Char 2011 tour TRADROCK by Char 宮崎公演
4年ぶりとなる宮崎でのライブの模様に加え、Char自身が語る、「Char 2011 tour TRADROCK by Char」の見どころを紹介!
今年でデビュー35周年を迎える世界的ギタリストChar。昨年から今年にかけて自身が過去に影響を受けた音楽を、今一度見つめ直し、次世代へ伝承したいとの思いを込めて、6枚のCD&DVD<a href=”http://www.zicca.net/pc/?act=journal-Top”>「TRADROCK」 シリーズ</a>を立て続けにリリース。E クラプトン、J ベック、ビートルズ、ベンチャーズ、J ペイジ・、J ヘンドリックスといったアーティスト達の名曲カバーをCharならではのアレンジで聴かせてくれている。
さらに今年の4月23日に日比谷野外大音楽堂で行われたツアーファイナルを納めたDVD&CD「Char by Char」を5月27日にリリース。そして今秋、「TRADROCK」 シリーズと「Char by Char」を引っ提げ、「Char 2011 tour TRADROCK by Char」をスタートさせた。
そこで今回のライブレポートでは、実に4年ぶりとなる宮崎でのライブの模様に加え、Char自身が語る、「Char 2011 tour TRADROCK by Char」の見どころを紹介する。
(レポート:松田秀人 協力:GAKUON Unity Face、宮崎・WEATHER KING)
Char 2011 tour TRADROCK by Char(宮崎公演)
日時:10月10日(月・祝)
開場:18:00 開演:19:00
場所:宮崎・WEATHER KING
Char URL:http://www.zicca.net/
ツアーメンバー:Char(Gt/Vo)、古田たかし(Dr)、澤田浩史(Ba)
会場周辺マップ
ツアーメンバー
今回のツアーのポイントは、なんといっても、ロック史に名を残す名曲の数々を、Charがどのように料理するかという点につきるだろう。それに関してCharはこう語る。
「特に今回のツアーは誰にとってもなじみの深い楽曲を演奏することが多いから、会場に足を運んでくれたファンには、原曲やアルバムとは異なる、ライブ感溢れるアレンジで、インプロビゼーション(即興演奏)の醍醐味を味わってもらいたい。だから本番中に浮かんだアイデアは遠慮無しにやってしまおうと思っているよ!もちろんそれに付き合ってもらうメンバーは大変だけどね」
▲左:Char(Gt/Vo) ▲右:澤田浩史(Ba)
▲古田たかし(Dr)
そんなことから選ばれたツアーメンバーが「TRADROCK」シリーズのレコーディングにも参加しているCharとは昔なじみの音楽仲間の二人。
ベースギターの「澤田浩史」はCharのツアーには欠かせないメンバー。Charとは過去のツアーで宮崎にも足を運んでいる。
ドラムスの「古田たかし」は、佐野元春のバックバンド「ザ・ハートランド」「The Hobo King Band」をはじめ、「奥田民生」や「Puffy」「吉川晃司」といった様々なアーティスト達のツアーやレコーディングに参加しており、Charとは古くから交流がある。
「お互いになにもかも知り尽くしてるしね!この二人ならこっちがなにをやらかしてもきっとうまくまとめてくれるはずだよ」
と、Char自らがハプニングの仕掛人となることを宣言し、スリリングな時間をファンと共有しようと企んでいる。
会場風景
▲宮崎公演の会場となった「宮崎・WEATHER KING」
▲アルバム「TRADROCK」シリーズやTシャツなども販売!
▲サイン入りの「35th」Tシャツを着ている少年を発見!
