『長渕 剛』 トークライブ in 川南
口蹄疫被災地・川南に、鎮魂の歌を捧げる〜 FM宮崎『WEEKEND JAM 特別編 『長渕 剛』 トークライブ in 川南!
2010年10月30日(土)、宮崎県川南町にて、「口蹄疫復興」の主旨をもって行われた、FM宮崎『WEEKEND JAM 特別編 トークライブ in 川南』の公開収録に、ミュージシャン・長渕 剛さんがスペシャルゲストとして出演しました。長渕さんは、友人である宮崎県出身の元プロボクシング世界チャンピオン、戸高秀樹氏をゲストに招き、約1時間にわたり口蹄疫の実態と今後についてトークライブで語り、その後、川南町の人々を活気づけるためにと、『巡恋歌』『とんぼ』『乾杯』『TRY AGAIN』といった代表曲を含む、全8曲をギター1本のみの弾き語りで披露しました。
開催当日、同町のトロントロンドーム敷地内に建立された「畜魂慰霊碑」が立つ広場には、関係者併せて約3,000人の人々が、人口約17,000人の川南町に集まりました(観覧応募総数は、当選枠2,500人に対して、13,000人を超えたそうです)。当初の天気予報では、台風14号の直撃が懸念された宮崎地方でしたが、この日は台風一過、青空が広がりました。
前日に宮崎入りして、実際に口蹄疫の被害にあった家族を訪れるなどしていた長渕さん。収録終盤に「最後にメッセージを」と求められると、
「今日みんなに会ったことで力を貰ったし、これからも頑張ろう...ってひと言しかないんだけど、希望を僕らで日本に飛ばそう。もうくよくよしても、しょうがないよ。やるしかない。俺今日歌いたいし、これだけ集まってくれたらやらないわけにいかないだろう。みんなで盛り上がろうぜ」
と言い、突然、弾き語りでのライブを始めました。会場の3,000人は一瞬のどよめきの後、瞬時にして熱狂!無数の拳と剛コールがあがる中、数々のヒット曲を歌い上げた長渕さんは、最後の曲『TRY AGAIN』の曲中で、
「俺には歌しかできること無いけど、今日この地を訪れて歌を歌って、みんなから勇気をもらった。みんなで手と手を繋ぎ合って、絆を結んで、日本にこの川南町から復興と開拓魂を見せつけてやろうよ。一緒に頑張ろう!」
と語り、全8曲45分に及ぶサプライズライブが幕を閉じました。それはさながら、宮崎の大地に眠る28万頭の家畜へ捧げる鎮魂の歌のようで、台風一過の澄み切った秋空に、3,000人の歌声と共にこだましました。
そこで今回のレポートでは、当日会場へ足を運ぶことができなかった、また、FM宮崎の番組オンエアーを聞き逃してしまった方のために、会場風景とトークライブの内容をご紹介いたします。
(レポート:松田秀人 協力:JOYFM/FM宮崎 WEATHERKING 画像及び文章・資料提供:NAYUTAWAVE RECORDS
FM宮崎〜WEEKEND JAM 特別編 トークライブ in 川南
開催日:2010年10月30日(土)
場所:宮崎県川南町トロントロンドームふれあい広場「畜魂慰霊碑」横特設ブース
主催・企画製作:(株)エフエム宮崎
URL:http://www.joyfm.co.jp
番組:WEEKEND JAM(毎週金曜日13:00-18:55)
URL:http://www.joyfm.co.jp/weekendjam
協力↓
・ユニバーサル ミュージック合同会社
URL:http://www.universal-music.co.jp
・川南町若者連絡協議会
URL:http://kawaminami.miyachan.cc
出演者プロフィール
スペシャルゲスト:長渕 剛
▲1956年、鹿児島県生まれ。78年、ポプコンの入賞曲だった「巡恋歌」でデビュー。80年にリリースした「順子」で、初めてチャートの1位を獲得する。そして、81年から年をまたいでの全国140ヶ所に及ぶロング・ツアーを行い、ツアー終了後には初の武道館ライヴも敢行。また、83年の主演ドラマ『家族ゲーム』を皮切りに、役者としての才能も開花させていく。87年に発表した『LICENSE』が日本レコード大賞のアルバム大賞を受賞、その勢いに拍車をかけるがごとく、翌年リリースのシングル「乾杯」がミリオンセラーに。これは、結婚披露宴におけるスタンダード・ナンバーとして今も歌い継がれる名曲だ。その後も、シングル「とんぼ」「RUN」やアルバム『昭和』などミリオンセラーを連発し、音楽シーンに不動の座を獲得した。
