阿蘇手づくりハム「ひばり工房」&「ヒバリカフェ」
40年以上続く昔ながらの手づくり製法で世界一に輝いたソーセージやベーコンがイチオシの『ひばり工房』と、その製品を使用したホットドッグメニューがならぶ『ヒバリカフェ』☆
世界最大級の大規模なカルデラを誇る阿蘇山の雄大な景色が広がる阿蘇市。「阿蘇山中岳火口」「草千里ヶ浜」「大観峰」「内牧温泉」「阿蘇神社」などの有名観光スポットには、阿蘇の大自然の恵みをもとめ全国各地からたくさんの観光客が訪れます。そして有名観光スポットとは別に、初夏から秋にかけての「名水の郷・阿蘇」ならではの風景として印象的なのが、際限なく湧き上がる豊富な地下水でお米や野菜を育てる、広大な田園が遙か遠くまでつづく光景ではないでしょうか!
今回のレポートでは、そんな田園風景の中、阿蘇の大自然がもたらす恵みの湧水と厳選した上質な素材を使って昔ながらの技法で丁寧に造り上げ、2005年SUFFA(世界最高峰の国際食肉加工品コンテスト)で金賞を受賞したソーセージやベーコンがイチオシの『ひばり工房』と、そのソーセージとベーコンを使ったホットドッグメニューが並ぶカフェ『hotdog&drink・ヒバリカフェ』をご紹介します!
40年以上前に先代が立ち上げた『阿蘇手づくりハム・ひばり工房』の技法と味を引き継いだ2代目オーナー・池田智巳さん。「地元の若い世代にむけ、田舎暮らしに“あこがれ”がもてるような場所をつくり、そこから田舎の良さを伝えて行きたい」という願いを込めて、工房の敷地内に、阿蘇の山々や田園風景を眺めながら『ひばり工房』の手造りハムやソーセージを味わうことができる『ヒバリカフェ』を2010年春にオープン!また、工房とカフェの間には、田舎では“当たり前”の存在である農機具をはじめ、ドライブ&ツーリングファンの心をくすぐるような空間が広がる『ヒバリガレージ』を設け、『阿蘇の田舎だから体感できる空間』を演出しています。
レポートでは、『ひばり工房』『ヒバリカフェ』の店舗やメニューとあわせ、独創的な感性をもつ池田智巳オーナーのインタビューも掲載しています!
(レポート:中本望美)
阿蘇手造りハム ひばり工房
住所:熊本県阿蘇市一の宮町中通640-1
電話:0967-22-1894
FAX:0967-23-1058
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休
hotdog&drink ヒバリカフェ
住所/電話:ひばり工房と同じ
営業時間:11:00~17:00
定休日:火曜日(不定休)
道案内~『バス停』をモチーフにした立て看板がポイント!
国道57号線(熊本市方面→竹田市方面)から宮地駅前を曲がり、阿蘇神社方面へ進みます。
阿蘇神社前を右折し、まっすぐ道なりに行くと、奥が左側にカーブしており、左手に「水基めぐり」でおなじみの「一の宮商店街」へ入るゲートが見えます。商店街へ入らず、さらにそのまままっすぐ進み、しばらくすると広大な田園風景が目にとびこんできます。
バス停風のルートポイントがかわいい!
『バス停』風の看板には『道案内のポイント』が!ちなみに「現在地」が赤く表示されています☆
熊本市・内牧温泉方面からお越しの方はコチラ☆
熊本県立阿蘇中央高等学校・阿蘇清峰校舎近くの商店横の郵便ポストの隣りに「バス停風案内看板」がありますので、注意してごらんくださいね♪高校側から進むと左折になります。
周辺マップ
阿蘇手造りハム ひばり工房
2005年の食肉コンテスト最高峰『SUFFA(ズーファ)』で金賞・銅賞を受賞!素材を厳選し、40年以上変わらない昔ながらの技法で、手間ひまかけてつくられた『ひばり工房』の世界が認めた味は、まさに地域の宝!
