旬房 霧子乃里 (きりこのさと)
田園風景と霧子山を眺めながら古民家の空間でくつろぎ、アトリエで芸術空間に浸りながら、昔懐かしい田舎料理を!
さて、今回ご紹介するお店は、延岡市は北方町の大自然の中の広大な田園風景の中にたたずむ、夏の厳しい熱さをやわらげてくれる避暑地の隠れ家的なお食事処、『旬房 霧子乃里』です。
2010年3月228日オープンしたばかりのこちらのお店では、自家菜園で獲れたものや、地元の方が育てた新鮮な野菜、その時期の旬な食材で作られた、昔懐かしいお煮しめ等の田舎料理、女将さん自慢の創作料理を頂くことができます。また店舗の2階には『ゆめ工房 霧子の里』というアトリエがあり、たくさんの絵画が飾られているだけでなく、実際に制作風景を見学することもできます。
(レポート:中本望美)
旬房 霧子乃里 (きりこのさと)
住所:延岡市北方町曽木字畦地子1517-4
電話:0982-27-1049
営業時間:
ランチ 11:00~15:00(予約制)
ディナー 18:00~22:00(予約制)
店休日:毎週水曜日・木曜日
URL: http://www.geocities.jp/mkmh3915/index.html
道案内
はじめての方には若干わかりにくい部分があるので、北方延岡道路をおりた辺りから店舗までの道のりを画像で詳しくご紹介いたします。
▲北方延岡道路をおりたら左折します(国道218号方面ではなく)
▲はじめのT字路を右折、さらにすぐのT字路を曽木方面に右折します
▲二股を左方向にに進み橋を渡ります
▲橋を渡ると目の前に田園風景が広がります。一本道の突き当たりを右折し、しばらく行く店舗ののぼりが見えます
周辺マップ
店舗紹介
古民家風に作り上げられた店内は、もともと店主の甲斐ひろ子さんのご主人であり現在は画家として活動されている甲斐 眞さんのアトリエとして使われていた家を増築・改装し、お客様がゆったりとした癒しの時間を過ごせるようにと、田園風景が見渡せる大きな窓を設置したり、アンティーク雑貨や女将さんのお母様の形見だという、今では貴重となった古風なミシンなどが飾られ、独特の田舎空間を演出しています(個室カウンター席もあります)。現在も店舗の2階部分がそのままアトリエとして使われており、お料理の準備が整う間など、制作風景を見学される方も多いそうです(アトリエは下記で詳しくご紹介します)。
扉を開いて、靴を脱いで上がると、玄関横には、お土産として人気の手作りの山菜おこわ・お寿司(各300円)、さらにキャンディーやご主人が石に描かれた絵などが並んでいます。
めんぱランチ 1,300円(月替わり)
(基本的に月替わりですが、その日の収穫や素材で内容が変わることがあります)
「めんぱ」という竹の素材で特別に作っていただいたという器に、お料理が上品に詰められたその姿がとても品のよい上質なお膳のようで、そのめずらしさとおいしさが、口コミでうわさが広まり、特別な告知をすることなく、お昼は満席状態という人気ぶりだそうです。
席に座ると、お料理が「めんぱ」で運ばれてきます。このめんぱの蓋を開ける瞬間、「どんなお料理なんだろう??♪」とわくわくします。
山菜おこわ
▲まずは、自家製のお米で作られた、女将さん自慢の「山菜おこわ」。野菜などの具がたっぷり入り、もち米が艶々していて食べ応えのあるおこわです。
お煮しめ
▲田舎料理のメインと言っても過言ではない「お煮しめ」。おかみさんのおばあ様がよく作ってくれたという、女将さん自身も家族を感じるなつかしいお料理。丁寧に味付けされたお煮しめは、1つ1つの素材のうまみが感じられ、素朴でなつかしい味わい。一見、お料理としては簡単そうに見えるお煮しめですが、素材の味やおいしさを損なわない味付けはとても難しく、しかも一度に多量を作る為、とても神経をつかうのだそうです。
人参コロッケ
▲人参の甘みがやさしい「人参コロッケ」。もちろん、人参も、ジャガイモも自家菜園でとれたもの。衣は、今が旬の素材と言える「そうめん」を細かく砕いたもの。パリパリとした食感と、ふんわりしたコロッケのやわらかい食感が楽しめます。もちろんソースも手作りで、小さい頃に母が作ってくれたような、なつかしさを感じました。
かぼちゃスープ
▲ご近所の方が「りっぱなかぼちゃが出来たから」と、おすそ分けしてくれたモノを使った「かぼちゃのスープ」。色も濃く、かぼちゃの栄養がぎゅ–ッと詰まったスープです。このように、地域の方が「地元を盛り上げる為にも!」と笑顔で快く協力してくれるのだとか。
揚げ鶏の薬味ソースかけ
▲さっぱりとした甘酢に、夏の疲れを癒してくれる薬味がたっぷり使われたソースが掛けられたお料理。ジューシーな鶏肉と、シャキシャキしたパプリカ・ピーマンがマッチしています。
おくらのご汁
▲「ご汁」をご存じない方、とくに若い世代では、知らない方が多いのでは……?ご汁の「ご=呉」は、水に浸した大豆をすりつぶたもので、それをお味噌汁に入れたものが「呉汁ごじる」といいます。つまり、お味噌の大豆だけでなく、大豆そのものをお汁にいれ、たんぱく質などの栄養がたっぷり詰まった贅沢なお汁なんです。おくらとの相性も抜群で、この一杯でお腹が満たされますよ♪ ちなみに、この「呉」も、お味噌も、おかみさんの手作りです!スゴイ☆