ライヴパフォーマーとしての人気も絶大で、2004年には鹿児島県の桜島特設ステージで、約7万5千人の観衆を集めオールナイトでライヴを敢行し今でも語り草になっている。
長渕 剛公式ホームページ:http://www.nagabuchi.or.jp
友情出演:元プロボクシング世界チャンピオン・戸高秀樹氏
戸高秀樹ボクシングジム・公式ホームページ
URL:http://boxing-gym.jp
司会:DJ Pocky
▲宮崎県立日南高等学校卒業。アメリカ・メソジスト大学卒業。南九州NO1.DJの地位を確立させ、宮崎県・鹿児島県のFM局を中心にDJとして、CMナレーション、テレビにて幅広く活躍している!「WEEKEND JAM」「SUPER RADIO CLUB」!今年も宮崎、そしてあなたの心を元気に笑顔に出来る、とにかく記憶に残るトークを一言一言大切にします!
公式ホームページ:http://www.dj-pocky.net
担当番組ブログ:http://www.joyfm.co.jp/weekendjam
司会:エフエム宮崎アナウンサー榎木田智子
▲宮崎県立宮崎西高等学校卒業。青山学院大学文学部フランス文学科卒業。FM宮崎アナウンサー。ひとをポジティブな気持ちにさせるような、元気を分けてあげられる様なパーソナリティーになりたいと思ってやってきましたが、実際の放送現場では逆に元気をもらうことも多々あります。送り手も受け手も相互に気持ちを通わせるそんなラジオの独特の距離感やぬくもりを、一人でも多くの人たちへ伝えていきたい!と考えています。
担当番組ブログ:http://www.joyfm.co.jp/hybrid_morning/cat54
会場・川南町トロントロンドームふれあい広場
FM宮崎〜WEEKEND JAM 特別編 トークライブ in 川南
オープニング
POCKY
皆さんこんにちは~!ようこそ〜!!今日はみなさんやりますよ〜!司会のDJポッキーです!!
榎木田
こんにちは!エフエム宮崎アナウンサーの榎木田智子です!
POCKY
いつもはチカちゃんとお届けしている『WEEKEND JAM』ですが、今日は特別編ということで、ポッキー&エノッキーでお届けします。よろしくお願いします。
榎木田
よろしくお願いします。
POCKY
さあ、今日は本当にたくさんお集まりいただきましたが、今回、2,500人の定員に対し、なんと13,000通もの応募がありました!これは公開放送始まって以来の応募総数です。
榎木田
その中からの当選ということは、みなさんがいかにラッキーかということになりますよね。
POCKY
本当はもっと多くの方々をお呼びしたかったんですけれど、やはり事故のない環境をということから、2,500名をご招待とさせていただきました。今日の公開放送が、エネルギーにパワーに、そして未来の希望になればと思っております!
榎木田
それでは始めに、今回のトークライブの主旨についてご紹介させていただきます。県内に深刻なダメージを与え、県民の心に深い傷痕を残した口蹄疫。終息宣言は8月27日に出されましたが、本当の意味での復興はまだまだこれからです。 そこでFM宮崎では「がんばろう宮崎!」を合言葉に、頑張る皆さんの心を一つにして、復興への想いを新たにするきっかけになればと、今回のトークライブを企画致しました。
POCKY
さあ、そして今日のスペシャルゲストは長渕剛さんですが、8月に口蹄疫被害に遭われた方々のために、FM宮崎に応援メッセージを寄せてくださり、そのメッセージを番組でオンエアしたところ、リスナーの皆さんから大変多くの反響をいただきました。そして今回、最大の被災地である川南町を実際に訪れ、直接エールを届けたいという長渕さんの熱意を、私共FM宮崎がサポートできれば、ということで実現したのが このトークライブです。13,000通の応募の中から抽選で選ばれた2,500名の皆さんと一緒にこの川南町が少しでも元気になってくれればうれしいです!!
