石窯Pizzeria&Cafe HARVEST(ハーベスト)
熊本県美里町の自然が育んだ、小麦・水・無農薬野菜を使用したPizzaをはじめ、パスタや自家焙煎コーヒーなど、オリジナルメニューがそろう、自然に寄り添って生きる”田舎暮らし”をそのまま表現した『石窯Pizzeria&Cafe HARVEST(ハーベスト)』
自然豊かな熊本県美里町へ、田舎暮らしを求めて移住したオーナー夫妻が古民家をコツコツとリノベーションし、2016年7月にオープンしたカフェ『石窯Pizzeria&Cafe HARVEST(ハーベスト)』。
こちらのカフェの近くには、観光スポットで国の重要文化財に指定されている石造りの『霊台橋(れいだいきょう)』や、木のアトラクションやボルダリングなどをファミリーで楽しめる、自然のアスレチックワールド『フォレストアドベンチャー」などがあり、ちょっとしたドライブや秋の行楽スポットとしておすすめです☆
カフェのメインとなるのは、熊本産小麦を100%使用し、美里の源泉からひいた天然水と天然酵母で完成させた自家製のピザ生地に、有機野菜や手づくりハーブソースなどを合わせ、さらに手造りの石窯の中に薪を焚べて焼き上げた自然のエネルギーたっぷりのオリジナルピザ。直火で焼き上げるピザは、焼き時間が約1〜2分という短さなので素材のフレッシュ感を保つことができ、生地の弾力性が増すのだといいます。さらに、薪の煙で軽くスモークされることで、うま味と香りがよりいっそう際立ってくるのだそう。
ちなみに石窯用の薪は、オーナーが時間をみつけては薪割りして、常に大量の薪をストックしているのだそうです。
2016年4月におきた『平成28年熊本地震』では、ここ美里町も大きな爪痕を今なお残していますが、復興へむけての支援やインフラ整備など、地域が一丸となって全力で取り組まれています。
こちらのハーベストでも、「がんばろう九州」を店舗入口にかかげ、カフェをベースに、食と雑貨と音楽が融合したイベントなどの活動を行い、美里町への集客や知名度アップの一躍を担っています。
そんな中、おすすめのメニューと合わせ、オーナーの思いや活動などについてもお話しを伺いましたので、どうぞご覧ください!
(レポート:中本望美)
自家製石窯PIZZA&Cafe HARVEST(ハーベスト)
住所:熊本県下益城郡美里町三和259-3
電話:080-1742-1120
営業時間: 11:30〜21:00(Lunch〜15:00)
定休日:水曜日
駐車場: あり
Facebook URL:『石窯Pizzeria&cafe Harvest』
店舗周辺マップ
道案内
延岡市から国道218号線を高千穂・五ケ瀬町へと通りぬけ、山都町へ向かいます。
▲熊本県美里町に入って約10分ほど車で進むと、目の前に立派な石橋が見えます。
▲国の重要文化財に指定されている石造りの『霊台橋(れいだいきょう)』は、江戸時代に造られたもので、石造りの単一アーチ橋としては日本一の大きさを誇ります。
▲架橋後160年以上建つのですが、激変してきた歴史をじっと佇んで見守ってきた貫禄のある姿に目を奪われます。
▲昭和41年まで、実際に交通網として利用されており、現在も橋の上に立って、その重みに触れることができます。
▲霊台橋から車でおよそ5分ほど進むと、上のような道路案内板があり、その先の左側に『PIZZA』の看板が見えてきます。国道沿いの分かりやすい場所に店舗があります。
店舗紹介
店舗外観
美里町に移住してきた那須オーナー夫妻が、古民家を友人と共に自分たちの手でリフォームし、少しずつ整備して2014年7月にオープンしました。
テラスは今年7月に2年越しで完成!2016年4月におきた熊本地震の影響を大きく受けましたが、「地に足をつけてがんばろう」と、被災後もすぐにお店を稼働させていたのだそう。
▲石窯に使用する薪は、やはり自分で薪割りをして切らすこと無く準備!店舗と同じくらいの大きさもある薪小屋がいっぱいに詰まり、ひとつのオブジェのように貫禄があります。
▲店舗入口の様子。無造作にペイントされたガラスがどことなくおしゃれ♪
店舗内
店内には、お座敷・テーブル席・カウンター席があり、木の優しげなぬくもりに包まれています。
自然とともに暮らすオーナー夫妻の生き方が表現されているかのようで、自然のエネルギーをまとった雑貨や絵画がディスプレイされています。もちろん店内に流れるBGMも自然を感じさせてくれる音楽が選曲されていて、肩の力を抜いてリラックスしながら空間を楽しむことができます。
店舗の一角には、知人のアーティストが制作した雑貨やアクセサリーも販売されています。
オーナーはショップ以外に音楽活動も行っており、店内に流れるBGMはオーナー知人のアーティストの作品が多いそうです。カウンターの後ろの棚には、音楽活動を通じて集められたレコードはもとより、ちょっとコアな機材もあるので、好きな方は見ているだけでも楽しいはずです♪
こちらはカウンターの風景。奥にはオーナーの作業スペースがあり、ピザの制作風景が見られます。ちなみに、目の前の巨大なオープンラックも手造り!
