延岡の語り部『萌ぎの会』〜延岡の民話語り菓子「ともうすかっちり」
「地域に根付いた民話や方言を、次世代の子ども達や若い世代の人々に伝え、地元の文化に親しみ、少しでも受け継いでもらいたい」そんな思いが様々な形に!
▲児玉悦生さんによる「太郎兵衛狐の腰掛け岩」挿絵
日本全国、それぞれの地域には様々な民話や昔話があります。「さるかに合戦」や「花咲かじいさん」のように誰もが一度は聞いたことがある有名な話もありますが、中には地元の人々の中でだけ語り継がれる話もたくさんあります。ただ、全国的に有名でない地域限定の民話などは、その地域で暮していても、なかなか触れる機会がなかったり、また「そんな話があるらしい」ことは知っていても、誰かに聞かせることができるほど詳しくは理解していないものです。
以前であれば、おじいちゃんやおばあちゃんが、子ども達にじっくりと、地域に根付いた民話や伝説などを語って聞かせる場面もたくさんあったのでしょうが、核家族化や情報化社会が急激に進み、時間に追われる日々が繰り返される今日では、そうした場面どころか、民話を語ることができる人が大変少なくなり、特に書籍として全国どこででも購入できるような有名な話以外の、「語り継がれる」ことが唯一の手段である、地域に根づいた民話は、年々記憶の彼方に置き去りにされているのが現状です。
▲左:日向の国『虎屋』による、延岡の民話語り菓子「ともうすかっちり」
七種揃い箱 特別価格 1,000円 (お菓子のみ 970円)
→包装紙は若山牧水真筆の歌が染め抜かれた和紙を用いております。
▲右:延岡の民話地図
そこでこのたび、「地域に根付いた民話や方言を、次世代の子ども達や若い世代の人々に伝え、地元の文化に親しみ、少しでも受け継いでもらいたい」とのことから、延岡の語り部として現在活動中の『萌ぎの会』(吉田千鶴子会長)のメンバーと、延岡市の老舗菓子店『日向の国 虎屋』さんのコラボレーションにより、「延岡の民話語り菓子〜ともうすかっちり」という商品が生まれました。
お菓子が包まれた袋のラベルには、それぞれ異なる地元の民話が、児玉悦生さんによる挿絵とともに描かれており、お菓子とお茶で一服しながら、民話の一場面を切り取った挿絵と、興味深い話を楽しむ事ができます。
今回のレポートでは、「延岡の民話語り菓子〜ともうすかっちり」で取り上げられた、『萌ぎの会』のメンバーが延岡の方言を使って文章を手がけた「延岡の民話」7話(メキシコ女王の宝物、河童の遠征、よだきごろの夢、琴姫の松、太郎兵衛狐の腰掛け岩、寺山の白いキツネ、たるやさん)と、児玉悦生さんによる挿絵、さらにお菓子を合わせてご紹介したいと思います。
(レポート:松田秀人)
延岡の語り部『萌ぎの会』
平成16年2月発足
*ふるさとの民話を次世代に語り継ぐ
*ふるさとに眠っている民話の掘り起こし
*戦争体験を語り継ぐ(平和運動)
*方言の調査、伝承
URL:http://www.moeginokai-nobeoka.com/
お菓子に関するお問い合わせ
『日向の国 虎屋』 上田耕一
本店:宮崎県延岡市幸町1-20
電話:0982-32-5500
URL:http://www.toranoko.jp/
ところで、「ともうすかっちり」とはどんな意味?