40余年前に先代が旧阿蘇農業高校の食品加工助手としてハムを作ったことがきっかけで、その後本格的にハム造りを始めた『ひばり工房』。
「おいしさ」を追求して研究を重ねたハム・ソーセージは、旧阿蘇農業高校を通じて徐々に地元に浸透し、農作業時のお弁当等のおかずで使われる等から口込みが広がり、やがて阿蘇の名産として定着したのだとか。
2代目オーナー・池田智巳さんは、小さい頃から慣れ親しんだハムとソーセージを「自分の手で作ってみたい」との思いから、サラリーマンをやめてゼロの状態から作り方を学び、これまで地元に愛され続けた味を変える事無く、機械文明が発達した現代に於いても、ずっと手作業で商品を作り続けているのだそうです。
そんな中、先代が築き上げたソーセージがどれほど認められるのかを知りたいと思い、2005年にドイツで行われる食肉コンテストの最高峰である『SUFFA(ズーファ)』に出品。そのコンテストで、ひばり工房の基本である「ウインナーソーセージ」と「ベーコン」が初出品で満点の『金賞』、 「ロースハム」と「プレスハムビンテージ」が『銅賞』を受賞!長年守りつづけた味は、世界に認めらえる作品だったのです。
ちなみに『SUFFA(ズーファ)』は、200人以上の審査員が「味」「食感」「香り」「見た目」などの200項目で審査し、すべての項目で満点でなければ金賞をとることができないため、世界的に最も厳しいと言われるコンテストです。
『ひばり工房』おいしさのヒミツ・その1『厳選素材』
「一度食べたら、他のソーセージが食べられなくなる!」との声も多く寄せられ、遠方からわざわざ足を運んだり、ネットショップで購入するリピーターが多いひばり工房のハム・ソーセージ。そのおいしさのヒミツに迫ります☆
▲オーナー 池田智巳さん
まずは素材が上質でなければ、おいしさと安心安全の両方を兼ね備えた商品はうまれません。かなめとなる「肉」から「スパイス」の配合まで、どの素材においても妥協せずに研究されています。
阿蘇自然豚や九州で育った菌のない安全な上質の肉を使用
合い挽き肉は一切つかわず、有機資料で育った豚や阿蘇自然豚などの菌がいない安心な豚肉のみ使用。
阿蘇の湧き水
とどまることなく地下から湧き出る、ほどよいミネラルを含んだやわらかい天然水を使用。
オリジナルスパイス
肉を熟成させる最も重要な鍵になる塩は、沖縄の天然塩。味付けにはオリジナルブレンドしたスパイスを使用。
『ひばり工房』おいしさのヒミツ・その2『手間ひまかけた工程』
「効率よりも品質」。洗浄も、詰めこみもすべて手作業!さらに燻煙とボイルは別工程。「手間ひまをかけることが成熟したおいしさを生み出す重要なカギになる」と池田オーナー!
素材を洗浄、詰める作業を目で確認しながら手作業!
自分たちの目で確認しながら丁寧に作業するので、衛生的にも安全で安心な仕上がりになります!
「香り」にこだわり「燻煙」と「ボイル室」を別々に設けて作業する!
一般的に大量生産される場合は、作業工程の効率化のため、燻煙室とボイル室がおなじ空間の隣同士に設置される場合が多いのですが、その方法では湯気で香りが劣化してしまうため、思い通りの深い香りが浸透しないのだそうです。しかし、燻煙作業に時間をかけてじっくりと香り付けし、ボイル作業を別の部屋で行うことによって、一口噛むだけで全身に行き渡るような強い香りが定着し、味に深みが増すのだとか。
洗浄も、詰める作業も、燻煙とボイルを別作業にすることも、すべて手作業なので、労力と時間がかかり、生産量も限られる上に効率も良いとは言えません。しかし、そのような「手間ひまをかけることが成熟したおいしさを生み出す重要なカギになる」と語るオーナーの池田さん。
全ての作業が人の手によって行われるので完成するまでにかなりの時間を必要としますが、この方法を少しも変えることなく、40年以上守り続けてきたからこそ、地元を始め世界中で愛されるひばり工房のハム・ソーセージとなったのです!
ひばり工房・パワナビおすすめ商品♪
さまざまなラインナップの中から『SUFFA(ズーファ…食肉加工品の国際コンテスト)』で金賞を受賞したハム・ソーセージをはじめ、おススメ商品をピックアップしてご紹介します!
ウインナーソーセージ 320円
▲『SUFFA(ズーファ…食肉加工品の国際コンテスト)』で2005年金賞を受賞!パリッとした食感とジューシーさを保ちながら臭みが全くない感じられないのが魅力的!しかも食べた後の油キレが抜群で口の中がサラッとしています!