榎木田
この番組の内容は、11月5日(金)の『WEEKEND JAM』3時台に特別編成でオンエアしますので、よろしくお願いします。
長渕 剛さん登場!
POCKY
『WEEKEND JAM 特別編 トークライブ in 川南』。それではみなさん、本日のスペシャルゲストをお呼びしましょう!!長渕 剛さんです!!
長渕
Yeah————!Yeah————!Yeah————!今日は晴れたね。最高だね。みんな会いに来たよ!
POCKY
いや〜ついに実現しました!ありがとうございます。さあ、そして本日は、なんとこの方にもお越しいただいております。
榎木田
はい、宮崎県宮崎市出身、元WBA世界スパーフライ級王者、元WBA世界バンタム級暫定王者、日本人では未だ5人しかなしとげていない、2階級制覇王者の、戸高秀樹さんです。
POCKY
戸高さんお帰りなさい。
戸高
みなさんただいまです!
POCKY
さあここからは、この4人で話しを進めていきたいと思います。
長渕
しかしよく集まったね。嬉しいね〜!凄い、凄い。
POCKY
それにしても、長渕さんは晴れ男として有名なんですけれども、今回は台風(14号)を吹き飛ばしてしまったという、この宮崎でまたまた伝説をつくってしまいましたね!
長渕
いやいや、これは僕の力じゃないよ。これはね、絶対みなさんの力だと思うよ!だってこの会場から台風を吹き飛ばすような力を感じたもの。素晴らしいです!
POCKY
ではまず、長渕さんと戸高さんの関係からお話いただけますか?
長渕
え〜、出会ったのは何年前だっけ?秀樹?
戸高
10年前です。
長渕
ある雑誌の対談で初めて会って……。確か大きなタイトル戦と重なっていなかったかな?
戸高
スーパーフライ級で世界チャンピオンになった後、雑誌の対談で出会って、それをきっかけに、2回目の防衛戦で、タイの元世界チャンピオンと対戦した時、名古屋レインボーホール(現・日本ガイシホール)に観戦しに来ていただいたんです。その時は、試合の流れ的にほんとやばかったんですけれど、インターバルのたびに剛さんの顔を見て元気もらって、結果、11ラウンドでKOすることができたんです。
長渕
素晴らしい試合でしたよ。
POCKY
もともと、戸高さんが長渕さんの大ファンだったとお聞きしていますが。
戸高
はい、昔から大好きで曲を聴いていました。
長渕
名古屋での試合を観戦して感じたんだけど、彼のファイティングスピリットって、なんていうか、ほんとやばいんだよ!だって、殴られたらわざと顔を前に出すんだよ。そうしたらノーガードになるでしょ。それで相手に3・4発、パンパンパンって殴らせておいて、そこから反撃するわけ!だから見ている側はヒヤヒヤしっぱなしで心臓に悪かったよ。でも、最後はステップワークを駆使したスピーディな攻撃で相手をKOしてしまって……。その時は、彼の戦いぶりに、僕のほうが叩きのめされてしまったよ。感動して涙ぼろぼろになった。これまでに彼のようなファイターは見たことがなかった。そう、そこからの付き合いですね!
POCKY
どうですか?今の長渕さんのお話しを聞いて……。
戸高
僕はもう……。剛さんに力をもらって………………………………。
長渕
いやいや、彼は強いんだけど、しゃべりの方は得意じゃないからちょっと気を使ってもらえる(笑)。それこそヒヤヒヤしてしまうから。
戸高
すいません、そういうことなので、よろしくお願いいたします(苦笑)。
長渕
そんな秀樹を育んだ宮崎なんだけど、僕は何度か来ているけど、秀樹と一緒に来たのは今回が初めてなんですよ。それで昨日は宮崎市内の海岸、え〜と……。あれはなんてとこだっけ?
戸高
一ツ葉……。サンビーチ一ツ葉です!
