日本料理 きたうら善漁。
漁師町北浦町の「善漁丸」で獲れた一番新鮮な魚や地元どれの野菜などが豊富な創作日本料理に、海外からもファンが足を運ぶ!
今回ご紹介するお店は2008年11月、延岡市本町にオープンした『きたうら善漁。』さんです。北浦町で漁師を営まれているご実家の「善漁丸」という漁船で獲れた、その日一番の新鮮な魚や地元どれの野菜などを豊富に使い、オリジナリティー溢れる創作日本料理の数々を提供し、足を運ぶお客様の目と舌を楽しませてくれています。
オープンからまだ間もないというのに毎日多くのお客様が来店され、今ではお会計時に次回の予約をされるお客様もたくさんいらっしゃるほどの人気だとか……。その噂を聞きつけ、実際に足を運ばれたパワナビユーザーの方からも「ぜひ、ぜひ、レポートを!」との感激のメールが届くほど……。そこで早速お店にお邪魔し、数々のお料理を堪能させていただくと共に、オーナーの吉田善彦さんに店舗オープンのきっかけや思い入れをお聞きし、『きたうら善漁。』の人気の秘密に迫ってみました。
(レポート:木原ケイ、みほ)
日本料理 きたうら善漁。
住所:延岡市本町1丁目3-14
TEL:0982-40-5495
営業時間:18:00〜22:00 (ラストオーダー:21:30)
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
駐車場:店舗前にあり
※向かい側に有料駐車場もあります。
URL:http://zenryomaru.jp/
周辺マップ
店舗紹介
『きたうら善漁。』は、延岡市役所前の通りから二本南側の中町沿いに位置しています。モノクロ調でシンプルなデザインの2階建ての建物が目印です。
オープンに合わせて新築された建物の左側にある入り口からお店に入ると、落ち着いた雰囲気の洗練された店内が出迎えてくれます。1階にはテーブル席が3つと、目の前で板前さんの「包丁捌き」を楽しめるカウンターが用意されています。
さらに入り口付近の階段から2階に上がると、1階の雰囲気とはまた違い、シックな色合いのソファとテーブルで構成されたバースペースがあり、さらに座敷の部屋には掘りごたつも準備されています。目の細かい畳を使った和室や、さりげない間接照明、ゆったりとしたソファが、不思議なくらい落ち着ける空間を演出しています。
ちなみに「メニューの中身だけでなく、その場の雰囲気も合わせてお食事を楽しんで頂きたい」との吉田オーナーの考えから『きたうら善漁。』では、主にお食事を中心に楽しまれる方には1階のお席を。お酒を中心に楽しまれる方には2階席をおすすめされているそうです。
さて、お待たせいたしました。それではこの素敵な雰囲気の中で楽しめる、きたうら善漁。さんの独創性豊かなメニューをご紹介していきたいと思います!!
善漁コース(5,250円)の中からピックアップ!
さて、今回ご紹介するのは善漁コース(5,250円)の中からのメニューです(下・ピックアップ参照)。もちろん一品料理もご用意されておりますが、「金額的にコース料理のほうがリーズナブルになるので、ぜひそちらを利用下さい!」との事でした。そのコース料理には、以下のメニューがご用意されています。また、お酒の方も焼酎や日本酒、月替わりの地酒やワインなど豊富にご用意されています。
(季節・仕入れによって内容が異なります。)
春野菜のおひたし
一階のカウンターに座り、これから出てくるお料理の数々を心待ちにしている「みほさん」。「普通はカウンターにはショーケースとかがあって、板前さんの包丁捌きとかを目の前で見る事ってなかなか出来ないんですけど、コチラではそれもじっくり楽しめるんですね!なんだかワクワクしてます☆」という感想を頂くと同時に、目の前に現れたお料理は、地どれの春野菜を一番美味しく食べられるよう、「それぞれ一番相性のいいソース」にを使って調理された、シンプルでありつつも野菜の美味しさを存分に味わえるお料理です。
この日の野菜は、スナックエンドウ・パプリカ・新ごぼう・ブロッコリー・スティックセニョール・菜の花・アスパラ菜の7品。中でも「新ごぼう」は吉田オーナーのご友人が栽培したものだとか!どれも一口サイズで仕上げられており、それぞれの味付けや彩りも違うので飽きることなく野菜を存分に楽しめますね!