ベーコン(スライス300円/ブロック900円)
▲同じく『SUFFA』で2005年金賞を受賞した商品!まず封を開けたときにスモークの香りがたち、口の中に入れた時には全身に染み渡るような丸みのある強い香りが特徴。そのままでも良し、温めても良し、好みに合わせてスタイルが変えられるのもうれしいですね☆
ロースハム(スライス630円)
▲こちらも『SUFFA』で2005年銅賞の商品!桜の木のスモークをすみずみまでまんべんなく香り付けされ、口の中にいれると香りと共にほんのりととろけるようなやわらかい食感に驚かされます。まずは、何も付けずにそのまま食べてみて下さい☆
バジルウインナー420円
▲バジルの香りをいかしたノンスモークタイプのウインナー。パリっと軽い食感の外側と、上品な香りをまとったしっとり食感の内側とのコンビネーションが絶妙です。あっさりしているので生野菜と合わせて豪華なサラダにしてもいいかもしれません♪
スモークソーセージ740円
▲豚のモモ肉のたんぱくな味に、甘みのある脂身をかけあわせてジューシーさをプラス。丁寧にスモークして深みと重厚さを調和させた自慢の逸品。ボリュームのある大きさですが、一口ずつ丁寧に食べたくなりますよ☆
その他の人気商品♪
▲あか牛ジャーキー420円(左)
熊本県の特産であるあか牛のスパーシーなジャーキー。肉のやわらかさにびっくりします!
▲サラミ350円(右)
噛み締めると肉の旨味とキレの良い脂がゆっくりと広がります。ビールのお供に、ピザなどの具に最適です!
▲パプリカソーセージ420円(左)
パプリカの赤と緑色がアクセントになった、さっぱり感のあるハム。サッと炒めて食べるのがおススメ!
▲ペッパーソーセージ420円(右)
ブラックペッパーの香りを伴った辛みが肉本来の旨味を引き立てている飽きのこない味。ビールや焼酎、軽めのワインにも合わせるといいかもしれません☆
▲規格外(内容量により金額が変わります)(左)
商品をパッケージングする際にどうしても出てしまう「ミミ」の部分や、形が不揃いのウインナーなどを一同に集めた商品の集合体!見た目は整っていませんが、味は間違いなく一級品。実は商品の中で一番贅沢なパックです!
▲生ハム・季節限定(右)
工房の販売スペースに行くと、天井から何本も下げられている熟成中の生ハムに目が釘付けに!カビが隙間無く表面を覆って中身を無菌状態にコーティングし、そのままが消えてしまうまで何もせずじっくり熟成させるという、自然の摂理をうまく利用した製造方法なのだとか。期間限定で人気商品なので、陳列されていないことがあります。一度お問い合わせくださいね☆
また、地方発送も可能!しかし、上記に述べた通り、ずべて手作業で製造している為、生産量に限りがあるとの事。ご希望の方はぜひお早めにお問い合わせ下さい☆
ひばり工房お問い合わせ
電話:0967-22-1894
FAX:0967-23-1058
hotdog&drink ヒバリカフェ
『ひばり工房』の絶品手づくりソーセージやベーコンを使ったオリジナルホットドッグメニューが豊富!