長渕
そう、そこに行ったんだけど、秀樹はこの海岸をずっと走っていたって聞いて、「ああ、彼は、こういう素晴らしい大地に生まれ、一人の少年が拳に命をかけて、海のずっと向こうを見つめながら世界を夢みていた」って思うと感動してね。そんなことを想像しながら、一緒に海岸を歩いていたら、彼のサクセスを自分も歩いているような気がしてしまって、まるで自分のことのように感じてならなかったんですよ。
POCKY
戸高さんにとっても、いい思い出になったのではないですか?
戸高
はい、忘れられないですね………………。すいません、話しすぐ終わってしまいました。
POCKY
いえいえ、いいんですよ(笑)。
戸高
昔から、相手を早く仕留めろと教えられてきたもので(笑)。話しのほうも……。
POCKY
そういえば、海岸で殴り合いをしたって聞きましたけど?
長渕
ああ、それですか?殴り合いっていうか、現在彼は東京でボクシングジムをやっていて、後輩の育成に力を注いでいるんだけれど、僕もそのジムに通っていて、久しぶりに彼に会ったりすると、秀樹やるか!って言って、上半身裸になって、胸と腹を殴りあうんですよ。まあ、他人が見ていると、いったいなんだ?ってことになるんだけど、僕らの中ではそれが挨拶みたいなものでね。
POCKY
それを昨日、一ツ葉の海岸でやったんですね?
長渕
えっ、なに?今日?やらないよ、今日はやらないよ。痛いんだよアレ。昨日はテレビカメラがまわっていたから特別だよ(笑)。
榎木田
そうなんです。今回はNHK『SONGS』の収録もあって、昨日の模様などは、11月17日、11月24日、水曜日の午後10時55分から放映されるんです。みなさん、ぜひご覧になってください!
POCKY
話しは変わりますが、戸高さんの入場曲は長渕さんの『HOLD YOUR LAST CHANCE』だそうですが、この曲にはどのようなエピソードがあるんですか?
戸高
僕の2回目の世界タイトル奪取は、この曲がなかったら叶わなかったと思うんですよ。何故なら、そのまま僕の人生を描いたような曲だったからです。僕も試合でアゴを砕かれて、どん底におちたんですけれど、その時、この曲を聴き続けて、そしてタイトルをつかむことが出来たんです。
POCKY
本当に音楽の力って凄いと思うのですが、特に長渕さんの曲って、いろんな人に勇気やパワーを与えますよね!
長渕
もともと『HOLD YOUR LAST CHANCE』っていう歌はね、自分が立ち上がるためにつくった歌だったんだけど、いろいろとあって、最終的に彼に贈るために、新たにレコーディングをやりなおす形になったんですよ。どんなことがあったかっていうと、彼が言うように、レオ・ガメスとの戦いで、アゴを割られてしまい、その時は耐えられない映像が僕の目にも飛び込んできたんだけど、確か手術後半年ぐらい治療のため入院と通院をしていたんじゃなかったかな?
戸高
そうです。
長渕
ちょうどその頃、僕は銀座で「詩画展」という、歌詞と絵画を同時に展示する個展をやっていて、その会場に、顔中包帯ぐるぐる巻きの彼が、「剛さん!」って入ってきたんだよ。もう、目の部分しか開いてなくて、あと全部が包帯で隠れている上に、口の部分にある小さな隙間にストローを突っ込んで、なんとジュースを飲みながら入ってきたんだよ。もうびっくりして「おまえ秀樹か?生きてたのか?」「はい!なんとか」なんてやりとりをして……。僕は彼のそんな姿に驚いたんだけど、彼はそのまま「詩画展」を食い入るように観ていたんだよね。きっと、何かを探しに来たんだと思ったけど、でも、そうまでして来てくれて、やっぱり嬉しいじゃない?彼のことが好きだし、尊敬もしているし、そんな彼を見ていて、自分も何か力になれないかな?って考えて、その時にでっかい紙に激励の言葉を描いて贈ったんだよね。それからしばらくして彼から電話があって、「剛さん、もう一度ガメスと戦いたいんです。リベンジがしたいんです。もう一度、チャンピオンベルトを腰に巻きたいんです。その時の入場曲に『HOLD YOUR LAST CHANCE』を使わせてもらえませんか?」って言うから、もちろんOKして、僕からも「だったら、弾き語りじゃなくて、勢いのあるバンド演奏のバージョンもあるからそっちを使ったらどうだろう?そのほうがきっと盛り上がるし」と提案したんだけど、彼は低い声で「いえ、弾き語りで入場したいんです」と凄むんですよ。電話の向こう側の彼の鋭い目を思い浮かべつつ、「きっとなんらかの覚悟を決めたんだな」と感じて、「それなら、こっちももう一度スタジオに入って、今の自分の気持ちをぶつけて、弾き語りで『HOLD YOUR LAST CHANCE』を歌い直すから」ということになり、最終的に彼に贈る曲として出来上がったんです。
POCKY
素晴らしい二人の絆ですね。それでタイトルマッチでは?