そして手づくりの石窯。実際に薪に火をおこしてピザを焼き上げます。また、ハーベストオリジナルの「石窯ローストコーヒー」も、生豆を仕入れて、この石窯で焙煎するのだそう!
何度も何度も試行錯誤を繰り返してたどり着いたという火加減・焼き時間。ほんの些細なズレで仕上がりが変わるため、素材を石窯に入れる瞬間は、今でも緊張するのだそう。
石窯に入れてほんの数分で完成。生地が焼けた香ばしい匂いとハーブやチーズの香りが店内に漂います。
おすすめメニュー紹介
オルトナーラ ランチセット(1,300円込)
※ランチタイム(11:30〜15:00)ピッツァセットより(単品1,300円)
(好みのピッツァ・サラダ・スープセット +200円でドリンク付き)
トマトソースをベースに、モッツアレラチーズ・季節の旬野菜・オリーブ・パルミジャーノチーズをトッピングした豪華なピッツァ!ランチタイムでは、サラダ・スープがセットになって、かなりボリュームアップし、そして何よりお得です!
地元の畑で取れた有機野菜をたっぷり使用。自家製ピザ生地は、天然酵母でじっくり時間をかけて発酵させるので、伸びがよく、しっかりとしたモチモチ感に仕上がっています。石窯での焼き加減と同じく、この生地にたどり着くまで、途方にくれてしまうほど、何度も何度も試行錯誤を繰り返して完成させたのだそうです。
目の前に運ばれてきた瞬間に、薪の煙で燻された生地の香りが立ち昇り、食欲が一層増します。トロりと溶けたモッツアレラチーズの濃厚なミルクの風味と、酸味のきいたトマトソースが抜群の相性です。まったりとした口の中を旬の野菜がリフレッシュさせ、食後のもたつきを感じさせません。
自家製ジェノベーゼ&ナッツ ランチセット 1,300円
※ランチタイム(11:30〜15:00)ピッツァセットより(単品1,200円)
(好みのピッツァ・サラダ・スープセット +200円でドリンク付き)
地どれの無農薬バジルをふんだんに使った自家製ジェノベーゼソースとモッツアレラチーズに、粗く砕いたナッツとパルミジャーノチーズをトッピングした贅沢ピザ。
香り高いジェノベーゼソースとチーズの濃厚な風味の中に、カリッとしたナッツの食感がアクセント。モチモチした生地がそれぞれの旨味を全てを包み込んでまとめ上げ、飲み込んだ時の満足感がたまりません。
「石窯の中でピッツァが纏う薪のスモーク香も美味しさのひとつ」とオーナーが語る通り、オーブンで焼き上げるピッツァとは全く異なった素材の風味を感じられるのが印象的でした。
トマトとナスのイタリアーナ ランチセット 1,000円
※ランチタイム(11:30〜15:00)パスタセットより(単品850円)
(好みのパスタ・サラダ・スープ・ドリンクセット +200円でパンセット)
もともと熊本市内レストランで料理人として活躍していた腕を活かし、メニューの中でも人気となったパスタ。上質なオリーブオイルのコクとガーリックの香りが活きた本格的なイタリアーナ。
石窯ローストコーヒー アイス450円(夏季限定)
生豆を石窯でローストしたオリジナルコーヒー。さっぱりとしており、喉を通り過ぎたあとに鼻から抜けるコーヒー特有の深い香りと合わせて、薪のロースト香が感じられる独特な風味です。
ちなみに、コーヒーの奥に映るのは、試作中のグリッシーニ。粉の香りが豊かで、何本でも食べられそう!近々メニューに登場するかもしれません☆
カウンター前のラックには、石窯でローストする前のコーヒー豆がならび、注文すればテイクアウトも可能です!