特にブロッコリーやごぼうの湯がき具合は最高!噛むごとに美味しさが広がり、爽やかな気分になります。
63℃のお茶目豚
次に用意されたのは、北浦産のブランド豚肉『Oh茶メ豚』を使ったお料理。年間約2,500頭しか生産されていない貴重なこのブランド豚肉は、出荷前の2ヶ月間、紛茶や乳酸菌等を飼料に添加し、お茶に含まれるカテキンの効果で、しつこさがなくさっぱりしていて口の中でとろけるような味わいが特徴だそう。そんなうま味要素が封じ込められた最高の豚肉に、絶妙の味加減を加えたお料理です。
肉汁を見てもわかると思いますが、その柔らかでジューシーなボリュームたっぷりの豚肉を口に入れると、上品な塩加減の肉汁が口いっぱいに広がり、もう言葉になりません……。また、一緒に添えられた野菜類の味つけも絶妙。上記の『春野菜のおひたし』もでしたが、野菜類がとにかく美味しいのがうれしいです。ちなみにラディッシュ風のサツマイモは奄美大島産。豚肉の味をさらに引き立てつつ、しっかりと存在をアピールしています。「今まで食べた中でも豚肉本来の美味しさを一番感じる事ができました。すでに感動しています☆」とみほさん。
お造り
そしてやっぱり北浦といえば思い描くのは海の幸!日向灘の栄養豊富な漁場で獲れたアブラが一番のった美味しいカンパチをさっと焙り、おいしさをギュっと封じ込めた「お造り」を用意していただきました。「旨み・食感共に最高です!特にこのカンパチ、とっても味が濃厚で、口に入れたとたんに海の香りと極上の旨みが広がっていきます。」
新じゃが練り芋 銀あんかけ
獲れたての新ジャガイモにフォアグラを添え、特製の銀あんかけを施したお料理。ジャガイモの甘みが銀あんによってさらに引き立てられていて、食材そのものの持つ美味しさが十二分に感じられるお料理です。また、添えられたわさびの香りがその風味をさらに豊かに感じさせてくれます。
「あれ?なんだかチーズのような濃厚な味を感じますね!(それは多分新じゃがならではの味だと思います…)あっ、なるほど!それにしてもジャガイモが美味しいですね。フォアグラも入ってちょっとぜいたくですけど、こんな組み合わせは初めてです。」
北浦ひむか本サバのお造り
そして本日もう一つのお造りが登場です。2005年、宮崎県水産物ブランドのお魚として認証された、北浦産ひむか本サバのお造りは、そのプリプリっとした食感と凝縮されたサバの旨みが特徴です。
「これが噂のひむか本サバですね…。(口に入れて)…うん!おいしい!コリコリしていて歯ごたえもいいです!サバと言うと、お酢で締めたものや煮物のイメージが強いですけど、このひむか本サバのお造りはサバの認識が変わるくらいに違いますね!こんなコメントをしている今でも、アブラの乗って凝縮されたおいしさが、口の中いっぱいに広がってます」
※今回はこちらからお願いして、特に「ひむか本サバ」を出していただきましたが、通常のコースは「石垣鯛やサザエ、寒グレ等………」3種類の盛り合わせとなりますので、「ひむか本サバ」をご希望の場合は、あらかじめ店舗までご連絡ください。
西京みその黄身とうふ
数々のお料理を楽しまれ、とっても満足気なみほさん。「とても美味しかったです!ごちそうさまでした」とのコメントと同時にご用意されたこの一品。「折角 ですからデザートまでお楽しみ下さい」という吉田オーナーの言葉に、幸せな笑顔で「ありがとうございます」とみほさん(笑)
早速そのお味を確かめてみると…「ん…(幸せな笑み)なんだかスフレチーズケーキのようなお味ですね。とてもシットリとしていてまろやかで、くせになりそうな甘味が印象的です!ちなみにこのデザートは何なんですか?」「それは『黄身とうふ』です。それに『西京味噌』を加えてます」と吉田オーナー。「えっっ!これお豆腐なんですか……? すごい、全くそうは感じませんでした。」とみほさんがびっくりしたこのデザートらしきお料理は、玉子豆腐に塩分控えめで甘口の西京味噌を焙った、一風かわったデザートなんです。香ばしい西京味噌が、まるでカラメルソースのように風味豊かな豆腐の美味しさをさらに引き立てています。
ちなみに『きたうら善漁。』の中で最高の料理は……
・土鍋の白御飯無塩汁(自家製味噌のアラ汁)
・唐人干(天日干しの魚)
・漬物(もちろん自家製野菜)
だそうです。オーナー曰く「あくまでもお造りや肉料理は自分の中では前座なのです」ということでした。できれば、次回はこの3品だけにスポットをあてて紹介したいと思っています。
『きたうら善良。』コース価格
月夜来いコース 3,850円
先付、蓋物、小鍋、造里、お野菜、主菜(豚肉やアラカブなど)、御飯、香りの物