ちなみにお菓子のタイトルにもなっている、聞き慣れない言葉「ともうすかっちり」とは、「〜と申します。”カッチン”(拍子木の音)」だそうで、延岡の民話の終わりは、すべてこのように結ばれているそうです。
延岡の方言の一例
・あばかん→さばききれない
・いきのばち→急に
・うぜらしい→うるさい
・うぶる、うべる→薄める
・かたる、かてる→一緒になる、加わる
・さるく→歩く
・しかしかもねえ→柄にもない、生意気
・ずぼくる→落ちる
・ちんがらり→まったくだめ
・たまがる→びっくりする
・ねき、にき→かたわらに
・のさん→つらい
・ぼく→たいへん、大事
・もぞらしい→可愛い
・もぞなぎい→かわいそう
・よだきい→面倒くさい、しんどい
延岡の民話紹介
メキシコ女王の宝物
今から百五十年程前の夏のことじゃった。一隻のかつお船が大漁旗をなびかせち島野浦の港にむかっておった。そんとき、漁師の仁佐吉が海の上に大けな黒い箱が浮かんじょるのを発見したげな。近づいちみっと、箱には海藻やら貝がらがいっぺくっついちょって気味悪かったげな。
老船頭の命令で引き上げちみっと、大けな箱じ、穴をあくると、金髪の女性のがいこつが見えた。頭には黄金の冠が輝いちょった。「こりゃ異国人のひつぎじゃ。宝もんだけ取り出しち、あとは海に流そうや。」「いんや、そんげ欲張ると罰があたるぞ。」ち、十二人の漁師の意見がなかなかまとまらんうちに、島野浦沖の小島に近づいたんで、その小島に箱をひきあげた。箱を開けち見ち、ひったまがったあ!箱ん中には金銀、財宝がぎっしりじゃった。革表紙の本が枕元にあったが、さっぱり分からん字が書いてあったげな。こんときも「宝もんだけもらおうや。」ち言うもんやらいろいろじゃったが、結局、そんまま穴を掘っち埋めたげな。
埋め終わっち落ち着くと、老船長は「これは海の神様がおりたちに夢を見させち、おりたちの心を試したんじゃ。こんこつがお上に知れたら、それこそ大ごつになっど。家のもんにもだれにも言うちゃいかんぞ。」ち皆に約束させ、皆もうなずいたげな。
後でこんこつを調べた人によっと、そん頃、メキシコの内乱で女王の屍を海に流したということがあったそうな。太平洋の黒潮の流れに乗っと、メキシコからこの日向の地に流れ着くことはあるげな。また、この小島に発掘に行った人もおるが宝もんはいまだに見つかっておらんげな。今となっちゃ、そん小島の場所も謎じゃ。
ともうすかっちり
▲メキシコ女王の宝物 (フィナンシェ)1個 150円
金の延棒型に焼いたフレッシュバターとアーモンドの風味豊かジューシーな焼菓子です。
河童の遠征
むかし、日向の国あがた(延岡市)に有馬直純と言う殿様がおったげな。殿様は島原の乱のとき、肥前の有馬に出向いていったげな。そん家来の八左エ門はえれぇ武術にすぐれちょった。
島原の乱も終わり、明日は日向に帰るちいう前の日んこつ、土産話にと蓮池を見に行ったげな。二月末じゃったんで、蓮ん葉は黄色く枯れちょった。ぼんやりさるいちょると、河童(ひょうすんぼ)が枯草の上で昼寝をしちょった。「こん河童を退治しちゃろう。」ち、こっそりと近寄り、切りかかったげな。手ごたえはあったが、姿は見えんかった。水に飛び込む音だけがしたげな。そん次の日、八左エ門はあがたに帰っちいったげな。
それから二年の年月がすぎた秋の日んこつ、八左エ門の庭の葉陰からヒョイヒョイとあやしい声が聞こえちきた。なんと、二年前のあん河童が仕返しにやってきたのじゃった。二人は死にものぐるいで戦うたが、おたがい強うてなかなか勝負がつかんかった。まわりのもんが物音にたまげて、見に来たけんどん、河童の姿は見えんじ、八左エ門だけが刀を振り回しておった。そん日は勝負んつかんまんま河童は去んでいったげな。