▲開演直前のステージ
ライブ風景
実に4年ぶりとなる宮崎でのライブ。オールスタンディングのフロアは、Charの来宮を首をながくして待っていたファン達で埋め尽くされ、薄暗いステージ上にセッティングされたChar愛用のギターアンプ「MATCHLESS」が鳴り響くのを今や遅しと待ちわびていた。
会場に流れるBGMが止み、つかの間のざわめが静寂へ変わると、フロア全体が緊迫感に包まれ、観衆の意識がオープニングナンバーのイントロに集中する。「TRADROCKシリーズ」が主体となるツアーだけに、「1曲目はジミヘンか?クラプトンかでくるのか?」ファンの誰もがそんなことを考えていた矢先に飛び出したのが、ピンククラウド時代の楽曲「Why Aren’t You Ready」のイントロ!いい意味で裏切られたファン達の熱い声援がフロア中から沸き上がった。CharがダフネブルーのFender Stratocasterにピックを叩きつけるたびにMATCHLESSが火を放つ!宮崎のファンが待ちに待った瞬間だ。
2曲目はジミ・ヘンドリックスのカバー「Manic Depression」。のっけからトップギアで押しまくられた観客達はオープニングから早くもヒートアップ!そこにCharがすかさずMCを挟む、
「宮崎のみなさんようこそ!……え〜この会場の中でギター弾きはどれくらいいるの?……ほうほう、ほぼ全員じゃん……。そこの君、何弾けんの?……えっ、布団?風邪かよおい!……ごめんごめんいじっちゃって、悪いけどかわりに弾いてくんない?」
そんないつものChar節が炸裂!気がつけば開演からわずか2曲でCharワールドに引きずりこまれてしまった。
「小学校3・4年生の頃、兄貴の影響でギターを初めて、最初に弾いた曲をお贈りしましょう!ちなみにテケテケですよ(笑)」のひと言からはじまった「The Ventures MEDLEY」。エレキギターとの出会いの思い出話しに花をさかせつつ、懐かしのテケテケサウンドに、トリオならではのワイルド感を盛り込み、「PIPELINE」「CARAVAN」(その他)などの名曲を聴かせてくれた。
続いて、中学生時代にはまってしまったというエリック・クラプトンの楽曲から「Badge」と「Crossroads」を演奏。「Badge」は原曲とは全く違うCharテイストたっぷりのアレンジで、また「Crossroads」は「今日はどんな”Crossroads”にしてみる?ジミヘン風だとかいろんなのあるんだけどね……。とりあえず正調でいっとこうか?」とつぶやきつつ、原曲の持つダイナミズムを忠実に表現!演奏後に「ちょっと3箇所カンコピ(完全コピー)からはずれちゃったけど、クラプトンよりは上手いと思うよ……。しかしクラプトン様になんて口をきくんでしょうね……」と笑いをとる場面も。CharのMCによれば、プロ のギタリストになる事をはっきりと決意したは中学生の頃なのだそう。
さらにビートルズのナンバー「Ticket To Ride」をアートロック感溢れる「Vanilla Fudge」バージョンで聴かせてくれた。ビートルズの楽曲はよくあちらこちらでカバーされているが、「Vanilla Fudge」バージョンとは、さすがCharならではの料理方法といえる。
ライブ中盤は「アコースティックタイム」で一息……。と言いたいところだが、演奏するのはもちろんChar。アコースティックとは言え随所にロックな味付けが施されていから、のんびり眺めている暇なんてあるわけがない。
最初の曲は、日本公演時に宿泊した東京のホテルの窓から見えた皇居のお堀をイメージして作曲したと言われる、The Venturesの「京都慕情」をインストゥルメンタルで演奏。
そのままの流れでカバーが続くのかと思いきや、ここからは、Johnny, Louis & Char期、Pink Cloud期、ソロ期の楽曲を立て続けに7曲披露と、ファンにとっては嬉しい時間帯となった。
そしてライブは終盤に突入!
「今までたくさんの海外アーティスト達の影響を受けてきましたが、唯一日本で影響を受けたアーティストがいます、それがCharです」と語る彼の手には、トレードマークのFender Mustangが握られ、ファンの期待通りに「逆光線」など、初期の楽曲をたっぷりと聴かせてくれた。
Charと観客の距離が今まで以上に接近し、ボルテージが最高潮に達すると、タイミングを図ったように「からまわり」のイントロが始まった。 曲の合間にコールアンドレスポンスを織り交ぜ、観衆をさらなる熱狂の渦へと巻き込んでいく。そこから先は、バンドも観客もレッドゾーンに入りっぱなし!そのままの勢いでアンコールへと突入した。
アンコールでは、Charの代表曲「SMOKY」の演奏や、今冬発売が予定されている200本限定のCharシグネイチャーモデル「Char Signature Stratocaster “Charizma”」をプレイする場面も見られた。
エンディングでは、宮崎のファン達の熱い声援に大きく手をふり応えつつ再来宮を約束!そして、ちょっとおどけたパフォーマンスで笑いをとりつつステージを後にした。
ライブ後のショートインタビュー
ライブならではの次になにがおこるかわからない緊張感を、演奏している側といっしょに楽しんで、共にスリルを味わってもらえたらと思うね!