オーナーインタビュー 那須雄也さん
このカフェは、自然に寄り添って生きる自分たちそのものが表現される場所。山の水、畑の野菜など、自然を捻じ曲げずにありのままの良さを活かした料理と素材で手づくりした店舗で、田舎生活の自由な空気感を感じてほしい
Q:オープンしたのはいつですか?
「2014年7月です。ちょうど2年になります」
Q:なぜ田舎暮らしを始めようと?
「20代の頃は、熊本市内の料理店で働き夜は音楽活動をしていたり、とにかく慌ただしい毎日を過ごしていました。もちろん人工物に囲まれて生活することに何の疑問もありませんでした。しかし、どこかでストレスを感じていたのでしょうね……。いつしかネガティブ思考になり外出の数も減りだしました……。そんな中、ふとその現状に疑問を抱きはじめ、当時の生活空間を飛び出し、大自然豊かなオーストラリアに行ったんです。自然に身を委ねて生活し、バックパッカーとして旅をしているうちに、だんだん『自分』や『生きる』というが何なのかが、自分なりに見えてきたんです」
Q:移住してみていかがですか?
「この家を見つけて移住してきたときは、壁があるだけで何もない建物でしたし。田舎暮らしを始めると聞きつけた友人たちも反対しました……。しかし、家を造り始めると、何故か?いつのまにか反対していた友人たちが集まり、手伝ってくれるようになったのです。そしてオープン記念には、音楽活動する友人たちと、ここでイベントを開催するに至りました。さらに熊本地震直後も、4日間のキャンプイベントを企画し、東京や北海道からも集まってくれました。ここにたどり着くまでにいろいろありましたが、結果的に自分が移住することよって、みんなが気ままに集まれる場所ができてよかったと思っています」
Q:ピザをメインにした理由は?
「もともと料理人だったこともあったので、カフェで展開していくメニューに関しては漠然とした思いがあったのですが、それよりも先に、都会ではないこの地で展開していく上で要となるのは何かと考えた時に浮かんだのが、自然の素材でできた石窯だったんです。それで真っ先に石窯を完成させ、そこから、美里の食材を活かすメニューとしてなにがいいかということでピザに落ち着きました」
Q:石窯で焼くのは難しそうですが……
「それは、本当に悩みましたね。水分の量、生地の発酵、生地の厚さ、石窯の火加減など、いろいろな部分で微調整が必要なので、素材の前で途方に暮れたりもしました……。本当に最初に出来たピザは正直がっかりでしたよ。でも、そんな試行錯誤の過程が面白くもあるんです。何も無いところに知恵を絞って何かを生み出していくのが、田舎暮らしですから。店舗にしても、石窯にしても、自家栽培の野菜にしても、『ものづくり』をすることが、自分たちの暮らしですし、そんな生活を感じてもらえると思っています」
Q:今後の目標は?
「今はピザがメインですが、もっと自由に人が集まれるスペースとなれるように、石窯で焼くハンバーグや、田舎ならではの酵素ジュースなどのカフェメニューを増やし、レストランのような機能が持てるといいなと思っています。せっかく美里の大自然の中にあるお店なので、体が喜ぶような自然素材の料理を食べ、田舎の魅力を感じてもらいたいと思います。それまでになかった何か違う風をこの地に吹きこめたらいいなと思っています」
▲取材の最後に来られたオーナーファミリー。
お忙しい中、ありがとうございました!