川越達也ガラディナー&トークショー


投稿:2011.01.30
【宮崎市エリア】 【グルメ】 【イタリアン】 【インタビュー】 【アーティスト・著名人】

カリスマイタリアンシェフ川越達也氏(国富町出身)による、「ビューティー&エレガント」をテーマに行われた一夜限りのガラディナー!

 2011年1月30日(日)、フェニックス・シーガイア・リゾート「ワールドコンベンションセンター サミット」(宮崎市)にて、今や様々なテレビ番組や雑誌、商品開発等々、多方面で活躍中の大人気カリスマイタリアンシェフ川越達也氏(国富町出身)による、「ビューティー&エレガント」をテーマに行われた一夜限りのガラディナー(特別な日に提供されるディナーの意)、『川越達也イタリアンガラディナー&トークショー』が開催されました。

川越達也ガラディナー・会場風景

 イベントの前半は、宮崎地獲れの食材をふんだんに使用した、川越シェフプロデュースのイタリアンディナーコース(全6品)をゆっくりと堪能。そして後半はトークショーをたっぷり楽しむといった構成になっており、ディナーの合間には、川越シェフご自身が各テーブルを一つひとつまわり、お客様との会話に花を咲かせたり、記念撮影やサインなどに応える場面も見られました。
 また、今回のイベントは、川越シェフの地元で開催されたこともあり、会場には親類や幼なじみの姿もあったようで、トークの中でも、国富町で過ごした少年時代の思い出やエピソードをたっぷりと語ってくれました。

川越達也ガラディナー・川越シェフ川越達也ガラディナー・料理イメージ

 そこで今回のレポートでは、『川越達也イタリアンガラディナー&トークショー』の会場風景や、気になる「イタリアンコース」の内容と合わせ、川越シェフにはイベント終了後にインタビューにお付き合いいただきましたので、そちらの模様もご紹介したいと思います。
(レポート:松田秀人)

☆川越達也イタリアンガラディナー&トークショー

会場:フェニックス・シーガイア・リゾート
(ワールドコンベンションセンター サミット)
開催日:2011年1月30日
 URL:http://www.seagaia.co.jp

 

 

会場周辺マップ

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川越達也プロフィール

川越達也ガラディナー・川越達也

 1972年生まれ。宮崎県国富町出身。大阪、東京の料理店で修行。2000年に独立しイタリアン「ティアラ・K・リストランテ」を開店。2006年に「タツヤカワゴエ」に改称し代官山に移転。レストランは2ヶ月先まで予約が一杯である。
 料理人としての活動の他、フードコーディネーター、料理講師、テレビ番組出演、著書出版などで活躍する注目の料理人。

TATSUYA KAWAGOE

住所:東京都渋谷区代官山町11-12 日進ヒルズ代官山2F
TEL/FAX:03-5489-3632
URL:http://www.tatsuya-kawagoe.com

 

会場風景

川越達也ガラディナー・シェラトン川越達也ガラディナー・会場風景

川越達也ガラディナー・会場風景川越達也ガラディナー・会場風景

 会場:フェニックス・シーガイア・リゾート シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート
「ワールドコンベンションセンター サミット」
URL:http://www.seagaia.co.jp
開催日: 2011年1月30日(日)

◆ワールドコンベンションセンターサミット4階 天瑞

川越達也ガラディナー・会場風景

  会場に鳴り響く大きな拍手と共に川越シェフがステージに登場し、来場者に感謝のあいさつをされました。

川越達也ガラディナー・会場風景

「このたびは宮崎県内外からたくさんの方々にお集まりいただき、心より感謝しております。特に宮崎はこのような状況(新燃岳噴火の影響のこと)でありますから、会場に足を運ぶのも大変だったことでしょう。お聞きしたところによりますと、今回のイベントは、7割が地元宮崎の方、そして3割は東京をはじめ、遠方からお越し下さったそうですね。本当にありがとうございます。僕が宮崎を離れて約20年になりますが、このような場をご用意していただけるなんて、正直思ってもみませんでした。本日は一生懸命準備をして、みなさんをお待ちしておりましたので、どうかよろしくお願いいたします」

川越達也ガラディナー・高屋氏/川越氏

▲この日、川越シェフと共に指揮をとった、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート総料理長・高屋正信さん