手作りデザートと食後の飲み物
▲最後は「食後のデザート&お飲み物」。この日は、女将さんの娘さんである江里奈さんによる「手作りチーズケーキ」と、有機栽培されたコーヒー豆で入れた「有機コーヒー」。素朴な田舎料理と対照的に感じる、チーズの風味がしっかりとしたケーキですが、後味はとてもさっぱりとしています。薫り高いコーヒーと共に、やさしい食事の時間に、落ち着いた満足感をプラスし、現実離れしたような気分をまとめてくれます。
自家製お漬物
▲自家製のお漬け物になる材料はもちろん地元でとれたの野菜。季節ごとに変わります。
野菜がたっぷりで種類が豊富☆
「野菜のテリーヌ」「鶏ときゅうりの和え物」「ふきの煮物」など、どれもが野菜をふんだんに使ったお料理ばかりでとってもヘルシーな上に、おなかもしっかりと満足です。
焼物の器は全て女将さんの手作り☆
▲今までご紹介したお料理をさらにステキに演出していた器やお湯のみ、急須などの焼物。
これは全て女将さんの手作りなんです!お店を出そうと決めたときに、器をいろいろと見て回ったのだそうですが、あまり気に入ったものやピンとくるものが無かったので、大きさ・色・形を一つ一つ変えて、自分のイメージに合ったものを作り、今でもちょっとずつ増やしているのだそうです。
旬房 霧子乃里 (きりこのさと)からのメッセージ
▲店主女将・甲斐ひろ子さん(左) 小田江里奈さん(右)
店主女将・甲斐ひろ子さん
「元々、もの造りやお料理が得意だったので、延岡市で幼稚園の先生として40年務めている間より、退職後はこのようなお店を出したいと夢を描いていました。色んなお食事どころをたべ歩き、お店の構想を練って、お料理も自分流にアレンジを加えながら、メニュー構成をし、2010年3月28日にようやくオープンさせることができました。北方町に嫁いでから、地域の方と交流する機会に、お料理の仕方や、野菜、お米の作り方を学び、お互いが助け合いながら生活するという輪が、私を育ててくれました。現在でも、近所の方、地元の方がお店を盛り立ててくれようと、食材などを提供して頂いたり、農作業を手伝ってくれたり、いろんな面で協力してくれています。だからこそ、いつか、そんな地域に貢献できたら……と常に思っていました。このお店に多くの方が来られることで、お客様も喜んでいただき、そして地域のものを使ったお店が繁盛することで、地元が活性化する手助けになれば、こんなにうれしいことはありません。来ていただいたお客様が、素朴な田舎料理でふるさとや家族を思い出しながら食事を楽しみ、落ち着いてゆっくりおしゃべりしながら過ごせるお店を創りを心がけています。また、お料理の待ち時間や食後の時間に、2階のアトリエを見学されて、またお食事処とは違った世界を感じ、癒しのひとときを過ごしていただければ幸いです。」
小田江里奈さん
「お店を一緒にしない?と母から誘われ、はじめは店舗オープンに向けての手伝いで、母の夢だったお店作りを一緒にしていたのですが、母の姿を見ているうちに、次第に地元を盛り立てていきたいと思うようになり、旅行代理店の添乗員の仕事を辞めて一緒に始めました。主人が建築関係の仕事をしているので、改築・内装などを一緒にデザインし、家族全員でお店作りをしています。今までとは全く違う職種ではありますが、お客様をおもてなしし、母の作ったお料理と、自分の作ったスイーツを食べて、よろこんでいただいたお客様の笑顔を見ることがとてもうれしく、活力になります」
2階アトリエ・ゆめ工房 霧子の里
代表:甲斐 眞さん
昭和22年3月生まれ 63歳
武蔵野美術大学 造形学部 油絵学科 通信過程 修了
甲斐 眞さんメッセージ
「延岡市職員として定年を迎える二年前に退職し、病気がきっかけで始めた絵画を専門的に勉強して、夢だったアトリエを開きました。今年で絵を書き始めてちょうど20年になります。普段から、特別なものではなく、身の回りの大切にしたいもの・自分を育んでくれたもの、個人的に好きなものなどの風景や静物を書いています。小さな絵を描くときは、自分でも楽しみながら描くことができますが、大きなキャンバスと向き合うときは、一種の戦いの様でもあります。まわりの移り行く景色をみながらのんびり描いた絵は、地球や人への、私なりのメッセージです。1階のお食事処にも私の描いた絵を飾り、お料理と共におもてなしさせていただいています。お食事の前後で、2階のアトリエにもお越しいただいて、「霧子の里」を楽しみ、自分にとって特別な時間を満喫して頂ければとおもいます」
北方の霧子山と田園風景に囲まれた静かな場所
甲斐ひろ子さん、甲斐眞さん夫婦を育んだ北方の霧子山と静かな田園風景に囲まれた、「旬房 霧子乃里」。地域への愛と恩返しの心が作り上げたお店は、何の気兼ねをすることのない生まれ故郷の安らぎを与えてくれます。
これからますます暑さが厳しくなっていきますが、「旬房 霧子乃里」で涼しげな癒しの時間を過ごされてみてはいかがでしょうか?