宮崎グラフィックデザイナーズクラブ
宮崎グラフィックデザイナーズクラブ(MDC)20周年展☆今回のテーマは「縁」。ここで会ったが20年目、こいつぁ春から縁起がいい。
2010年2月13日(土)から2月28日(日)にかけて、「みやざきアートセンター/5階アートスペース2・3」(宮崎市橘通)にて、『宮崎グラフィックデザイナーズクラブ(以下MDC)20周年展』が開催されています(入場無料)。
会場は、デザイナー達の作品がずらりとならんだ『15人のデザイナーの仕事展』と、今回のテーマである「縁」にちなんだ『デザイン縁日』とで構成されており、入り口付近には、MDCの 20年間の歩みが、わかりやすくパネルで紹介されています。また来場者には「大吉」と描かれた「手作り縁起札」のプレゼントがあり、さらに開催中の日曜日(2月14日、21日、28日)には、デザイナーを目指す学生へのアドバイスや、企業のデザインについての相談を気軽に受ける『デザインよろず相談会』も開催されます。
(レポート:松田秀人)
宮崎グラフィックデザイナーズクラブ20周年展
会場:みやざきアートセンター
5階アートスペース2:15人のデザイナーの仕事展
5階アートスペース3:デザイン縁日
住所:宮崎市橘通西三丁目3番27号
URL:http://miyazaki-ac.com
開催日: 2010年2月13日(土)から2月28日(日)
開催時間:10:00〜17:00(土・日は18:00、最終日は17:00まで)
料金:入場無料
※2月14日、21日、28日〜『デザインよろず相談会』開催
※展示会お問い合わせ:MDC事務局、電話 0985-23-5259(松村)
周辺マップ
みやざきアートセンター会場風景
▲会場:みやざきアートセンター(宮崎市橘通り) 奥のエレベーターで5階へ(左) 手作り縁起札」のプレゼント(右)
宮崎グラフィックデザイナーズクラブとは?
1989年結成。
宮崎のグラフィックデザイナーの質の向上と啓蒙を図るため、立ち上げられました。グラフィックデザイナーを中心に、カメラマン、教師などで構成されています。月に一度を目安に集まり、お互いの情報交換を行っています。
私たちの作品をご覧頂くための展示会を開催することが中心事業ではありますが、例えば宮崎に関するポスターやパッケージなどの作成依頼も頂いたりと、グラフィックデザインを中心とした活動を展開しています。
MDCを見学されたい方、大歓迎です。そういった方々も含め、仕事の都合で参加できなかったりするメンバーもおりますので、毎月の集まりは、平均10名強の参加になります。
(文:公式ホームページより)
事務局/有限会社SDグラフィックス内
お問い合わせ:MDC事務局、電話 0985-23-5259(松村)
例会会場/宮崎市内が基本で、食事ができるところや会員の会社や店舗で行われます。
MDCホームページURL:http://www.mdc-web.info/04activity.html
MDC 松村慎一会長あいさつ
有限会社 SDグラフィックス
早いもので『宮崎グラフィックデザイナーズクラブ(MDC)』が発足して20年。これまでデザインセミナーや交流会、様々なテーマのデザイン展を開催してまいりました。今回縁あって新たにオープンした、まちの文化振興の拠点『みやざきアートセンター』で、創立20周年記念展を開催することになりました。これまでのMDCの活動を振り返るとともに、各デザイナーの仕事を中心とした『15人のデザイナーの仕事展』と縁日をテーマとした『デザイン縁日』を開催いたします。よろしければ、まち散策のついでにでも、ちょっとお立ち寄りください。ここで会ったが20年目、こいつぁ春から縁起がいい……。なんて、思いがけない縁があるかもしれません。
15人のデザイナーの仕事展
ポスターやロゴマーク、パンフレット、写真集などを展示している『15人のデザイナーの仕事展』では、日頃からなじみの深い図案の数々を目にすることができるだけでなく、作品を手がけたデザイナーの顔写真と共にプロフィールが紹介されています。
※下記の作品画像は、全て会場で展示されているものを、デジタルカメラでそのまま撮影しておりますので、実際の作品とは若干、色などが異なる場合がございます。
出品者(50音順)
井上喜司
ヒーリオセントリック
〒880-0935宮崎市天満1-4-25 サンセベリア1-C
tel.0985-59-1133
fax.0985-59-1131
金丸二夫
DESIGN WORKS
〒880-0822宮崎市権現町127-12 205
tel.0985-32-6080
fax.0985-32-6080
塩川陽一
スタジオむーぶ
〒880-0916宮崎市恒久4301-1
tel.0985-59-4061
fax.0985-59-4061
鈴木 要
宮崎ユニバーサル・カレッジ グラフィックデザイン学科 講師
〒880-0813宮崎市広島7439
tel.0985-39-2249
fax.0985-39-7431
関谷小百合