河童の遠征のこつを聞いたまわりのもんは感心し、それからはめえ日二人の勝負を見物に来たげな。そん噂が殿様の耳にまで入り、殿様まじ見物に来たげな。そん日、河童はとうとう姿を現わさんかった。そして、夜中、八左エ門に「殿様が邪魔するかり、いやになった。もう有馬に去ぬるわ。」ち告げて、河童は有馬に帰っち行ったげな。そんこつを知った殿様は八左エ門の武勇をたたえて、褒美をくれたそうな。
ともうすかっちり
▲日向の国 虎屋〜河童の遠征(ラング)1個 120円
洋酒に漬け込んだ干しぶどう入りクリームをはさんで香りよく、おいしい焼菓子です。
よだきごろの夢
むかし、七兵衛ちいうよだきごろがいたげな。仕事もせず、朝からぶらぶら遊んじょったげな。
ある日、日当りの良い部屋で昼寝をしちょると、若い女が現れち、「おいしいものを食べて、一日中遊んでいてよい、夢の国にご案内します。」ち言うたげな。七兵衛は妙に思うたが、根がよだきごろ。娘について、はるばる行くと、竜宮城のようなりっぱな家があっち、中から美しい女が出てきち、「どうぞ、いつまでも泊っていってください。」ち言うた。七兵衛はすっかり気を良くし、食っては寝ての毎日を過ごし、相撲取りのごつなったげな。
ある晩、お月さんがあんまりきれいなもんじゃき、外に出てみたげな。すっと、家の女中が草の陰で泣いちょった。わけをたずぬると、「自分の主人は鬼婆で、あなたのようなよだきごろを連れてきては、太らして、殺すのです。あなたももうすぐ殺されます。」ち言うた。こりゃあ、「でぇっじゃ!」七兵衛は息をフウフウはきながら逃げち行った。けんどん、あんまり太っとるもんじゃき、しばらく行くと疲れてしまい、ひとやすみ。もう大丈夫じゃろうち思うちょると、鬼婆が追っかけて来よるのが見えたげな。けんどん、もう走るこつもできず、そばにある高い椎の木に登っちかくれちょった。
やがて、追ってきた鬼婆が木の下にやってきた。「七兵衛、どこさに逃げたつか?」ち、鬼婆はおらんだ。そんとき、月の光で木の影が映り、その中に七兵衛が見えたげな。「こんやろう、今に食うてくれるわい。」鬼婆は木に登り始めた。七兵衛は上へ上へと逃げたが、もう木のてっぺん。もう逃げるこつがでけんかった。そん時、鬼婆の手が七兵衛の足を捕まえた。「助けちくれえ!助けちくれえ!」汗びっしょりかいておらんだら、なんと、夢じゃったげな。それから七兵衛は村一番の働き者になったげな。
ともうすかっちり
▲よだきごろの夢(ショコラティーヌ)1個 150円
ベルギーのチョコレートをふんだんに使った「焼きショコラ」ともいうべきしっとり濃厚な焼菓子です。
琴姫の松
むかし、土々呂の村の霧島神社の森に琴ひきの松がそびえ立っちょった頃のお話じゃ。こん松は大けな枝ぶりのえぇ松で、風に葉が揺れる音が琴をひいているごつ聞こえたんで、そん名がついておったんじゃ。村ん人はそん松を大切にし、漁に行く前には必ず手を合わせち、大漁と、海の安全を願ごうちから出かけちおったんじゃ。
ある夏ん日の夕方。こん村の太一と言う男ん子がじいちゃんにつれられてイカ釣りに出かけた。太一はいつんまにか、うとうとと眠ってしもうたげな。「太一、妙な船が浮かんじょるぞ!」ち、じいちゃんの声で目を覚ますと、大けな屋形船が朝もやの中に浮かんじょった。じいちゃんに言われち、船の中をのぞいちみち、ひったまがったあ!部屋の中は美しゅう飾られち、ふとんには娘が青白い顔で横たわっちょった。枕元には琴が一つ置いちあった。じいちゃんが声をかけても返事もせん。大急ぎで、入り江にもどり、親身に看病したげな。何日かすっと、たまには起き上がれるごつなったげな。けんどん、相変わらず話せんかった。村ん人たちは「どこか戦に敗れた国のお姫様じゃ。琴一つ持っち海から来たから、琴姫様じゃ。」ち言うごつなったげな。
