『オオスリバチ珊瑚』海中散歩
延岡を代表する「日本一のオオスリバチサンゴ」や1年中熱帯性の魚が見られ、さらにウミガメやマンボウなどにも遭遇できるダイビングポイントで海中散歩☆
松田と甲斐は、過去に2度、地元ダイビングショップ「延岡マリンサービス」のご協力を頂いてダイビングを経験させて頂いて、延岡の海中の素晴らしさをお伝えして来ました。しかし、普段、地上では自分たちで伝えたい景色などの写真を撮りレポートしているのにも関わらず、水中では提供して頂いた写真でしか皆さんに伝える事が出来ませんでした。そんな事から、「ぜひ水中写真も自分たちの手で!」という気持ちが沸々と湧いて来たのです。1度目はただ水中世界へ足を踏み入れただけで目の前の物しか見えない状態、2度目で少しだけ周りの景色も見られるようになり、今回の3度目では「写真も撮れるだろう」と密かな期待をしていたのですが、実際には自分の体勢を保持する事も出来ず、スタッフの皆さんに支えられなければ写真はおろかその場にとどまる事すら出来ないありさま。延岡マリンHPにあるような海中写真など到底撮る事も出来ず改めてスタッフの皆さんの凄さに驚く事になったのでした。しかしながら体さえ支えて頂ければシャッターは押せるので、なんとか普段地上で撮影している経験を元に甲斐と、藤木が水中写真に挑戦してまいりました。
今回の撮影ポイントは島野浦島の海に群生す「日本一のオオスリバチサンゴ」です。このポイントではオオスリバチサンゴの他にもミドリイシ系のテーブルサンゴや色とりどりのソフトコーラルがたくさん群生し、1年中熱帯性の魚が見られ、シーズンさえ合えば、ウミガメやマンボウなどにも遭遇できる延岡を代表するダイビングポイントなのです。それでは、早速皆さんを延岡の海中世界へご案内致します。
※レポート中の写真は特に明記のない限り、地上は松田、甲斐が撮影甲斐、藤木の写真集以外の水中写真は、延岡マリンサービスの高橋勝栄さんによる撮影です。また、動画も高橋勝栄さんに撮影して頂きました。※尚、今回のダイビングポイントは撮影の為に特別に潜らせて頂いています。通常の体験ダイビングでは潜らないポイントとなっております。通常の体験ダイビングでは「天神」というポイントとなります。
(レポート:松田秀人、甲斐英利、藤木哲朗)
協力:延岡マリンサービス
住所:宮崎県延岡市川島町3357-1
電話:0982-36-0852
FAX:0982-23-4123
営業時間:9:30~20:00
定休日:年中無休
周辺マップ
レクチャーからポイントに向けての出発まで。
延岡の海中世界初体験の藤木の感想を元に1日を振り返ります!
まずはダイビングと水中写真のレクチャー
朝9時前、延岡マリンサービスに到着。今日は、朝からニヤケっぱなし。高千穂という山に囲まれた地域で暮らしてきたので、子どもの頃から海には、どうしようもないほどの憧れを抱いています。なので、海を見るとはしゃぎます。しかも今日は、スキューバダイビングをするということなので、大はしゃぎです。
世界一大きいかもしれないという「日本一のオオスリバチサンゴ群生」のことは、勝栄さんから聴いていましたし、水中カメラでの撮影も初めてなので、海中という非日常の世界への期待と好奇心に胸が躍ります。
▲まずは高橋勝栄さんからダイビングのためのレクチャーを受ける甲斐と藤木。
▲水中カメラの使用方法のレクチャーも受けます。
▲こちらが今回二人が使用する水中カメラ。レンズは広角写真が必要ない場合は取り外せるようになっています。
▲こちらは勝栄さんが使用するビデオカメラとハウジングというカメラを水中で使用できるようにする器材です。
▲視力の悪い甲斐は度付きの水中メガネをレンタル。度付きの水中メガネも常備されているのが驚きです!
ウツボが怖かったのですが、絶対に襲わないと言うことなので、一安心。ちなみに、サメも大丈夫ということなので、もう怖いものはありません。水中カメラの使い方も覚えました。たぶん、大丈夫なはず!
