します。
▲陶と異素材を組み合わせた立体作品やメキシコのアマテ紙に描いた絵画、陶レリーフなどを制作する作家「Muro Maiko」さんの作品。周りの風景にとけ込みながらも強烈な個性を持っています。
▲主に国内外のコンテンポラリーダンスの衣装を手がけている衣装美術家「Inamura Tomoko」さんによるプライベートブランド「Jane tale」の作品。カジュアルでありながら、上質な気品が漂います。
▲植物が色と形を形成するプロセスや擬態などに着目し、絵画や版画・標本などの美術作品を制作して表現するアーティスト「Baba Megumi」さんの作品。
▲「RE:お古」をテーマに、古着や植物を再生するリメイク作家「KAIE」さんの作品。儚さと美しさを内包した雰囲気を感じます。
▲「Higa Yoshihide」さんのオリジナルT-shirtsブランド「yhc」のTシャツ。 ランダム性のある手染めの風合いが特徴的です。
▲作家・イラストレーターの「なかひら まい」さんの「小さな絵本シリーズ」。ハンドメイドで作られた「ジャバラ式」で、パタパタとページをめくって物 語を楽しみます。
アートと日常をつなげたエリア感のあるディスプレイに注目☆
古道具、アーティストの作品、雑貨など多種多様な作品の数々が、国や文化、そして歴史にこだわることなく独自の感性で演出され、新たな世界観を作り出したディスプレイ。店内のいたるところに創られたディスプレイを眺めるだけで、その世界が彩る物語に引き込まれます。
店内をじっくりと散歩することで、きっと未だ見ぬ隠された出会いと”つながる”ことができるでしょう。
Tür aus Holz von neben Strand 内藤正雄さんインタビュー
▲Tür aus Holz von neben Strandオーナー・内藤正雄さん(写真向かって右)
Q:店名が特徴的ですよね。
「以前この店をオープンする前に飲食店を経営していたこともあり、その時はお客様を意識し、店名にこだわっていた部分があったのですが、今回は覚えられなくてもいいから自分が気に入った名前を付けようと思ったんです。この萬国ビルにある”木の扉”と”浜の横”という言葉をあわせて命名しました。ただ結構長いんで、ドアとかトゥアーとか呼んでいただければと思います(笑)」
Q:海外の古道具などは、どのように仕入れているのですか。
「ヨーロッパ、特にドイツを中心に、現地の方とリアルタイムにやりとりをして、マーケットで商品を選んでいます。店舗で取り扱っているものはアナログなものばかりですが、実は買い付けや活動自体はデジタルをかなり活用してます。また、日本のものは自分の出身地である九州から買い付けています」
Q:どのくらい前から古道具を集め始めたのですか。
「元々こういう雑貨やレトロな古道具が好きなのですが、本格的に集めだしたのは3〜4年位前かもしれません。以前住んでた家は古道具であふれていて倉庫の中に住んでいるようでした(笑)」
Q:店舗を運営する上でのこだわりを教えてください。
「”人と人のつながり、人とモノの出会い、日常の中のアートのあり方”をコンセプトにしています。店舗には古道具の扱いだけでなく、定期的にいろいろな現代アーティスト達の個展をしたり、自分の中のテーマに添った作家さんの作品も展開しているのですが、古道具を目当てに来た方やアートがあまりわからない方でも、古道具とアートをミックスしてディスプレイすることで、アートを身近に感じてもらえるのではないかと思っています。そして、国や文化などの垣根を越えて、モノや情報が枠にとらわれずに循環し、そこで新たな人・もの・国・文化などのさまざまな出会いが生まれると、本当に面白いのではないかと思います。だから、可能な限り多くの出会いが生まれるためのきっかけとなる『入り口=扉』を用意して、様々な人に交流をしていただけたる場所を意識しています」
Q:内藤さんが発行しているフリーペーパー「MADO berlin」(マド ベルリン)について教えてください。
「お店のコンセプトと似ているのですが、様々な場所に『窓=MADO』があり、それを通じて人と人とが交流し、情報交換をしたり会話を交わしたりするように、情報や人が交流して循環するような活動ができればと考え、ベルリンで発行しています」
▲ポスター型フリーペーパー「MADO berlin」
URL→http://madoberlin.tumblr.com/
Q:現在発行されている『MADO berlin』ですが、なぜベルリンなのでしょうか。
「横浜は海外に姉妹都市を結んでいるところが多くあるのですが、意外にそれを活用していることって少ないと思うんです。そんなことから話が発展して、『じゃあドイツでやってみようか』という話になったんです。都市・ベルリンやベルリンで活動するアーティストを日本人のライターに紹介してもらい、実際にベルリンに来てもらうというのをテーマに発行しました。配布地域は神奈川、東京、富山、熊本など日本各地、海外ではベルリン、ロンドン、アムステルダム、チューリッヒです。今後はベルリンだけではなく横浜、富山、熊本、ロンドンなど色々な地域で活動を広げていく予定です」
—-ありがとうございました。