Q:4年目となる宮崎ライブですが、今回は、昨年から立て続けにリリースされた、ロックの名曲が詰まったカバーCD&DVD「TRADROCKシリーズ」を引っ提げてのツアーということで、いつものツアーと違いカバー曲の割合が多くなりますよね。
「もちろんそうなるね!もともと”TRADROCKシリーズ”のCD&DVDは、エリック・クラプトンやジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックス、ジミー・ペイジ、そしてベンチャーズやビートルズといった、主に自分がギターを持ち始めてデビューに至るまでの少年時代に影響を受けてきたロックアーティスト達の音楽を、デビュー35周年を迎えた今、あらためて聴きなおし、そして自分なりのアレンジで表現したものなんだけど、”なんで今カバー音源なの?”って言われても、そりゃ自分がやりたくてやったわけだし、今回のツアーに関しても、ミュージシャンとして、CD&DVDだけじゃ足りない、ライブでなきゃ表現できないことがある!そう思ったからこそ、こうして全国をまわっているわけで……。とにかく、音源もライブも、今やりたいことをやりたいようにやってるから、カバー、オリジナルに関係なく楽しんでいるよ!」
Q:「ライブでなきゃ表現できないことがある!」とおっしゃる通り、ライブでの演奏はCD&DVDとはアレンジが異なっていますよね。
「まあそんなわけだから、ツアーを楽しむために本番中に平気で勝手にアレンジ変えちゃうしね!きっとメンバーやスタッフは困っているだろうね(笑)。まるで店長の身勝手さに弱ってる従業員みたいな感じで(笑)。でも、こっちのわがままをどうにかしてくれちゃうから凄いんだよ!もちろんなじみのメンバーだし、あれこれ決めごとなんかなくても”ああくればこう”みたいな部分で……アイコンタクトってやつ(笑)」
Q:セットリストはあるんですよね……?
「あるよ。あるけど、これはあくまでもライブだからね、セットリストはあくまでも目安でしかない……。だから演奏しながらお客さんの反応とか見ながら、アレンジだけじゃく、曲順だってなんだって、その場の雰囲気でどんどん変えちゃうわけよ!だってセットリストとかアレンジに縛られてしまったらライブである意味ないじゃん。お客さんだって、その日わざわざ会場に足を運んだからこそ出会える、特別なハプニングとか期待してるわけじゃない?たとえ同じ楽曲を演奏したって、昨日大分でやってたのとは全然違うし、その前に長崎でやってたのともまったく違う……。それがバンドの面白さ、ライブハウスに足を運ぶ楽しさでしょ?」
Q:ファンの多くが、Charさんの即興演奏を期待しているのは確かですね。
「昨今のバンドツアーは大人数で、しかもコンピューターを駆使して舞台をつくりあげていることが多いよね?まあ大仕掛けのショーを見たいのであれば、それはそれとして悪くはないのかもしれないけれど、それがロックバンドのライブとなると別だと思うんだよね……。実際のところ、仕掛けが多くなればなるほど縛りが多くなって、結果的にロックミュージックならではの疾走感・緊張感が損なわれるでしょ……。なによりロックバンドのライブの面白さって、その場面や状況によって、どんどんアレンジやアプローチが変わっていくスリリングなところじゃない?うちらが三人でやってるのも、そうしたインプロビゼーション(即興演奏)に対応するためなんだよね。ぜひこのツアーでもそんな少人数バンドならではの、次になにがおこるかわからない緊張感や疾走感を、演奏している側といっしょに楽しんで、共にスリルを味わってもらえたら最高だね」
Q:ちなみに、メンバー間のブロックサイン的なものってあるんですか?
「まあ、あるといえばあるんだけど、たまにサイン出すとこ間違って”スクイズ失敗でスリーアウト”なんてこともあるよ(笑)」
Q:ライブ直後のお忙しい中、インタビューにお付き合いいただきありがとうございました。
「今日は本当に楽しんで演奏が出来たし、そういう意味では大成功だったんじゃないかな!また宮崎によんでもらえればと思います。よろしく!」