戸高
……………………。
長渕
ちょっと悪いけれど、秀樹の代わりに僕が話すね。
戸高
お願いします(笑)。
長渕
タイトルマッチは両国国技館であったわけだけど、僕ももう絶対勝ってほしいって思うじゃない。だから応援に行こうと思っていたんだけど、その日はレコーディングで、現場に到着したのが、タイトルマッチ開始の5分前だったの……。もう早く会わなくちゃって思って走っていたら、向こうの方に、関係者に囲まれて入場を待つ彼の姿が映ったわけ!それで、もっと早くって、近づいたんだけれど、もうすぐそこに秀樹がいるのにもかかわらず、そこから中々近づけないんだよ。もう、なんていうか、命をかけた戦いに挑もうとする彼の目をみたら動けないんだよ。その時の目は忘れられないね。でも、何か言葉をかけなくちゃって思うんだけど、それもなかなか出来なくて、「こりゃ、中途半端な気持ちでは近づけないぞ」って思って、その時、3回ほど唾を飲み込んで、自分に「ヨシ!」って気合いを入れて、秀樹の肩を抱いて、「勝てよ!」って言ったら、「はい!」とだけいって、『HOLD YOUR LAST CHANCE』が流れる花道を、リングに向かってゆっくりと歩いて行きました……。
POCKY
戸高さん、その時のことはしっかりと記憶に残っていますよね。
戸高
はい。
榎木田
本当に胸が熱くなりますね。
長渕
ところで秀樹さ、入場の時に、『HOLD YOUR LAST CHANCE』が流れながら、スポットライトに照らされた花道をゆっくりゆっくり歩いていくじゃない?でもさ、1コーラスが流れ終わった時に、ピタっと測ったようにリング下に到達したじゃない?あれはなんで?意識的?
戸高
あれは、僕が1コーラスをちゃんと聞きたかったんですよ!ちゃんと聴いて、気分絶調のところでリングに上がりたかったんです。
長渕
じゃあ、歌に歩幅を合わせてくれたってことね。それはどうもありがとうございました!
戸高
……(笑)。
長渕
いや、あの時は本当に歴史に残る壮絶な戦いでしたよ。どっちも譲らなかったけど、絶対に引かなかったね!もう、顔だって血だらけになってね。でもイヤなもんだよ。自分が愛してやまない男がさ、ほんの数メートル先でボコボコにされてさ。こっちだってリングに行きたくってしかたなかったけど、それをこらえて最終12ラウンドまで、彼が戦い続けるのを見守るだけで……。最後に彼の手が高々と上がった時、気がついたら自分までリングの上にいたもんね(笑)。それで何故だか、リングの四方のファンに「どうもありがとうございました。どうもありがとうございました」って御礼しまくって(笑)。まるで自分が勝ったような勢いで……。
戸高
万歳三唱の時は、りょく、両国こく……。すいません、カンでしまいました(苦笑)。両国国技館がうなっていました。
長渕
それでさ、勝ったあとの秀樹の顔がね、「剛さん勝ったよ!」って、まるで子どものような笑顔をするんだよ!さっきまで本当に命がけで戦っていたのかっていう顔なんだよ。もちろん、リングにあがる前の、あの近寄りがたい目つきも印象に残っているけど、勝った後の子どものような笑顔も忘れられないね!その時、きっと自分はこいつと一生生きていくんだなって思いましたね。まあ、大変ですけど(笑)。
戸高
ありがとうございます(笑)。
POCKY
今日はお二人の素晴らしいストーリーをありがとうございます。さて本日は、宮崎県は川南町からの公開放送なのですが、ちなみに宮崎市出身の戸高さんは、今回の口蹄疫問題のことを、どのように受け止められましたか?
