Cafe&goods Tali kasih(タリカシ)
自然が生み出す水と食材を基本としたランチをはじめ、天然酵母パンなどのコンフォートフードやスピリチュアル&生活雑貨がそろう、大自然の中の古民家カフェ、『Cafe&goods Tali kasih』(タリカシ)
大自然と共存してきた先人たちの知恵と技術を用いた人間本来の生き方を実践しつつ、古民家を自分たちでリノベーションし、素材にこだわったランチやスイーツ、天然酵母を使って手作りの石窯で焼き上げる素朴なパンなどを提供するカフェ『Cafe&goods Tali kasih』(タリカシ)。
フードメニューだけでなく、自然のチカラを引き寄せるオーナー手作りのサンキャッチャーをはじめ、海外アーティストの作品やアクセサリーなど世界各国からセレクトした、日本でもめずらしいスピリチュアル雑貨も数多く取り揃えられているのが特徴。
「自然と時間を実感できる人間本来の生き方を大切にしたい」との思いから、熊本県の市街地で営んでいた造園会社をゆずり、一家で大自然が広がる宮崎県美郷(みさと)町へ移住し2009年に店舗をオープン。
徐々に口コミで人気が広まり、店舗営業だけでなく、さまざまなイベントに出店したり、地域の活性化につながる活動をするオーナー・堤さんの魅力に惹かれ、現在は各界のアーティストや、海外から足を運ばれるお客様もいるのだそう。
そこで今回のレポートでは、雑貨やおすすめメニューといった店舗の様子に、オーナーである堤さんのインタビューを交えつつ、『Tali kasih』の魅力をご紹介いたします。
(レポート:中本望美 モデル:Yuka Iemura)
Cafe&goods Tali kasih(タリカシ)
住所:宮崎県東臼杵郡美郷町北郷区黒木1676-8
電話:0982-62-6382
営業時間:11:30~19:00
定休日:月曜日
URL:http://www.facebook.com/cafe.Talikasih
周辺マップ
店舗紹介
店舗は宮崎県美郷町「県道20号線」沿いにあります。地理に詳しい方であれば比較的分かりやすいと思うのですが、古民家をそのままの形で利用していることから、初めてこの道を通る方は、一般家庭と間違えて通りすぎてしまう可能性があります。道路沿いに設置された看板(下記画像参照)を見逃さないようお願いします!
「大自然と住人の人の良さに惹かれました」と語る堤オーナー。熊本県から美郷町に移住して2009年に『Cafe&goods Tali kasih』(タリカシ)をオープン。今なお、井戸水をつかい、薪でお風呂を沸かし、炭焼きや田畑仕事をしながら自然と共存する姿が残る北郷町で、堤さん一家も先人たちの知恵を駆使して人間本来の生き方を実践し、またその生活過程を活かしながらカフェを運営されています。
熊本からの移住前、堤さんがもともと営んでいた造園業で培った知識や、仕事の傍らに趣味で行なっていた皮革雑貨やアクセサリーなどのモノ造りの技術を用いて、店内は自らの手で少しずつ改装しているとの事。
大きな梁がむき出しになった古民家特有の重厚感と落ち着いた色味のやさしい雰囲気、そしてアジアンテイストな壁画と雑貨やインテリアが織りなす独創的な空間が印象的です。
店内には、テーブルセットが置かれた広いカフェスペースと雑貨コーナーがあり、扉を隔てた奥には、座敷のカフェスペースとカウンターがあります。
店内のあちこちに、世界でもめずらしい海外アーティストの作品をはじめ、様々な生活雑貨、さらにアジアンテイストあふれる楽器などが置かれています。
北郷町の大自然が育んだ水や、安心安全な手づくり野菜などを中心としたフードメニューの構成や、自然の力を引き寄せてくれるスピリチュアル雑貨などから『人と自然の持つ力』を感覚的に捉えらさせてくれます。
それでは早速、『Cafe&goods Tali kasih』(タリカシ)のおすすめメニューをご紹介します☆
おすすめメニュー
パスタランチセット 1,000円
・収穫や焼き上げたパンの種類、仕入れによって内容が変わります。
・プラス300円で飲み物セット(500円までのドリンクからチョイス可能)
自分たちで育てた無農薬の季節の野菜を中心に、さまざまな形のパスタと自家製ソース、手作りの野菜スープやサラダが一度にいただけるお得なセットに!