日章学園高校教諭(美術)総合デザイン学科専任講師
〒880-0813宮崎市広島836
tel.0985-39-1321
fax.0985-39-1324
田島和人
グラフィックデザイン アップタウン
〒880-0812宮崎市高千穂通1−5−1コートハイブリッジ1−402
tel.0985-83-3160
fax.0985-83-3161
田畑良親
有限会社 デザイン・キャット
〒889-0916宮崎市恒久5107-1
tel.0985-54-0810
fax.0985-54-3551
萩原宏典
有限会社 はにわ広告事務所
〒880-0917 宮崎市城ヶ崎4-1-24
tel.0985-54-8588
fax.0985-54-8508
堀田 明
デザインパーク
〒882-0017延岡市川島町2875
tel.0982-30-1788
fax.0982-30-1788
牧野剛己
有限会社 マキノデザイン
〒880-0907宮崎市淀川3-8-17.3F
tel.0985-41-9800
fax.0985-41-9880
松村慎一
有限会社 SDグラフィックス
〒880-0032宮崎市霧島3丁目79 加賀ビル1F
tel.0985-23-5259
fax.0985-23-5630
水間京子
水間デザイン
〒880-0926宮崎市月見ヶ丘5-11-3
tel.0985-52-4967
fax.0985-52-7385
山口眞一
山口デザイン室
〒880-0951宮崎市大塚町横立1403-64
tel.0985-47-8886
fax.0985-47-5790
三輪浩治
アド・ルックス
〒880-0875宮崎市曽師96-1
tel.0985-27-1320
fax.0985-27-1320
吉村博子
鵬翔中学・高等学校 非常勤講師(美術)
〒880-0916宮崎市大字恒久4336
tel.0985-52-2020
fax.0985-52-7887
デザイン縁日
今回のテーマである「縁」にちなみ、『デザイン縁日』と題した、お祭りや縁日を彩る手拭いやうちわ、行灯、お面、風車などを、参加デザイナー達がこの日の為に新たに制作し、作品を展示しています。
MDC 萩原宏典副会長 「20年前と今」
有限会社 はにわ広告事務所
20年前、僕は東京でデザインの仕事をしていました。ちょうどその頃、子供と家族の生活環境のことを真剣に考えはじめ「そろそろ宮崎に戻ろうか……?」なんて迷いはじめたんですよ。もちろん仕事の事が気になるわけですが、今と違って、インターネットがあるわけじゃなし、特にその頃の宮崎県の情報なんて、都会にはまったくといっていいほど入ってこなかったから、当時宮崎でデザインの仕事をしていた松村さん(MDC会長)に、「こういう事情で宮崎に戻ろうと思うんだけれど、戻ったとしてデザインの仕事はありますか?」と相談してみたんです。そうしたら松村さんは間髪入れずに「全くないよ」と返事をされました。
確かに当時の宮崎では、デザインという仕事が都会のように専門分野として認知されておらず、多くが印刷業務の一部として扱われており、悪い言い方をすれば”おまけ”的な扱いでした。しかし、その後で松村さんと深く話し合っているうちに、「この宮崎の現状を、我々の活動でどうにか変えていかなければならない」という事になり、それこそ今年のテーマにあるように、「これも何かの縁」と考え、僕も宮崎に帰る決心を固めました。
帰郷と同時に『宮崎グラフィックデザイナーズクラブ』を松村さんと発足。彼が会長で僕が副会長というわけです。そしてその当時、県内から「自分はデザインで食っている?」という人間を約10人ほど搔き集め、「宮崎をデザインするのは、私たちだ!」というテーマで第1回目となる展覧会をすることになりました。何もかもが手探り状態でしたが、それだけにやりがいもあり、とても充実していました。何より都会のように歯車の一部的感覚がなかったのが気持ちよかったんです。その後も「宮崎ならではのスピードと価値観をもとう」ということから「ミヤザキジン宣言」をテーマにしたり、「サミット」や「焼酎」など、様々な課題にみんなで挑戦しました。その他の活動としては、様々なワークショップや、ゲストを招いての講演会などを行い、宮崎のデザイン業界の底上げに努めてきたつもりです。
発足当時はこの団体がまさか20年後も継続されているなんて、まったく考えてもみませんでしたが、気がつけば、いつの間にか月日が流れ、時代と共にメンバーも少しづつ入れかわり、第1回から参加しているのは、言いだしっぺの僕と松村さんだけになってしまいました。そしてコンピューターの普及とソフトの進化により、近年ではデザイナー的仕事をしている方がたくさん増えたと同時に、デザイナー一人ひとりに求められる仕事量も増えました。かといって単価も上がったかといえばそうではなく、むしろ「専門職でなくともパソコンさえあれば誰でもできる」という風潮も手伝い、全体的な単価が下がってしまいました。底上げはいったいどうなったのでしょう?やはり時代の流れには逆らえないのでしょうか?