戸高
最初は東京でニュースを見て、「えっ」って感じで、すぐに実家に電話して詳しいことを聞いたんです。それからしばらくして宮崎に帰ってみたんですが、あちこちに消毒ポイントが設置されているし、畜産農家のまわりは真っ白になっているし、東京のニュースで知らされるよりも、ずっと大変なことになっていると感じましたね。実際に現場を見てみると、ニュースでは現状をちゃんと伝えきれていないのがわかりました。
POCKY
そんな、故郷の実情を戸高さんから長渕さんに伝えてもらい、長渕さんからは、熱い応援メッセーをFM宮崎にいただいたりしました。本当に感謝しています。
榎木田
長渕さんといえば、近年、沖縄の問題につきましても、宮崎の問題につきましても、実際に現場に足を運ばれ、自分の目で見るということを大切にされていますよね。
長渕
今まで五十数年生きてきて、人知れず悩み、苦しみ、そして涙してきた時があるんですよ。もちろん死にたいと思ったこともあります。そんな中で、なにが一番歯がゆかったかって言うと、「俺こうなんだよ!」って必死に叫んでいる時に、誰もが知らんふりをすることなんです。みんなに知らんふりをされた時、本当に「もう自分は生きる術がない」って思ってしまうんです。だから「自分がされて一番いやなことは人にしたくない」っていうのが僕の中にあるから、今回の口蹄疫問題だって、手塩にかけて育てた牛や豚が目の前で殺処分され、苦しんでいる姿を目のあたりにして、それも親友の故郷の人々が苦しんでいる姿を見て知らんふりは出来ないし……。だから、その話を聞いて、すぐにPOCKYにも電話したし、自分の故郷である鹿児島の関係者にも電話して「とにかく現場にいきたいんだけど」って話して、でも、僕が行ったからって何かが変わる訳じゃないし、かえって迷惑になるかもしれないし、結局すぐには来れなかったけれど、でもその時はもうそんな状態でしたね。
POCKY
それでも、8月には素晴らしいメッセージと、『STAY DREAM』という歌を贈っていただき、もの凄い反共がありました。そして、昨日は、長渕さんが、被災された農家にも訪問されているんですよね。
長渕
やっぱりその悲しみの渦中にいらっしゃるご家族のもとに出向いていくことが、本当にいいことなのかも自問自答したんだけれど、とにかく、頭で考えていないで行ってみようと思い、僕の訪問をこころよく引き受けてくださったご家族のもとに足を運びました。口蹄疫問題に関する様々な生の声をお聞きして、衝撃を受けたのはもちろんですが、中でも一番印象に残っているのは、どこの家畜農家の牛舎にも、一頭の牛もいないということでした。本当にね、理屈じゃない怖さや無念さや悲しさや苛立たしさ、そんなものを感じましたよ。それなのに、皮肉にも山の向こう側には、夕焼けが黄金色に輝いて沈んでいくんですよ。そんな夕日と共に、ご主人のやさしいまなざしや、こども達の無邪気な笑顔や声にふれた時に、「明日は来るんだよな〜、絶対に来るんだよな〜」って、心にかみしめながら、なんだかわからないけれど、僕のほうがたくさんの勇気をもらってしまったような気がしたんです。「俺もおちおちしてられないな〜、もっと頑張らなくちゃ」って、そんな気持ちになれたことに感謝をしています。
POCKY
宮崎もやっと復興・再生に向けてスタートしまして、今、本当に一丸となって頑張っているんですけれど、これからの宮崎が大切にしていかなければならないことって何だと思われますか?