ボリューム・栄養バランス・安心度・美容要素などの多方面から見てバランスの良さに驚きです。女性だけでなく、男性や子ども達にもぜひ食べていただきたい内容構成になっています。
・ショートパスタ「コンキリエ」の里芋のクラムチャウダー風ソース
北郷で採れた里芋と人参を「コンキリエ」と同じくらいの大きさにゴロゴロとカットし、海の幸を合わせてクラムチャウダー風にアレンジしたソース。
生パスタは、粉や水を厳選し尽くし「究極」を求めて四国へ移住した方が製造したもの。芝エビのフライをトッピングして、タンパク質、ミネラル、食物繊維の栄養バランスがグレードアップし、豊富滋養効果も期待できる体にうれしい一品です。
生パスタのみの販売もあるので、ご希望の方はぜひお店でお尋ねください!
(参考:レジレッテ(100g)250円 コンキリエ(100g)200円)
ちなみに、パスタは圧力と熱が高いかまどで数秒ゆがきます。通常のお鍋のお湯でゆがくよりもモチモチ感がぐっと増すのだとか。
・人参のポタージュ
スプーンですくってもポタポタ落ちない厚みのあるペースト状で、「飲む」というより「食べる」という表現がマッチしたスープ。ひと口で人参の香りの野菜の甘味がふわっと広がります。
・自家製野菜のシーザーサラダ
自家製の安心・安全な野菜をボウルにたっぷり盛り付け、手作りのバゲットを再度オーブンで焼いた備長炭クルトンとかぼちゃのクルトンを豪華にトッピング。クルトンのガリガリとした食感と素朴な粉の風味、シャキシャキした野菜の食感と瑞々しさとの相乗効果が印象的です☆
・マンデリンフレンチコーヒー(右)
注ぎ口が極細のコーヒーポットを使い特別な方法で淹れるコーヒーは、香りがいっそう高く、少しの酸味を含んだ柔らかい口当たりです。淹れ方だけでなく大自然の清らかな水を使用するので、なおいっそうコーヒーの味が引き立つのだそうです。
▲コーヒーを淹れる咲子さん。「点滴」と呼ばれる手法で、オーダーした方のすぐ横で淹れます。
ベーグル350円(持ち帰り300円)
手捏ねでひとつひとつ丁寧に形作り、天然酵母で熟成して石窯で焼き上げたむちむちベーグル!ベーグルの種類に合わせて手作りジャム(後記参照)を添えて頂けますが、最近ではレーズンベーグルと練乳の相性の良さを発見し、こちらのスタイルをおすすめしているとの事。
「機械で捏ねて作ったこともあるけれど、納得いかない仕上がりだったので、手間と時間はかかるけど、やっぱり自分が『コレだ!』と思うものを食べて喜んで頂きたいんです」と語る、奥様の咲子さん。(後記で堤咲子さんをご紹介します)
現在はプレーン、チョコ、レーズン、かぼちゃ、抹茶の5種類を用意。早朝から夜中の2時くらいまでかけて、ただひたすらベーグルを数百個を焼きあげるそうですが、「納得するものを作りたい」というオーナーご夫妻の信念に圧倒されてしまいます。
ランチセット(1,300円ドリンク付き)
※季節により内容が異なるので電話連絡にてお確かめください。
・カボチャのクリームパスタ
・白菜と海老のスープ
・自家製天然酵母使用の石窯焼きパン
・干し柿のフリッター
・自家菜園&地場産の野菜
メインとなるパスタ料理は、こだわりの「生」を使用!歯ごたえ舌触りともに、パスタ好きにはたまらない感触!