川越達也ガラディナー・中田氏/川越氏

▲イベント開催のきっかけをつくった、幼なじみの中田さん(フェニックス・シーガイア・リゾート)。実は川越さんと中田さんは、野球少年だったそうです。

◆各テーブルに足を運び言葉をかける川越シェフ

川越達也ガラディナー・会場風景川越達也ガラディナー・サイン

▲サインをもらった、すみかさんは長野県からお越しとのこと

 

メニュー紹介

◆プロデュース 川越達也シェフ

川越達也ガラディナー・川越シェフ説明

川越シェフによる紹介

「普段からなじみのある宮崎の食材を使用し、今日は楽しいお料理に仕立ててみました。もちろん、食べて美味しいのですが、それだけでなく『ああ、こんな味もあるんだ、こんな調理法もあるんだ』といった部分をじっくりとお楽しみいただけたらと思います。前菜はバラエティにとんだ内容を楽しんでいただき、パスタは”手打ち”のモチモチ感を味わっていただきたいと思います。魚料理は地元青島で獲れた白身魚の”鯛”を使用し、表面をカリっと焼きあげ48度ぐらいに熱したオリーブオイルで、上品にそして優しく火を入れ、ふわっとした仕上がりにしました。さらに僕の大好きな手長海老を”カダイフ”といってトルコやギリシャにある細い麺でぐるぐると巻いて揚げてあります。ソースは2種類。フランス料理の古典的なワインを使ったクリームソースと、”ビスク”という海老からとった凝縮出汁のソースを添えました。メインは僕も皆さんも、とってもなじみのある宮崎地鶏をハンバーグにしてみました。これに宮崎のキノコを使ったリゾットを合わせ、ペリグーソースといって、例えるならちょっと甘目のデミグラスソースにトリフの風味を加えたものを添えました。最後のデザートは、今日は女性のお客様が多いということもあるので、たっぷり2種類を味わっていただこうと思います。特に、ストロベリースープミント風味は、いちごの出汁からつくられたとても珍しい新鮮なスープですので、ぜひご堪能していただけたらと思います。それでは、本日のテーマであります『ビューティー&エレガント』のメニューをお楽しみください」

 

Amuse

川越達也ガラディナー・amuse

帆立と蕪の温製 ヴァージンオイル風味

 

Assorted Appetizers

川越達也ガラディナー・Assorted Appetizers

砂肝のブルギニョン風
牛肉と牛蒡のクロケット
アジと赤ピーマンのミルフィーユ
西米良サーモンのタルタル白いクレープ包み
甘酸っぱいマンゴーソース
宮崎野菜のテリーヌ バーニャカウダ
甘エビとほうれん草のタルト
赤ピーマンとトマトのジュレ

川越達也ガラディナー・料理イメージ川越達也ガラディナー・料理イメージ

川越達也ガラディナー・料理イメージ川越達也ガラディナー・料理イメージ

 

Pasta

川越達也ガラディナー・手打ちパスタ カバティエッリ

手打ちパスタ カバティエッリ タレッジオチーズソース

 

Fish Dish

川越達也ガラディナー・Fish Dish

青島獲れ真鯛のオイルポッシュと
手長海老のカダイフ 白ワインとビスクソース

 

Meat Dish

川越達也ガラディナー・宮崎鶏のパテと宮崎きのこのリゾット

宮崎鶏のパテと宮崎きのこのリゾット ペリグーソース

 

Dessert

川越達也ガラディナー・代官山 やわらかいエスプレッソのババロア

代官山 やわらかいエスプレッソのババロア

川越達也ガラディナー・ショコラピスタチオ ストロベリースープミント風味

ショコラピスタチオ ストロベリースープミント風味

 

トークショー風景

※下記はトークの一部をまとめたものです。

川越達也ガラディナー・トークショー風景

「お味のほうはいかがでしたか?お腹いっぱいになりましたか?ここからのお時間は、このようなかたちで自由にお話をさせていただきます。先ほどみな様のテーブルをまわらせていただきましたが、多くの方々が懐かしい宮崎弁で話しかけてくださって、僕も思わず宮崎弁が出てしまったりする場面がありました。もしかしたら、このトークの間にも宮崎弁がちょいちょい出てしまうかもしれませんが、その辺は地元ということでご了承ください。今日は本当にありがとうございます」

「本日みなさまに召しあがっていただきましたお料理の数々は、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート総料理長の高屋シェフご協力のもと、僕がプロデュースしたものですが、代官山の『Tatsuya Kawagoe』でご提供しているお料理も同様に、もとを辿れば、僕の味は全て国富町田尻のお袋の味に行き着くんです。お袋の味覚が僕の今の仕事に繋がっていると言っても過言ではありません」