『ひばり工房』のハムやソーセージを求めて来られた方が、広大な大自然と田舎の田園風景をながめながらゆっくり疲れを癒す事ができるスペースを設けたいと、2010年春にオープンした『hotdog&drink ヒバリカフェ』。上記ご紹介した『ひばり工房』のソーセージ、ベーコンを中心にバラエティ溢れるホットドッグメニューが豊富に揃っています。
店舗紹介
阿蘇市の大自然だけでなく、工房からカフェ入り口までは色とりどりの花達が出迎えてくれ、カフェに近づくにつれてワクワク感が増してきます。
▲入り口前には店内にある薪ストーブ用の薪がディスプレイ
ホワイトとブラウンの明るく落ち着いたコントラストが印象的な店内。大きなガラス窓で囲まれており、外の光とグリーンの色合いが店内に降り注いでいます。
一番奥のカウンター席の目の前には、まるでガラス窓そのものが、阿蘇山を背景にした一枚の大きな田園風景絵画のように写るのが特徴。店内でも一番の特等席と呼べるでしょう!なんといっても、四季折々の景色の移り変わりともに店内の表情が変化するのが素敵です。
▲オーナーの奥様でスタッフの池田志保さんが趣味で集めた個性的な文具。
▲男性にも居心地よく過ごしてほしいというオーナーの心配りで、本棚には男性向けの雑誌が置かれています。女性好みのかわいらしい雰囲気に『男』を感じさせるスパイスを振りかけて空間を引き締めているような感覚です☆
▲レトロな薪ストーブ。冬には火が入り、店内をほんわりと暖めてくれます。
ステンドグラスアーティスト『hana』さんの作品
ステンドグラスとワイヤーを駆使したレトロな雰囲気のアクセサリーや小物雑貨がとってもかわいらしい♪店内のあちらこちらにもディスプレイされていますよ☆
カフェメニュー紹介~紹介・池田志保さん~
『ひばり工房』の絶品ソーセージやベーコンを使ったホットドッグメニューの他に、「安全安心」をコンセプトにさまざまな地域からドリンクをセレクト!もちろん子ども向けの無添加ジュースもあるので、小さな子ども連れの家族やママグループからも人気を集めています☆
▲池田志保さん手作りのメニューカバー♪
パワナビ「イチオシ」メニュー!
ヒバリドッグ480円
『SUFFA』で金賞を受賞したソーセージをはさみ、「肥後あか牛」と新鮮な野菜、「阿蘇ものがたり」という熊本産のトマトで手作りされている無添加ケ チャップなどを使った自家製ミートソースをたっぷりかけた、ごちそうドッグ!濃すぎないやわらかな風味のミートソースがソーセージにベストマッチ☆豪快に大きな口を開けて食べて下さい♪
ベーコンドッグ400円
トマトケチャップとマスタードのポップなデザインが見た目にも楽しいホットドッグ☆同年に『SUFFA』で金賞を受賞したベーコンをカットして軽く炒め、野菜と一緒に挟んだ自慢ドッグは満足度120%!ベーコンの隅々まで浸透したスモー クの香りがパンにも野菜にもしみ込んで、一口だけで体の中にスモークの香りが充満するような感覚。脂がさらっとしてベタつきが無いので、ベーコンが苦手という方でもきっとハマりますよ☆ぜひ試してみてください♪
バジルドッグ400円
バジルの香りを丁寧に馴染ませたノンスモークタイプのウインナーと野菜を挟んだ、フレッシュ感たっぷりの爽やかドッグ♪ケチャップとマスタードのデザインだけでなく、トマトにもマヨネーズで細いラインが施されているので、ますます女心をくすぐります♪
コーヒー500円(ホットドッグメニューとセットで100円引き
コーヒーではめずらしい「フレンチプレス式」スタイルが、カフェ気分をますます高揚させてくれます!豆はがお湯に触れている時間が長いので、旨味と油脂分がじっくりとにじみ出すからいっそう香りが高くてマイルドなのどごしになるのです♪コーヒーエキスがお湯にじんわりと広がる様子が見られるのも楽しみの1つ☆
ナガタ紅茶500円(ホットドッグメニューとセットで100円引き)
地元の『長田製茶』が阿蘇で摘み取られた茶葉で謹製したオリジナル紅茶。阿蘇の透明度の高い天然水が色を濁さ無いので、混ざり気の無い高純度の紅色がうっとりするような美しさです。ほどよい渋みと後に残る甘みの余韻に浸りながら体も心もリラックスしてください☆
池田志保さんのお話
「ここの食事メニューはホットドッグしかありませんが、そのひとつひとつが『主役』となれる様に、ホットドッグの形や味のバリエーションだけでなく、ドリンクも全国に目を向けて、生産者が丹誠込めて造っている安全で安心なめずらしいものをセレクトし、メニューを選ぶ楽しさも交えつつゆっくり味わいながら日常を忘れられるカフェにしたいと思っています。自分も調理しながら、ソーセージやベーコンのスモークが香り立つ時間が何より大好きなので、その香りと味が、ここに足を運んで頂いた方の思い出を少しでも印象深いものにできたらいいなと思います」
▲プライベートでも制作する「けしごむハンコ」で仕上げたオリジナルのスプーン/フォークレスト
『ヒバリカフェ』では、カフェポイントカードを作成しており、ポイントがたまると、本人やお子様の名前などの「オリジナルけしごむハンコ」をプレゼントすることもあるのだとか!興味のある方は、ぜひお店でお尋ね下さいね♪
オリジナルギャラリー~ヒバリガレージ~
以前プロのレーサーとしても活動していた池田オーナーが、個人のバイクや車を展示することで、「阿蘇へドライブやツーリングに来た男性グループでも気軽に立ち寄り、バイクや車の話題を通じ、道中の話に花を咲かせられるようなスペースにしたい」という思いから徐々に大きくなったヒバリガレージ。「オーナーの趣味」とひと言では表現できないほど、さまざまなアイテムが展示されています。
このギャラリーは、昔ながらの農家には必ずあった「納屋」をそのままいかし、田舎ならではのお洒落を演出した空間なのですが、そこに身を置くことで、少しでも多くの方々が「故郷をなつかしむ気持」を思いおこしてもらいたいというオーナーの願いも込められています。
▲中にはオリジナルTシャツの販売も!