さらに、自家製天然酵母(画像は洋ナシ酵母使用)を使用し、石窯でこんがりと焼き上げたパンは、噛みしめるほどに上品な甘味とやわらかな酸味がパン生地からじんわりとあふれます。
ユニークなのが「干し柿のフリッター」!これは「かなり美味しい」です。とにかく何の先入観も持たず味わってみてください♪
オーナー・堤さん手作り石窯
天然酵母で熟成した手捏ねパンはすべてこの石窯で焼きあげます。パンを思い描く通りに仕上げるには、火加減や時間の微々たる調整が必要ですが、制作から4年たった現在にしてようやく全てを感覚で調整できるようになったのだそうです。
身体に休養と栄養を与え、細胞の調子を整える『精進料理』を提案
ご紹介したパスタランチ以外にも、『Tali kasih(タリカシ)』として力を入れているのが『精進料理』。
【精進料理とは】
精進料理(しょうじんりょうり)の精進という言葉は、ひたすらに仏道修行に努めることを言い、殺生を戎める教えから、料理には肉類魚介類を使用せずに、穀物・豆類・野菜などの食材だけを使います。「料理をつくることは修業である」というこの精進料理の教えの中には「食材の力を頂くことに感謝をして無駄にしない」や「調理器具を大切に扱う」や「粗末な食材でも最善をつくして調理する」などの意味があり、さらに「食とは生きる基本である」ことを伝えています。
堤さんご夫妻が精進料理に興味を持ち勉強するにつれて、今までの食材への見方が180°と変わったのだそうです。1つの食材を「調理」という形で丁寧に磨くことで、全く異なる姿や味に変貌していく「新しい出会い」に感動するとのこと、さらに食材を無駄にすることがなくそれらの栄養素をあますこと無く身体にと入れられるので、昨今の「豊食の栄養過多」で疲れた細胞をリフレッシュするために提案しているのだそうです。
精進料理は下ごしらえの時間が必要なため2日前までの申し込みで完全予約制となっています。
他にも、石窯で焼くピザや備長炭のパン、ソイカフェや自家製シロップのジュースなど、手作りで準備した安心安全なカフェメニューが充実していますので、素材や調理過程などに注目してみながらカフェタイムを過ごしてみるのもおすすめですよ☆
雑貨コーナー☆
▲ROTO焼き各種(左)
▲造園業時代に出会ったシルバーのガーデニング雑貨(左)
▲自ら採取した矢山の土にシーガラスを乗せて焼いた海外アーティストのアクセサリー。全て手作りなので、世界で1点しかない貴重な作品。
▲硬度の高いパイレックスガラスを2,500度の熱で溶かしながら花や動物などを表現した細やかな海外アーティストのペンダントトップやアクセサリー。とんぼ玉とはまた違った柔らかで繊細なオーラをまとっています。こちらも手作業で仕上げるのでデザインがそれぞれ違う、日本でもめずらしい世界で1点ものです。
サンキャッチャー 7,000円〜
オーナーの堤さんが制作するサンキャッチャー。太陽や外の光を受けて室内に虹色の光のインテリアをプラスしながら、光が持つ「幸福を部屋に取り込む」というお守りの意味合いもあります。さまざまな色や天然石やビーズなどを組み合わせて作るので、他に同じ構成やデザインのものがありません。好みの色や石を指定してオーダーも可能なので、ぜひご相談ください☆
堤 咲子さん(ハーブアドバイザー、レイキ・サードディグリー)
北郷町へ移住する前に雑貨店を経営し、ハーブコーディネーターとしての知識、物づくりへの探究心から得た技術を駆使してハーブティーや石鹸をオリジナル商品として販売していましたが、その質の高さとコストパフォーマンスの良さから根強いファンが集まり、今でもずっとオーダーが続いている隠れた名品と言われてのだそうです。しかし、作成にかなりの時間と手間を要するため、昔からのユーザーに販売を限定しているのだとか。
▲咲子さんオリジナルのハーブティ各種500円〜
▲体質や体調に合わせて、好みのハーブ、椿やオリーブなどの植物オイル、シアバターやアボカドなどの植物バターなど自分だけのオリジナルレシピで無添加スキンクリームをオーダーできます。
▲季節のフルーツジャム各500円〜。他にも時期によって素材に卵やバターを使用する『フルーツバター』も登場します。
▲梅びしお(手前) へべず(中央) ゆず(奥)
・梅びしお
梅干しを塩抜きし、丁寧に濾してなめらかなペースト状にしたジャム。甘すぎず、ほんのり感じる塩加減が絶妙。
・ヘベず
スキっとした爽快感のあるへべずのマーマレード。パンやデザートのトッピングにもぴったりです。
・ゆず
ゆず特有の『苦味』成分が出てしまう「皮についた白い部分」を全て丁寧に取り覗いているので、嫌味が全くなく、ふわっと柔らかい香りと味に驚きです。
ちなみにゆずの白い部分がほんの小さな欠片くらいでも混ざってしまうと、苦味成分がでて風味を全く違うものにしてしまうのだそうです。
インタビュー オーナー・堤 台策さん
【堤 台策さんプロフィール】
☆五十鈴川自然体験倶楽部
・RACスローロープ、レスキュー専任講師
・RAC、CONE※インストラクター
・BLSヘルスケアプロバイダー
・景観アドバイザー
※川に学ぶ体験活動協議会(River Activities Council略称:RAC)
※NPO法人自然体験活動推進協議会(CONE“コーン”)
大自然がそのままの形で残る田舎に移住したのは、先人たちが残した田舎暮らしの知恵を用いて人間本来の生き方を見つめながら、家族と家を中心に自分たちができることをしたかったから。
Q:オープンはいつですか。
「熊本県から移住し、2009年4月にオープンしました。今年で5年目になります」
Q:なぜ、北郷町に移住を?