そんなある日。夜中、いきなり大地震が村をおそった。村ん人たちは飛び起き浜辺に駆け付けた。海の水がものすごい勢いで沖に引いていき、沖で大きく膨れあがったげな。「津波がくるぞ!早う逃げえぇ!」みんなは霧島山に避難したげな。そんうち、ものすごい津波が押し寄せ、霧島山を飲み込もうとした。そんとき、あん娘がいきなり髪にさしちょった櫛を津波目がけち投げ捨て、一心に琴を奏ではじめた。その美しい琴の音に合わせるごつ、やがて津波は引いて行った。
明け方、村人たちは娘に駆け寄り礼を言うたとき、娘は笑みを浮かべち死んでおったげな。「こりゃあ、琴ひきの松の精じゃったんじゃ。」ち言うち、ていねいに葬り、そりからは琴姫の松とも言うち、今まで以上に大切にしたということじゃ。
ともうすかっちり
▲琴姫の松(抹茶ヴァッフェル)1個 150円
抹茶クリームをサンドした風味よいさっくりした洋風卵せんべいです。
太郎兵衛狐の腰かけ岩
むかし、愛宕山んふもとの柞ヶ谷に村役人の太郎兵衛さんに化くる狐がおった。村人はこん狐を太郎兵衛狐ち呼んじょった。三月ん中頃になると、村人は愛宕山につわぶきやらわらびやら採りに出かけるげな。
ある日、こん村に住んじょる力じまんの力蔵やんも、山菜とりに出かけち行った。谷ん中ほどで、太郎兵衛狐がつわぶきん葉っぱを頭やら尻尾やらに取っちゃかぶりしちょった。力やんは、「おりを化かそうとしちょるな。」ち思うち見ておったが、太郎兵衛狐はなかなか出て来んかった。そっと近寄っちみっと、つわぶきが山んごつ積んじゃる。力やんは太郎兵衛狐に出会うと、いつも「力くらべしてみんか?」と言うちおったんで、「おりと力くらべする気じゃな?」と思うち、そん山んごつつわぶきを大けな風呂敷に包み、からい上げたげな。
やっとからいで道までおりて来ち一服しよったら、太郎兵衛さんがやって来た。太郎兵衛さんは、力やんの荷物をみち、「そんげな大けなもん力やんでないとかるわれんわ。」ち言うち向こうに行ったげな。力やんも、さて、帰ろうとしたところ、今度は反対の方から太郎兵衛さんがやっち来た。そしてまた、同じこつ言うたげな。けんどん、今度の太郎兵衛さん、力やんのつわぶきの包みに触ると、「こりゃ、岩じゃ!」ち言うたげな。つわぶきとばっかし思いこんじょったんは、大けな岩だったげな。さっきの太郎兵衛さんも大けな岩も太郎兵衛狐の化かしたこつじゃった。
そりかり、村ん人はこん大けな岩を力蔵岩と言うちょったが、のちに、太郎兵衛狐が腰掛けちょるのをみち、「太郎兵衛狐の腰かけ岩」ち言うごつなったげな。
ともうすかっちり
▲太郎兵衛狐の腰かけ岩(リーフクッキー)1個 150円
ココナッツミルクに少量のラム酒で香りづけした、サクサクの食感でまろやかな味のスペシャルクッキーです。
寺山の白いキツネ
むかし、須佐の村におさきと言う九歳の娘がひとりで住んでおったげな。おっ母が亡くなるとき、「寺山にある石塚に毎朝お供え物をしない。きっとおまえを助けちくれるじゃろう。」ち言うて死んだげな。おさきはやさしい子じゃったから、それから毎朝石塚にお供えに行ったげな。
けんどん、一週間たつとお供えするもんがなくなった。そりで、自分の朝御飯をお供えした。すっと、一匹の白いキツネが現れち竹筒と木の葉っぱをくれた。そりを恐る恐る食べると元気になった。おさきは村へ行って仕事をさせてもろうたが、お駄賃は芋一個じゃった。
そりから毎朝石塚にそん芋をお供えに行き、村で働くちゅう暮らしがひと月ほど続いた頃、村んもんがおさきが隠れて何か食うちょるち疑い始めたげな。そりで、最初にいじわるな婆さんがおさきを一日中見張ったげな。おさきは何も食べんかった。
次の日の朝、お供えに行くおさきの後をついち行くと、キツネが現れた。「おさきはキツネ付きじゃ。たたらるるぞ!」…。村んもんはおさきに仕事を頼まんごつなったげな。おさきは食べもんものうなっち、日に日に衰えち、起き上がれんごつなったげな。すっと、あの白いキツネが現れち、おさきを抱きかかえ、雲ん上に昇っち行ったげな。その昇る光を見ち、村んもんが駆け付けちみっと、おさきは幸せそうな笑顔で死んでおったげな。村んもんは「おさきすまんかった!許しちくれ!」ち一晩中泣いて謝ったげな。けんどん、あの婆さんは謝りもせんかったげな。