昔はデザイン業務の中で、それぞれが得意分野を突き詰めていたのですが、現在はコンピューターで全部できてしまうので、ある意味分業するほうが非効率的になってしまいます。だから、デザインの現場に携わる人間は、本来得意だった業務だけでなく、あらゆることがまんべんなくできないといけなくなり、結果、何かに秀でた人より、とにかくこなせる人が求められるようになりました。たとえば、ゼロから考えだすことはできないけれど、インターネット上に転がっている素材を寄せ集め、うまく繋ぎ会わせ、それらしく見せるのがうまいとか……。まあそんなことです。もちろん、みんながそうなったとか、昔はそんな人は一人もいなかったと言っているのではなく、コンピューターの一般化に伴い、そういう人の数が急激に増えたため、業界全体のバランスが崩れ、結果、技術力の進化ほど、デザインに対するアプローチは進化していない……というか、むしろ機械に頼りすぎて発想が乏しくなっていると感じることさえあります。
そんなことから、今後の宮崎のデザイン業界をいいものにしていくために、僕らも常に様々な角度から柔軟な思考で物事にあたらなければならなし、そのためには多くの若い世代のデザイナー達と、意見交換をすることが必要だと思っています。しかし「なんで仕事上のライバル同士が集まらなければいけないの?」と考える人もいると思います。もちろん僕自身もある一面ではそう思っていますし、単なる仲良しグループを作ろうなんてさらさら考えていません。ただ、我々が選んだデザインという仕事は、ともすれば一人よがりになりがちだし、よくも悪くも、常に意見を戦わせる相手、そういう意味での良きライバルがいないと、知らないうちに自分の意識が低くなってしまうのです。それは本当に怖いことなんです。
また、仕事によっては一人では捌ききれない大きなものもありますし、逆にMDCだからこそ取れる大きな仕事もあったりします。そんな時は良きライバルが強い味方になったりもするんです。ご覧の通り、このMDCも悲しいかな高齢化が進んでいます。別にMDCはベテランしか入れないわけではなく、気がついたらそうなってしまったということなんです。20年前、今より20歳若かった私と、20歳若かった松村さんが、「宮崎のデザイン業界の体質を変えたい」と、半ば勢いだけで創ったこのクラブ……。業界全体が出口のないトンネルの中で明かりを見つけようとしている今こそ、そうした勢いのある方達と、経験豊富なベテランが意見をぶつけ合い、良いエキスを絞り出し、今度は新しい世代がつくる、素晴らしい10年、そして20年に活かすことができればと思っています。興味のある方、話がしてみたいというは是非、MDCに参加してみてください。よろしくお願いします。
取材を終えて
日頃、雑誌や店頭などで見慣れた図案の数々も、実際にどのような人が制作しているのかまではわかりませんし、たとえ興味を持ったとしても、知る機会に巡り会うのは中々難しいものです。絵画などとは違い、商品やイベントなどの一部として利用される商業デザインに関しては、個展などが頻繁に開催されることはありませんから、今回のような展示会はとても貴重だといえます。
特に、作品やプロフィールと共に、デザイナーの顔写真が紹介されているため、来場者の間から「あの会社のロゴを考えたのはこの人だったの!」とか「いつも見慣れているロゴやポスターだけど、デザイナーの顔がわかってからさらに親しみが増した」「地元の人がつくっているとは思わなかった」といった声を聞くことができました。
開催期間は本日(2月26日)を入れて残すところ三日となってしまいましたが、せっかくの機会ですし、なんといっても入場無料のプレゼント付きなので、お時間のある方は、ぜひ会場に足を運んでみてくださいね。