川越達也ガラディナー・トークショー風景

「僕が宮崎を離れたのは、今から20年前になりますが、当時、同業者の多くの方が、レストランの仕事をはじめると20代前半で、一度フランスやイタリア、スペインに修行に行ったりしていました。もちろん技術向上が主な理由だと思いますが、同時に違う世界を見たいとか、単に箔をつけたいだけだったのかもしれません。もちろん、日本人であっても、洋食をつくる上で、海外のエッセンスが重要だということも理解できましたが、でも僕は海外へは行きませんでした。何故なら、今後、どのようなジャンルの料理をしたとしても、やはり日本人が持っている感性を大切にしたかったからです。当然、様々な技術や知識などは勉強はしましたが、あくまでも国富町で育てられた味覚を僕なりに信じていたかったし、それを伸ばしていきたかったんです。技術は別かもしれませんが、そうした感性の部分は外国人に教わってどうなるものではなく、自分自身が持ち続けなければならないものだからです。ただ、世界にはたくさんの個性的なシェフがいて、彼らに出会い、様々な刺激を受けることはとてもいいことだと思いますので、そういう意識をもって、現地で海外の料理にふれることは僕もあります」

川越達也ガラディナー・会場風景

「子どもの頃に身体にすり込まれた地元の新鮮な野菜や肉の本物の味覚は、料理人としての財産になっていますし、この宮崎の環境で育まれた食育が現在の僕の仕事に大いに繋がり役立っていると思います。僕とては、そうした宮崎の素晴らしい食材をはじめ、国富町で培ったお袋ゆずりの味覚を世界に発信できたらと願っています」

 

川越達也シェフインタビュー

川越達也ガラディナー・川越シェフ

 

Q:先ほどのトークショーの中で、川越シェフは、「僕の味覚の原点は国富町田尻のお袋の味です!」とおっしゃっていましたが、一番好きな「お袋の味」を教えていただけますか。

「それは『鶏と牛蒡の煮込みうどん』ですね!特に僕は牛蒡が好きで、今でもメニューに野菜としてだけでなく、ハーブ的な使い方をしたり、様々な場面で、牛蒡を使っています。今日のメニューの中にも牛蒡を入れていますよ」

Q:地鶏のことをよく話されますが、宮崎で印象に残っている料理を教えてください。

「地鶏の中でも、オーソドックスな炭火焼きだとか、タタキだとか、できれば炭火焼きもレアなものがいいですね。あと、僕が生まれ育った、国富町田尻のお米が独特の粘りけがあって好きです。それとですね……高岡町に『とやまてい』っていう定食屋さんがあって、そこのソース焼きそばが凄く好きでした。昔よく家族で行ってたんですよ。今でもあるのかな……?」

Q:宮崎の郷土料理をヒントにつくられたメニューはありますか。

「以前、『冷汁』をリゾットにしたことがあります。これが実に美味しかったんですよ。実は味噌とバターとチーズって相性がいいんです」

Q:宮崎の食材でもっとこうなってほしいというものはありますか。

「これは希望なんですが、マンゴーに変わる新しいフルーツがでないかなって思うんです。だってマンゴー高いじゃないですか、できればキンカンみたいになじめるようなもがいいんです。せっかく全国にほこれるような温暖な気候なのですから、もっともっとたくさん、宮崎ならではの新しいフルーツがあっていいと思います」

川越達也ガラディナー・インタビュー風景

 

Q:川越シェフは、何故イタリアンの世界に進まれたんですか。

「はじめは大阪でフレンチを学んでいたんですけれど、阪神・淡路大震災の影響から東京に移ることになり、まったくつてのない東京の土地で出会ったのがイタリアンだったんです。それからそのままイタリアンの世界にいるのですが、基本的に僕の場合、料理・仕事にはこだわりますがジャンルにはとらわれないスタイルで活動しているので、現在は、イタリアンテイストを基礎にした自分流の味をお客様に楽しんでいただくために、様々な料理にチャレンジしています」

Q:今注目しているジャンルは?また、最近イタリアンっぽくない料理はされましたか?