▲愛鶏のゲージはオーナーの手作り!テーマは「もし米軍基地で鶏が養われていたら……」なのだそう☆
インタビュー~オーナー・池田智巳さんのお話
この地に根を張り、そして『手造りの信念』を貫き、この場所が『田舎のよさ』を広める発信源となるよう努力しています!
ひばり工房について
Q:ひばり工房が始まったのはいつですか。
「40余年前に先代が旧阿蘇農業高校の食品加工助手としてハムを実習で造ったことが始まりです。自分の代になり、昔の手法をいかしつつ美味しさを追求するために新たに工房をつくり、試行錯誤を繰り返した結果、今の味が生まれました」
Q:ひばり工房という名前の由来は?
「先代が工房を立ち上げた当時、地元婦人方が地どれの大豆の味噌やジャムの作りに集まっていたのですが、その時の女性のおしゃべりが絶える事無くにぎやかに続いている様子が『まるでひばりが鳴いているようだ』と感じたようで、『にぎやかに作業する場所』という意味を込めて名付けたそうです」
Q:2代目を引き継いだのはいつですか。また、それまでは何をされていたのですか。
「18年ほど前ですね。それまでは『半導体』の機械の研究・製造していました」
Q:サラリーマンをやめて、どんな思いで2代目を引き継がれたのですか。
「小さい頃から父の作業をそばで見ていたし、私自信が『おいしい』と確信しているハムとソーセージだったので、その味をもっと多くの人に知ってほしいという思いがあり、サラリーマンをやめ『ひばり工房』を引き継ぎました。もちろん、父の作業は見ていましたが、仕事としてハム・ソーセージづくりの経験などありませんでした。ゼロからのスタートではじめは大変でしたが、もともと私もモノづくりが大好きなので、自分の手で人に認めてもらえる魂を込めた作品を造り上げてみたいという意欲もあったので、どうにかここまでたどりつきました!」
Q:造る上で心がけている事は?
「昔ながらの手作業という作業工程を貫き、先代の味を守るということです。現代の機械技術の発展により主流になった大量生産方法を使えば効率はあがるでしょうが、それではこの味は到底生み出せません。手作業で洗浄すれば、細かいゴミや汚れを見つけられるし、燻煙に時間をかければ塊肉の中まで香りが染み渡る。そこでボイル作業も行えば手間が省けるのでしょうが、湯気でスモークの香りが劣化するので、ボイルは別室で行う。このようなひとつひとつの作業工程を『あるべき姿で丁寧に行う事』がひばり工房の信念ですね。その作業を行って造られた先代の味は、ハム・ソーセージの真骨頂とも言えるので、私たちはその味を守り続けています」
Q:どんなことに苦労しますか。
「人工的な機械の中ではなく自然界で作業しているので、やはり温度や湿度、季節、気候という自然の摂理によって味や仕上がりが変わる事です。しかし、私たちが思い画く味を完成させなければならないので、その時によって少しずつ調節することに細心の注意をはらっています」
Q:どのようなきっかけで新しい商品が生み出れるのですか。
「例えば、お客様からのリクエストがあった場合、その商品と私たちの信念が合致すれば、何度も何度も試作を繰り返して自分たちが納得するものに仕上げ、商品化することもあります。他にはスパイスや自分の思考に響く素材との出会いだったりしますね。ここの辛いソーセージには『サドンデスソース』という世界一辛いハバネロソースなのですが、辛い中に旨味があるんですよ。無理に考案しているのではなく、自然な巡り合わせを大切にしています」
Q:これから新しい展開はありますか。
「やりたい事はありますが、基本的にはこれからも受け継いだ手造りの技術と味を変える事無く守る事です。すべて手造りなので、多量に生産出来ない為、注文を受けてお待たせする事もあるかもしれませんが、それでも、しっかり手間と時間をかけて1品1品を丁寧に作り上げて行くことです」
hotdog&drink ヒバリカフェについて
Q:ヒバリカフェについてお聞きします。なぜカフェをオープンすることになったのですか。
「ここへわざわざ買い物に足を運んでくれた方が『買って終わり』ではなく、阿蘇山をバックにした田園風景をながめて、この地に流れるゆったりした時間を体感しながら、日常の生活を忘れさせてくれる場所を造りたかったんです」
Q:店内の家具だけでなく、ディスプレイにも心配りが感じられました!