浦城に到着
途中、お弁当を買って、港までは車で10分とすぐです。パパさんこと高橋良治さんが、ダイビング専用設計のルンバルンバII号を運転して着岸します。青空と風を感じて、美しい海岸線と、大海原を眺めながら海の男を気取っていると、あっという間にダイビングポイントに到着しました。本当に、近くてびっくりです。
▲甲斐が被っているのは頭皮からの熱を逃がさない為のフード。これだけで水中での体温低下をかなり防いでくれるそうです。
ポイント付近へ到着
▲スーツに着替える甲斐と藤木。今回一緒にダイビングする事になったリョウコさんも文字通り「着せられて」います(笑)
ポイントが近づき、甲板でドライスーツに着替えます。水が入らず海中でも身体が冷えないとのこと。初めて着るものなので、きつくて少しとまどいます。身体の自由が制限されます。まるで、宇宙服を着ているようです(着たことはありませんが…)。命に関わることなので、僕の補助をしてくれている、マリンスタッフのヨッシーさんの言うことを良く聴きます。
▲船上からもオオスリバチサンゴを確認できるほど透明度が高い!
▲ふざけている訳ではなく背中の防水ファスナーを閉めてもらっている。
▲準備が整いいよいよ潜行開始!
船から海に入る瞬間が、一番緊張しました。海の中では、水中眼鏡のおかげでとてもクリアに見渡せます。今日は、天気もよく波も穏やかで、透明度も高いとのこと。本当に、海の中がはっきりと見えます。ヨッシーさんが美しい場所へ案内してくれます。大きな薔薇の花を広げたようなオオスリバチサンゴの周りを小魚が泳いでいます。オレンジ色のイソギンチャクや、針の長いウニがいます。クラゲもフワフワ浮かんでいます。未知との遭遇。不思議な光景です。どれも美しいです。
これが日本一のオオスリバチサンゴ!
▲群生の一部。人の大きさと比べると、その大きさが解って頂けると思います。
▲サンゴの周りには色とりどりの魚が泳いでいます。
甲斐・藤木の写真対決?
▲青スーツが藤木。
▲黒スーツが甲斐。
▲スタッフさんに支えられ必死に撮影中の甲斐と藤木。
写真は撮れているのか撮れていないのか分かりませんし、魚の泳ぎが速くて捉えきれません。なかなか思い通りにならずに、ファインダーをずっと見ていたのですが、ヨッシーさんに、促されて顔をあげると、そこにはカラフルな木の葉が舞うように、色とりどりの魚が泳いでいました。特にキレイなのは、青色の魚。熱帯魚かな?見とれてしまいます。
そんな中、一番興奮したのは、イセエビを発見したこと。キャタピラのような動きで結構、素早いです。写真は撮りましたが、捕まえようかと一瞬迷いました。後で聞いたら、イセエビは捕まえたら駄目だそうです。密漁になります。あのとき、捕食者の目となったので、イセエビも慌てていたのかもしれません。
美しい海の中で太陽の光を感じることもできます。写真は光を捉えることなのですが、それは海の中でも同じ。光が入ることで、風景が一変します。今日は、本当に良い日です。みんなから、運が良いと褒められました。
撮影結果☆
藤木写真集
▲中央に伊勢海老が!
甲斐写真集
▲オオスリバチサンゴの合間にちっちゃいエビ発見!
いかがでしょう?対決として成り立つ程のクオリティにはほど遠い二人の写真…。綺麗な魚を見つけても自分では近づけず、目前にいてもピントを旨くあわせられない、写したと思えば手ぶれ!100枚以上の写真を撮り無理矢理10枚選ぶのがやっとでした(笑)水中写真の難しさと、奥の深さを身を以て感じました。まずは自分の体をコントロールする技術を身につける事が先決のようです…。
海中から浮上!