善漁コース 5,250円
先付、蓋物、小鍋、造里、焼き物、お野菜、主菜(鴨肉やタラバガニなど)、御飯、香の物
睦月コース 8,400円 ※要予約
伊勢エビ、宮崎牛などをご用意致しております。
吉田善彦オーナー
このように地元の食材を中心に、その時期一番の美味しい素材を使ってオリジナリティー豊かなメニューを提供されている『きたうら善漁。』ですが、お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、このお店「善漁。」の由来はご実家の漁船「善漁丸」からきているもので、吉田オーナーのお父さんは北浦でも有名な漁師さんだそうです。(『きたうら善漁。』の『。』は『丸』という意味)そんな家庭で子どもの頃を過ごされた吉田オーナーは、その頃からよく「善漁丸」が獲ってきた新鮮な魚などを使って、ご自分で考えたメニューのレシピで料理をされていたそうです。
「子どもの頃から嗅覚や味覚が人より敏感で、テレビを見ながら漂ってくる夕食のにおいで、その日何がおかずなのかよく当てていましたね。そんな事もあって、今では北浦のどのいけすで育った魚か臭いを嗅ぐと分かったりするんです。」そんな研ぎ澄まされた感覚が、オリジナルの創作メニュー作りにも一役買っているそうで、「魚とか野菜とか肉とか、とにかくその食材を見た瞬間、料理の完成形がひらめくんですよ。あとはその完成形に向かってレシピを考えていく。子どもの頃からよくそれで料理を作ってました」と吉田オーナーは語ってくださいました。
そんな吉田オーナーは高校をご卒業後、ご自身も漁師として家業を営まれていらしたそうなんですが、ご自分で日本料理のお店を開くことがずっと夢にあり、約5年ほど前に意を決して、京都の料理店にて料理人として本格的な修業を開始されました。「調理法とかを学ぼう!とかでなく、とにかく包丁捌きとかそういった基本の勉強をさせて頂きましたね。それまで独学だったので、この時期鍛えられてかなり表現の枠が広がりました。」と当時を振り返ります。また、京都在住のこの時期に、兵庫県尼崎出身の奥様と出会い、ご結婚をされました。
▲兵庫県出身の奥様より一言。
「地元のみんな元気ですか〜!私も宮崎で頑張っています。ぜひ一度食べに来てくださいね☆」
吉田家の家庭の味とオーナーご自身の感覚に加え、調理の基本を身に付けた吉田オーナーだからこそ、この様な斬新な創作日本料理が作れるのでしょうね!その調理の技術に加え、新鮮な食材を調達する事にも余念が無く、厨房には大型のいけすを用意し、善漁丸がその日獲った新鮮な魚の中でも特に選りすぐりの魚を直送でそのままいけすに入れているんだそうです。この日はホウボウやイシガキダイ、タコなどがこのいけすの中で泳いでいました。
▲厨房には大きなイケスがあり、ホウボウやタコの姿もありました。
吉田オーナーからのコメント
「私の中で、この県北で収穫された魚や野菜などを使った料理は、全国でも有数の味になれると考えています。そして、そのままの素材を楽しむのが日本料理の基本だと考える当店では、その食材の多くを地元の北浦や延岡から仕入れ、その食材の持つパワーをお客様に十分に感じて頂けるように、常に新しいメニューを考えています。また、まだまだ勉強中ではありますが、日本料理には主に”陰陽五行”といったルール(陰陽五行説という中国の哲学に従って作られること)があり、その主なルールによってつくられるものですから、生クリームやバターを使うと「これは洋食との融合であって、和食ではない」とゆうのは偏見です。そうなると中国からきた醤油や豆腐も使えなくなります。たとえばバターも、14〜15世紀にはオランダから日本に入って来ており、江戸時代中期には日本で試作もされています。だから、自分としては、あくまでも「日本料理」のスピリットを大切にし、その上で様々なメニューに挑戦したいと考えています。ただ『新しいメニューづくり』といっても、自分の意識の中で、ブレなくしっかりと持っていなければならない事もあり、特に”和と洋の融合”といった言葉をよく耳にしますが、本質的な部分ではなく、単に表面的な部分だけで”相撲とボクシングを単にごちゃ混ぜにする”よう意識は持たないよう、日々心がけています。ありがたい事に、オープンしてからの数ヶ月間、本当に多くのお客様に予想以上の評価をして頂き、私を始め従業員一同心から感謝いたしております。これに甘えることなく日々努力し、これまで以上に、ご来店されたお客様がご満足いただける時間をお過ごしになられるよう、精進を続けて行きたいと思います。今後とも『きたうら善漁。』をご愛顧頂けます様、よろしくお願い申し上げます」