「居心地の良さに『ささやかなオシャレ感』をプラスする事で、その空間が現実離れした時間を造りあげてくれるので、『目線の先にあるもの』には気を配っています。たとえば、ふと目を落とした所に、かわいらしいインテリアとお花、外を見上げると、軒下の『ヒバリカフェ』というロゴなど……。店内を見渡した時の落ち着きのあるコントラストもそうですが、この空間に訪れた方が、日常生活に楽しみをプラスするヒントを得たり、カフェを営む方にとってひらめきを促すポイントだったり、『この手があったか!』という驚きを与える存在でもありたいですから。少し女性的な雰囲気なので、逆に居心地悪く感じる男性グループは、工房横の『ヒバリガレージ』で食べて頂けるようにしています」
Q:女性的な『ヒバリカフェ』と比べ、『ヒバリガレージ』は完全に男の空間のように思えるのですが?
「このスペースはもともと朽ち果てた農家の納屋でした……。田舎では何のめずらしさもない納屋ですが、土地の確保が難しい都会からすれば『農家だからこそ持つことができる納屋』ということが考えられます。そこで視点を変えて、田舎の農家のよさをアピールする場所になるのではと思い、みなさんに利用していただける空間にしました。ガレージのイメージとしては、カワイイやお洒落などを感じさせる女性的な『ヒバリカフェ』とは相反するものを隣同士に並べたいと考えました。ガレージはご覧のとおり『当たり前』を活かした『異空間』とでもいいましょうか……。無骨な農機具がオシャレなものに見えるように工夫したり、バイク乗りのあこがれである『阿蘇』という地域で、ライダーが好むようなギャラリー的要素を取り込んだり、『現実離れした特別感』を演出する事で、田舎暮らしに興味を持ってもらえたらいいな〜と……。まあ何より、そんな空間を造る事を私たち自身が楽しんでいますから、それが一番大切だと思っています(笑)。そんな遊び心を、お客様に肌で感じてもらえたら嬉しいです」
Q:居心地のよさに、ゆっくりと腰を下ろして長時間過ごす方が多いでしょうね!
「そうですね。ランチから閉店までいらっしゃる方も多いですよ(笑)。以前、工房しかなかった頃は、例えば初めて足をはこばれたお客様との距離間にとまどったりもしまいたが、カフェやガレージができてからは、お客様と顔を付き合わせて話せる場所ができ、人とのつながりが強いものになったのを実感しています。今は、この場所を拠点に人との輪が広がり、いろいろなものがつながっている事が大きな財産になっています。あとは、この町を出て都会で暮らしている若者達が、居心地がいいからと、帰省のたびに立ち寄ってくれることです!」
Q:これからの目標があれば教えて下さい。
「たくさんありすぎるので……。とにかく『やるべきこと』と『やってみたいこと』を混同せずに、ムリをしないで進んで行きたいですね……。この『ひばり工房』にあるハムやソーセージを中心に積み重ねて来たものを原点として、少し視点を変えて身近にあるものをアレンジして表現することで、『魅せる農家』という存在になり、自分たちが見飽きた田園景色でも、外から訪れた人だけでなく、地元の人たちが『田舎って楽しい所なんだ』と思ってもらえる様な、田舎の良さを発信していける場所に磨きをかけたいと思っています」
お忙しい中、長時間ありがとうございました。