長渕
そうね、かたちは違うかもしれないけれど、牛や豚といった生き物にせよ、友人や両親にせよ、それまで身近にあったものの突然の死を目の前にして、受け入れがたい、どうにもならない状態に陥ってしまった時、僕自身なにに救われたかといえば、やはり「人と触れ合うこと」で救われてきたと思うんです。だから、たくさんの人達と触れあってもらいたいな〜って!そうすれば、たくさん力をもらえるし……。聞くところによれば、町民の誰かが、明日もわからないっていう絶望の淵に立ったときにね、まったく知らない人が庭先を掃除してくれたというような話しもあるじゃないですか、もうその話しを聞いた時は涙がでる思いでした。人の温もりだとか、人間の愛おしさっていうのが、今、日本中で稀薄になっているじゃないですか?だから、生意気な言い方かもしれないですが、ぜひ、この町からね、日本全国に対して、復興や開拓魂、そして強い人間の絆を見せつけてやってほしいと思います。僕も微力ながら、なんらかの形で応援させていただきたいと思っているし、一緒に頑張りたいと思います。
エンディング
POCKY
ありがとうございました。ということで、貴重なお話をお聞きしましたが、残念ながらそろそろ時間になってしまいました。それでは戸高さん、最後にメッセージなどございませんか?
戸高
本当にいろいろ大変だったと思いますけれども、僕もみなさんから勇気をもらって、そしてこれからもみなさんといっしょに戦っていきたいと思います。今日はありがとうございました。
長渕
ちょっと秀樹にお願いがあるんだけどいい?
戸高
はい。
長渕
みんなに拳を見せてくれる?みなさん、彼はね、この拳で世界を取った男なんですよ。そしてこの男は宮崎から生まれたわけ!だから、今日の川南町の上に広がる青空に、世界の拳を突き上げて、みんなで「うぉーーー!」って叫びたいんだけど!どお?さあ、みんな、やろうよ!
戸高
それではみなさん、よろしいでしょうか?
POCKY
みなさん、その場で立ち上がってください。
戸高
「宮崎川南町ガンバローーーーーー!!オーーーーーー!頑張るぞ、オーーーーーー!頑張るぞ、オーーーーーー!」ありがとうございました。
長渕
じゃあね、気合いも入ったところで、せっかくだから二人の殴り合いみせるから!
戸高
長渕さんお願いします!
長渕
おお!
長渕・戸高 二人で
「うぉおぉおおーーー!えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい・・・・・・・・・・・・・・・よっしゃーーーーー!えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい・・・・・・・・・・・・・・・よっしゃーーーーー!」
榎木田
凄いです。本当にここでしか見られないパフォーマンスですね。
POCKY
みなさん、見ました?凄いパワーです。それでは、最後に長渕さんからもメッセージをお願いします。
長渕
今日みんなに会ったことで力を貰ったし、これからも頑張ろう...ってひと言しかないんだけど、希望を僕らで日本に飛ばそう。もうくよくよしても、しょうがないよ。やるしかない。俺今日歌いたいし、これだけ集まってくれたらやらないわけにいかないだろう?みんなで盛り上がろうぜ。…………おおって!みんなそれを期待してたんだろが(笑)。だったらやるしかないじゃない(笑)。そのかわり盛り上がろうぜ!Yeah————!
会場から剛コールが鳴り響き、弾き語りライブへ
長渕 剛 弾き語りライブ / SET LIST
1.巡恋歌
2.俺の太陽
3.とんぼ
4.愛してるのに
5.しあわせになろうよ
6.乾杯
7.STAY DREAM
8.TRY AGAIN
長渕 剛〜お知らせ〜
現在、『エクスペンダブルズ』日本版主題歌のシングル『絆‐KIZUNA‐』を発売中、2010年11月10日にニューアルバム『TRY AGAIN』を発売!
▲左:シングル『絆‐KIZUNA‐』 右:ニューアルバム『TRY AGAIN』
絆 -KIZUNA-
2010.10.13 発売!
品番:UPCH-80206
価格:1,200円(tax in)
【君のそばに・・・】(Countdown Live in KOBE 2009‐2010)
TRY AGAIN
2010.11.10 発売!
初回限定盤 【CD+DVD】
品番:UPCH-29058
価格:3,500円(tax in)
☆DVD
・絆 -KIZUNA- (Music Clip) ※ALTERNATE VERSION
・PHOTO SESSION with LESLIE KEE
通常盤 【CD】
品番:UPCH-20210
価格:¥3,000(tax in)
公式ホームページ:http://www.nagabuchi.or.jp