▲甲斐が捉えた浮上中の藤木。
▲船から海中へハシゴを降ろせるため海中から船へ戻るのもラクチン!ダイビング専用設計ボートならではの装備です。
結局、四十分以上、海中にいたそうです。そんなに長くいたつもりはなかったので、とても驚きました。海水温が16℃だったそうですが、冬の海に入っている意識も全くありませんでしたし、冷たくもありませんでした。ファインダーを覗いている時間が長かったので、多少、波酔いしました。甲板の上で温かい格好に着替えて、お茶を飲んだら落ち着きました。 パパさんが、色々とお話しをしてくれましたが、昔はオオスリバチサンゴの周辺にはテーブルサンゴをはじめ、たくさんのサンゴが広がっていたそうです。それが人為的なことを含む様々な要因が絡んで、今ではほとんどのサンゴが死滅し、オオスリバチサンゴだけが生き残ったそうです。これが、陸地であったならば、貴重な動植物を残す運動も広がったのかもしれませんが、海中のことだけに誰もそのことに気づかず、また、その価値を見出すことができなかったのは、とても残念なことです。
ですが、今あるオオスリバチサンゴや、他のポイントのテーブルサンゴに対しては今からでもできることがあります。日本の場合、サンゴの生息環境は、日光が届く水深15m前後とのこと。即ち、陸地のすぐそばだということです。私たちの暮らしが影響を与えているということです。個人の活動だけではなく、延岡市、宮崎県を挙げて、積極的にこの貴重な海の自然環境を守ることに取り組む必要があるのではないでしょうか?
パワナビ・松田もオオスリバチサンゴへ
▲甲斐と藤木の写真対決の後、松田もオオスリバチサンゴの元へ。延岡の海を語るにはオオスリバチサンゴを自分の目でみておかなければ!
延岡マリンサービス・高橋勝栄さんの活躍
▲水中ではまるでスーパーマン!!水中カメラと水中ビデオカメラを両手に自由自在に水中を移動・静止する姿は、まさに海人!松田がダイビングを楽しんでいる合間に船底掃除までしていました!
島野浦島周辺をクルージング!
帰路、港へ向かう前に、島浦島の千眼目や、パノラマ状に広がる大岩壁を眺めることができました。若い頃、ニュージーランドを旅したときに見た大自然を思い出しました。僕の暮らしている町のすぐ近くに、こんなに素晴らしい風景が広がっていたのですね。海から延岡を眺めると、山々が連なりとても美しいです。街のなかにいただけでは分からないことですが、きっと、物事を考える視点やスケールが変わることだと思います。特に子どもたちには見せて、体感させておきたい風景です。きっと、郷土を誇ることだと思いますよ。延岡に何がある?と訊ねられたら、「美しい海があるよ!」、きっとそう答えるだろうと思います。
今日は、そんなことに気がつけたとても素晴らしい日です。延岡の海と、延岡マリンのスタッフの皆さんに感謝です!ありがとうございました。
▲ダイナミックな景色の続く島野浦周辺。地層で地殻活動の様子が伺えます。
▲海上に出来たアーチをボートですり抜けます。まさに自然が作り出した芸術です。
▲千眼目
▲勝栄さんが水中調査の為海中へ。勝栄さん と比べると景色の雄大さが解りますね!
浦城へ帰港途中の風景☆
帰港する間も素晴らしい景色が次々と目に飛び込んできます。延岡マリンサービスではクルージングツアーも行っている</a>そうなのでぜひ皆さん海側からの景色を見てみて下さい!自分たちの住んでいる場所の素晴らしさを再確認できると思います!
浦城に到着!
▲お世話になった撮影器材と、水中での呼吸を可能にしてくれるタンク。
▲お世話になったスタッフさんと記念撮影。左からヨッシーさん、まゆみさん、勝栄さん。
▲ヤスさんパパさんと一緒にはボートをマリーナへ。
延岡の海中世界はいかがでしたか?写真対決といいつつ、対決になるほどのクオリティにはほど遠い二人の写真でしたが延岡の海の素晴らしさは伝わったのではないでしょうか?
最後になりましたが、スキューバダイビングと言えば夏に行うマリンスポーツという考えが一般的だとは思うのですが、1年の中でもこの時期は透明度も約15m〜18mと非常に高く、水温も16℃程と想像より高いので実は絶好のダイビングシーズンなのだそうです。延岡マリンサービスではジャージや薄手の防寒着などを着たまま着用できる「ドライスーツ」を準備しているので、寒いこの時期でも多くの方が気軽に海中世界を体験できるのです!このドライスーツはウェットスーツと違い体型に合わなければ手首や首元から海水が浸入してしまうので、より多くのお客さんに対応するためには様々なサイズを揃えなければならず、数が多くなればその分メンテナンスなども大変になります。そんな事から日本全国的に見ても豊富にドライスーツを揃えているところは無いそうですよ。地元にこれほど素晴らしい海中世界と素晴らしいサービスが調っているのはまさに奇跡!皆さんもぜひ海中世界を体験してみて下さい。