そん夜更け、あの白いキツネが現れち、「いじわるもんにはきっとばちがあたるぞ!」ち言うち消えたげな。キツネが言うた通り、婆さんはばちがあたって死んだげな。
人の幸せをねたんだり、しょのんだりしたら、ばちがあたるとよ。人の幸せは喜んでやらにゃあいかんとよ。
ともうすかっちり
▲寺山の白いキツネ(キャラメル・ノア)1個 150円
香ばしい胡桃がぎっしり詰まったキャラメル風味の焼き菓子です。
たるやさん
熊野江のたるやさんが日にちめえ日、桶の輪替えをしちょったげな。ある日、大けな竜巻が起こっちぇ空に吹き上げられたげな。やんがち竜巻がおさまっちぇ、ドスーンち落てた所が福岡じゃったげな。帰るに帰れじ、旅費稼ぎに炭鉱で働きよったげな。
ある日、奥ん方まじ掘っちぇ行くと、上ん方がえれぇ騒々しいげな。何ごつじゃろうかい?ち、頭ん上ん土を掘っちぇみっと、そこは大阪の道頓堀じゃったげな。また、ここじ働こうち思うち、傘屋に奉公したげな。けんどんある日、傘をいっぺ干しちょったら、ふの悪いこつにまた強い風が吹いて来たげな。傘を飛ばしたりゃあ、親方におごらるるち思うち、両手でぎっちり傘を握りしめちょった。傘はどんどん上がっちぇいっち、雲ん上まじ行ったげな。雲ん上にゃ雷がおったげな。「おめえ、こりかりおりの家来にしちゃるから、おりの弁当持ちになれ。そんかわり、気ぃつけんと、雲ん薄いとこ踏んだらずぼくるるぞ。」ち言うたげな。そりかり、夕立前になっと、いっつも弁当持っちぇ、走ってついてまわったげな。
ところがある日、雲ん薄いとこ踏んだもんじゃきに、何のこつねえ、ストーンと海ん上をつきぬけち、竜宮世界まじ落てたげな。そこには乙姫さんやらがおっち、昔話の浦島さんのごつえれぇもてようじゃったげな。けんどん、不思議なこつにめえ日上んほうかり下がっちくるうまそうなごっそうだけは、決して食べさせちくれんかった。ある日、皆の知らん間にパクッと食いついたげな。すっと、それがどうしてん離れじ上へ上へと上がっち行った。こりゃまた、どうしたこつか?
「わりゃ、どうしたもんか!おらんごつなっちょったが、どこん行っちょったつか?」ち船に引上げちくれたげな。なんのこつねえ、ここは熊野江湾で、めい日上かり下がっちぇきちょったごっそうは魚の餌じゃったげな。
ともうすかっちり
▲たるやさん(ソフトバームクーヘン)1個 100円
やさしい口どけ、ソフトでしっとり、ミルク風味のバームクーヘンです。
延岡の語り部『萌ぎの会』
▲文章:萌ぎの会 挿絵:児玉悦生 お菓子:日向の国虎屋
▲「今回の企画は、お菓子と民話のコラボレーションということもあり、文章をつくっている私達もとても楽しかったし、これを機会に多くの方々に地元の民話を知ってほしいです」と語る吉田千鶴子会長。
▲「どの場面を挿絵にしたらいいかで悩んだので、実際に使われているよりもたくさん描き、その中からこれというものを選びました」と挿絵を担当した、児玉悦生さん。
▲「できる限り若い世代の人達にも、地元の民話を知ってほしいと考え、今回は全て洋菓子を使わせてもらいました。ただいま民話パンフレットを製作中です」と語る『日向の国 虎屋』上田耕一社長。お菓子は店頭にて発売中だそう!
いかがでしたか?私は上記で紹介した民話のほとんどを、まったくといっていいほど正確に記憶していませんでした……。だから今回のレポートはとても勉強になりました。
『萌ぎの会』のみなさんの話によれば、この他にも延岡には、民話菓子「ともうすかっちり」がシリーズ化できるほど、たくさんの民話が存在するそうですが、とにかく語れる人が少ないそうなので、興味のある方は、ぜひコンタクトをとってみてくださいね。