「しみじみ美味しいなって思うのは和食だから、注目という点では『和』でしょうね!そんなことから、最近つくったのは和食の『真鯛の潮汁』です。昆布と鰹と真鯛の出汁が実に繊細なんですよ。イメージ的にイタリアンって、ある材料にまたある材料を加えてプラスになっていく、とても豪快な感じがするでしょ?でも和食は計算された引き算でクリアさを出していくイメージがあるんです。まったく逆のアプローチから、どちらも素敵な料理が完成するのですから楽しいですよね」

川越達也ガラディナー・インタビュー風景

 

Q:ちなみにプライベートで料理はされるのですか。

「いや、まったくしませんね。キッチンもそれはモデルルームみたいにきれいなものですよ(笑)。料理道具なんて本当に何にもないんです」

Q:その理由は?

「何故自宅で料理をしないかというと、料理人が仕事が終わって家に帰って料理ができるほど余力を残していたのではいけないと考えているからです。これは僕個人の料理人はこうあるべきという考え方だし、もちろんお風呂掃除はやりますし、例えばどうしても子どもや病気の奥さんに御飯をつくってあげなきゃとか、そんなのは別です。ただ、今の僕は余力を残して店を後にしたくないんです」

Q:川越シェフからは様々な場面で女性的なアプローチがみられますが、そうした部分はかなり研究されているのですか。

「研究というよりは、僕は昔から女性的な感性を持っていて、色彩感覚やレイアウトなど、女性の視点からのものの味方などを自然に受け入れることができ、それを自由に表現しているから、皆さんがそう感じるのかもしれませんね。誤解されると困るのでちゃんと言いますが、僕は女の子が好きだし、世間一般に言われる男っぽい部分も持ち合わせています。学生のころも野球部で坊主頭でしたし(笑)。ただ、男性らしさだとか女性らしさなどの既成概念は、僕がつくり出しているのではなく、世の中がそういう見方をするだけで、僕としては、そういうことにとらわれた表現をしたくないだけなんです」

川越達也ガラディナー・インタビュー風景

 

Q:最後に、川越シェフのような、個性的な料理人を目指している若者たちへ、アドバスをいただけますか。

「アドバイスですか……。非常に難しいですね……。これはどのような料理人になりたいのかというイメージの根本的な問題がからんできますから、話すとなると、誰彼かまわずひとくくりにして、ひと言ふた言で済ますわけにはいかないんです……。たとえば、何も考えず、とにかくひたすら料理だけの勉強や修業をすれば、時間と共に技術力が積み重ねられ、経験と共に腕のいい職人になることは可能かもしれません。しかし、あくまでもそれだけのことで、僕が進んでいる世界とはまったく異なります。料理職人・技術者を目指す人に対するメッセージであれば、修行と経験あるのみなので、負けないで頑張ってくださいということになるのでしょう……。ただ僕のように、料理の世界をひとつの表現の場として考える場合、そうした技術的な部分は重要な要素ではありますが、それでも要素の一部にすぎないんです。ある意味、上手につくれてあたりまえですし、発想やイメージを具体的に味覚やヴィジュアルに反映する上で技術や知識は必要になりますが、僕は自分を表現するにあたり、絵画や音楽を選ばず、料理を選んだということなんです。『川越達也とは?』を形成している根幹は、経験からくる技術面とは少し異なるところにあって、これをわかりやすく説明するのは非常に難しいことなんです。早い話が、たとえ若い人でも、同じような感性を持っている人は、もしかしたら説明無しでも何かを感じ取ってくれるかもしれませんが、そうした『種』をもともと持っていない人にいくら説明したとしてもわかってはもらえないでしょうし、逆に『わかってください』と説明するようなものでもないですからね」

Q:何か意識してやれることはないでしょうか?

「世の中のアーティストと呼ばれる方々も常に語っているようなことになってしまいますが、表現をするにあたり最も重要なのは感性なんです。これは料理だけをしていてもどうなるものではありません。ものの見方や感じ方の問題ですから当然生まれ持っての資質も作用しますし、さらに生活環境なども大きく関わってくるでしょう……。とにかくここで言えることといえば、絵でも本でも、映画、音楽、そしてヘアメイクにファッション、何にでも、生活の全てを通して、自分なりの視点や意見を持って常になにかを感じ取る体質をつくるということでしょう。ひと言で仕事としての料理人といっても、今お話したように、方向が違うとまったくの別世界になってしまいますから、もしそういう事を考えられる年齢になった時は、自分は何をどうしたいのかを根本的に考える必要があるとおもいますよ」

Q:今日はイベントでお疲れのところお付き合いいただき、ありがとうございました。

「こちらこそありがとうございました。今後も様々な商品開発にも携わっていきますので、宮崎県の方々にも、川越達也の味覚のエッセンスをお届けすることができるのではと思います。今後も、応援よろしくお願いしますね」

 


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