「自分はサーフィンが趣味で、実は熊本から日向の海に行く裏道として、この店舗の前の県道20号線を通り抜けていたんです。熊本で造園業を営んでいるときは、スーツに身を固めて忙しく動きまわり家で過ごす時間がまったくなかったので、大きな波に乗って自然に身を任せたり、道中、山々の景色をみながら、いつか自然に囲まれた田舎暮らしをしてみたいという希望がありました。そんな中、毎回ここを通るだびに、この民家に惹かれていきました」
Q:実際に田舎暮らしを始めていかがですか。
「最初はとにかく『大変』のひとことに尽きます。熊本ではボタン1つでお風呂のお湯が沸きましたが、ここでは薪を準備して火をおこさなければならない。地域の人の顔と名前が一致しない。『カフェ』というスタイルが理解されない。何故か学校行事が非常に多い(笑)等など……。それまでの日常とはまったく違う生活感覚だったので、まず『慣れる』ことが大変でした。しかし、あーでもないこーでもないと家族で話す時間が、意外に楽しかったりするのも学びました(笑)」
Q:どうして、カフェをしようと思ったのですか。
「以前の仕事があまりにも忙しくて家にほとんどいませんでしたから、家がそのまま仕事になることをしたかったんです。また、もともと料理が好きで、サーフィンやキャンプなどのアウトドアでバーベキューなどや宿泊するときに携帯ガスコンロや鍋や調味料、パスタなどの食材を持ち込んで料理を振舞ったりもしていたんですよ。何事も納得いくまで追求する性分なので、当時から手作りこだわっていました。そして北郷には安心安全で栄養をたっぷり含んだ大自然の恵みがたくさんあるので、素材を自分たちで育て、家で仕込み、それらを使った料理を提供して、ゆっくりおしゃべりしながら過ごせる空間を思い描いた時に、カフェをしようと思いました」
Q:『Cafe&goods Tali kasih』(タリカシ)のコンセプトを教えて下さい。
「自然に沿って育った旬のものを自分たちの手でアレンジし、自分たちが納得したものを提供することです。自家農園の野菜にしても、パンの天然酵母、シロップや調味料、ジャムなど、自分たちの手でひとつひとつ丁寧に作業して作ります。妥協をして作業過程をおろそかにすると、絶対に納得いかないものが出来てしまいます。手間ひまかかりますが、納得出来ないものはお客様に提供したくないんです。また、雑貨もアーティストが手作業で制作したもの、素材にこだわったもので、自然のチカラを集めてくれるようなスピリチュアル雑貨が多いですね」
Q:ちなみに『Tali kasih(タリカシ)』とは、どういう意味ですか。
「インドネシアの言葉で、日本語に直訳はできないのですが『深い慈愛』とか『絆』という意味合いの言葉です。ここからいろいろな人とつながりが広がっていけたらと思い、この名前にしました」
Q:カフェではイベント等も開催されているのですか。
「時々、サーフィンや雑貨で繋がった友人たちやお客さんを招いてライブを行います。倉庫を片付けてステージにして、集まった人が思い思いに歌ったり楽器を弾いたり、セッションしたり、型にはまっていないライブですが、ゆっくり語り合い笑い合える貴重な交流の場ですね」
五十鈴川自然体験倶楽部の活動について
Q:五十鈴川自然体験倶楽部では、どのような活動を行なっているのですか?
「カヌー体験やカヤックなどの川遊びや、枝で笛をつくったり、石窯でクッキーを焼いてみるなどの里山自然体験プログラムを組んで、自然と人とのさまざまな関わりを知ると同時に、自ずと人と人との『よい関係づくり』を楽しく学べるような活動を行なっています。しかし、楽しく学ぶといっても、いつどこで命にかかわる事故が起きるか分からないので、安全に実行できるように五十鈴川自然体験倶楽部のスタッフはレスキュー関連の有資格者しかいません。現在は子どもたち向けのプログラムが多いので、次は大人のみ参加のプログラムを組もうかと考えています。実際に人間関係で悩んでいるお父さんやお母さんも多くいらっしゃいますから」
Q:これからの目標があれば聞かせて下さい。
「今までは、カフェでも自然体験倶楽部でも、『人を迎える』という立場でしたが、これからは自分たちが作った『食』や『雑貨』や『技術』をもって『出向く』ことをしたいですね。例えばイベントに出店したり、世界を視野にいれていろいろな場所へ出かけたり……。とにかく多くの人と絆を広げていきたいです」
ありがとうございました。